静電気

今から20年ほど前、操体法を東京の三浦寛先生から、学びました。警備員生活をしながら三浦先生の施術を見学し、セミナーに参加しながら学んでいました。当時の施術は「皮膚に問いかける」という不思議なものでした。患者さんの訴える症状と歪みを診断しながら、圧痛点を探し指先をその圧痛点に軽く触れるだけの施術でした。

患者さんは気持ち良さそうに、ベッドで眠り、三浦先生もコクリコクリと舟をこぎ、それを見ている私も急に眠気に襲われ、眠ってしまう・・・そんな、施術でした。結果、患者さんの歪みが取れてくるのですから・・・・驚きでした。そして、

「これは三浦先生だから出来ることで、俺には無理だ。」

と、諦(あきら)めていました。ところが、セミナーに参加し基礎から学び応用編である「皮膚に問いかける」技術をある程度身につけると、いつの間にか、指先を触れる施術で患者さんの歪みが取れていくのが実感できるようになりました。何故この指先による「お手当」で患者さんのカラダに変化が起きるのか・・・・・よく分かりません。

私は、理数系の頭を持ち合わせていないので、そのメカニズムを説明できません。ただ、静電気のような電気の流れが生じているのでは・・・・と感じます。そこで、静電気に関するかんたんな説明があったので、下記に記載します。

『静電気とは、物体の電気のバランスが崩れている状態、もしくは、バランスを崩している電気そのもののこと。

そこで、まず基本として押さえておきたいのが、物体は+と-の電気をそれぞれ同じだけ持っていて、電気のバランスがちょうどいい具合になっていること。+を多く持ってるわけでもないし、-を多く持ってるわけでもない。

しかし、異なる物体同士がこすったりなどして接触すると、この衝突によって、ある物体の「-の電気」が他の物体にうつっちまうことがあるんだ。その結果、-の電気を取られた物体の電気のバランスは、マイナスの電気が減って+が多くなってるね???逆に、-の電気をぶんどってしまった物体は、マイナスの電気が多くなってる。

つまり、両者ともに接触することで電気のバランスを崩してしまったんだ。で、この電気のバランスを崩れた状態のことを「静電気」と言ったり、もしくは、このバランスを崩している電気自体を静電気と呼ぶこともある。

たとえば、+が多い物体だったら+の電気、-が多い物体だったらマイナスの電気が静電気ってことね。』

とあります。バランスを崩した状態にある時のマイナスの静電気の移動をイメージすると何となく分かる気がします。スマホやタブレットで指先操作するのは、画面上のマイナスの電気が指先で吸収され電流を起こすので機能するそうです。

ということは、患者さんの訴える圧痛点は、バランスを崩している顕著な個所のため、指先で触れることにより、お互いの皮膚を通してバランスを取る現象が起こるのかも知れません。今回は、この指先を触れる操法のYouTubeを制作しました。非常に短くまとめているので見やすいと思います。

 

 

 

定休日なし

「定休日なし」が、あじさいの杜鍼灸院の治療日程です。これを見て、「年中無休」と理解し、「年中無休」と読む人がほとんどです。年中無休なんて無理なので、掲げていません。ただ、定休日がないだけで、臨時休業は有ります。そのため、治療は予約制にしています。

もし、患者さんが毎日沢山来られて、私が対応出来ないほど忙しい日々であれば、定休日を設け(もう)けなければなりません。当院はそんなに忙しくないので、「定休日なし」なのです。

それでも、この猛暑。

今日は、患者さん2人治療後、臨時休業としました。私の健康がまず第一で、私の健康ベクトルが下向きで、カラダの2カ所がちょっとだけイエローカードを出しました。初めて、カラダが休養を訴えてきました。それで、本日は午後3時から臨時休業。

今日は早く寝て、明日からは、いつものように9時から営業です。

四才児来院!

 

「◯◯ちゃんは、いくつ?」

「四つ!」

「四つ・・・・すごいね四才!・・・おしゃべりが上手ね!」

「はい!ペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ」

元気な女の子がお母様と一緒に来院されました。私が普段治療するのは、治療室の中央部やや玄関寄りの待合室。中央部には高さ40cmの畳(たたみ)3畳(じょう)部屋(大きなベッド+障子2枚)があり、そこが私の座る大きな畳イスでもあります。

患者さんは、待合室にある籘イスに座り、普段着のまま治療を受けることになります。山元式新頭鍼療法(YNSA)を行う前は、患者着に履き替えていただき治療していたのです。随分、シンプルになって来ました。さて、お母様の治療中、籘イスの横に置いた小さなイスに座って、◯◯ちゃん、

「あのね、ペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ」

小さいけれど元気の良い声で、ゴッコ遊び用語が次々と出て来ます。2004年に、スペインマジョルカ島で聴いたカナリヤが囀(さえず)るようなカタルニア語を思い出すほどでした。◯◯ちゃんの頭の中は、ゴッコ遊びの言葉が次々と溢(あふれ)出ているのでしょう・・・恐るべし4才児。

お母様には足に10個のパイオネックス(皮内鍼)を貼り、自律神経を整えて、側頭部に3本置鍼して終了となりました。記録として最後に足と側頭部の写真を撮るのですが、それにもしっかり写る◯◯ちゃんでした!

橋本敬三先生の示唆

操体法の創始者、橋本敬三先生(医師)の著書「からだの設計にミスはない」の中に、山元式新頭鍼療法を示唆する個所があったので、ご紹介します。

『初めは私も、中枢神経の何かに損傷があった場合にはだめだろうと思ってあきらめておったんだけども、(操体法を)やっているうちにいろいろな変化が現れてくる。これは何とかなるぞ、可能性があるぞ、という気がしてきた。

脳の中の変化っていうのは、みな表面に出てくるんですよ。近頃、中国では頭皮鍼というのをやっているらしいが、日本でもその辺のことに注目している人はたくさんいる。脳のどういう部分の変化が、体のこういうところに出てくる。そして、そこを刺激すればどういう効果が現れてくる、と言うような研究がね、将来どんどん進むだろうし、その可能性も出てきているんです。』

とあります。この本が出版されたのが1978年。山元式新頭鍼療法(YNSA)を山元敏勝先生(医師)が発表されたのは、1973年ですが、日本ではあまり反応がありませんでした。翌年海外で発表されると注目され海外で普及したため、残念ながら橋本敬三先生が山元式新頭鍼療法(YNSA)を知ることはなかったと思います。もし、知っておれば、必ず学ばれて操体法に生かしておられたと思います。

ずいぶん遅くなりましたが、私は私なりに操体法と山元式新頭鍼療法(YNSA)を融合してみようと思います。

足裏のリフレクソロジーって・・

現在、足の指や甲にパイオネックスを貼り、膝の圧痛点を取ることによって自律神経を整えています。ところが、肝心の足裏はほぼ手つかずの状態です。この足裏が実は大本命。もうこれは新たに治療点を見つけるという訳にはいかないように感じます。足裏には、反射区といって内臓に関連する刺激点が存在しているからです。

そこで、足裏の反射区について調べてみました。

『リフレクソロジーは、アメリカが発祥である。アメリカ人医師であるウィリアム・フィッツジェラルド (William H. Fitzgerald) (1872年 - 1942年)が手術中の患者がベッドの梁などに手足を押し付ける行為を観察し、これを医学的に研究したところ、痛みを和らげる効果があることがわかり、「ゾーン・セラピー」という本を発表した。アメリカの理学療法士、ユーニス・イングハム (Eunice D. Ingham) (1899年 - 1974年)は、フィッツジェラルドのゾーン・セラピーを発展させ、足の特定の部位(内臓反射区)が身体の各部位に対応していることを突き止め、「フットチャート」(足の地図)を作ったが、医学的に認められているものではない。フットチャートは「足裏反射区図」と呼ばれることもあり、面としてとらえているところに特徴がある。

〔注〕フットチャートは、「足裏ツボ図」と表現されることもあるが、リフレクソロジーで刺激する反射区は、指圧点であるつぼ(経絡経穴)とはまったく関連性が無く「足裏ツボ図」という表現は正しくない(リフレクソロジーが"面"でとらえるのに比べ"つぼ"はバラバラの"点"でとらえていることをはじめとして、様々な相違点がある)。いわゆるマッサージ・あん摩・指圧とリフレクソロジーは似てはいるが、マッサージはフランス生まれであり、あん摩と指圧は中国の経絡経穴思想などの影響をうけて日本で誕生した手技であり、リフレクソロジーとは、起源や歴史、理論もまったく異なるものである。』

上記のように、『「フットチャート」(足の地図)を作ったが、医学的に認められているものではない。』とあります。また、『リフレクソロジーで刺激する反射区は指圧点であるツボ(経絡経穴)とは全く関連性が無く「足裏ツボ図」と言う表現は正しくない』とあります。

ということはどういうことなのでしょう・・・フットチャートは、東洋医学的見地のない西洋医学でも認められていない「足の地図」となります。これでは、前に進めません。そこで、東京薬科大学と東洋針灸専門学校で学ばれた織田啓成(おだひろなり)先生の「足の裏反射療法」が指針になるかも知れません・・・・わお~、漢方医学概論なる難解な本に挑戦しなければならないようです。まあ~この際・・・・・やりますか!

井穴

 

井穴と書いて、「セイケツ」と読みます。井穴は、五兪穴(ごゆけつ)という重要な5つのツボの一つです。五兪穴は上肢、下肢の肘関節と膝関節から末梢にある経絡(ツボの流れ)上にあります。井穴→栄穴→兪穴→経穴→合穴と末梢から肘関節、膝関節と水のように流れます。

 

それで井穴は、爪の生え際の横2穴(イラスト参照)に位置します。この井穴、刺激すると痛いのです。今回、井穴を丁寧に刺激したり、関節を回したりして体調を管理するYouTubeの制作をしました。手首から指先までをカラダの相似形と見なす考えがあるので、丁寧に指や手首を刺激することは、カラダの健康管理になります。興味ある方は是非ともご覧ください。

テイ鍼?

てい鍼(てい=金へんに、是)という刺さない鍼(はり)があります。押圧してツボを刺激する鍼治療に使用されます。刺さない鍼なのに効くの?・・・・と、思われる方がいるのでは・・・それが、効くんです。

 

5年前にあじさいの杜鍼灸院を開院した当時は、このテイ鍼をよく使っていたのですが、山元式新頭鍼療法(YNSA)の治療に代わってからは使わなくなっていました・・・というか、このテイ鍼を無くしてしまったのです。このテイ鍼は、私の敬愛するM先生の使用していた金鍼(純金で出来たテイ鍼)を鋳型に取ってそれを、銀鍼に置き換えた優れものなのです。実をいうと、その優れものは足の圧痛点を見つけるのに最高のテイ鍼なのです・・・・ところが、無い!

そこで母校、東京医療専門学校の同級生で、このテイ鍼を作ったMさんに連絡。もう一度あのテイ鍼を作ってもらえないかと・・・・・すると、Mさん・・・Mさんのテイ鍼を私に下さるという神様のお言葉をいただきました。

えええええっっと驚き、素直にいただくことにしました。

お返しに、愛媛の美味しい物をたっぷりお送りしたのです。

新宿歌舞伎町のリラクゼーション

新宿歌舞伎町にあるリラクゼーションのお店で、3年間働いたことがあります。私は鍼灸師でありますが、按摩(あんま)マッサージ指圧の国家資格は持っていません。それでも、リラクゼーションの仕事は出来ます。何故なら、リラクゼーションの仕事には、国家資格が必要ないからです。一般的に多くの人は、マッサージとリラクゼーションの違いがよく分からないと思います。

マッサージと看板を掲(かか)げている職種は、国家資格が必要です。そして、あはき法(あんまマッサージ指圧師、鍼師、灸師に関する法律)に則(そ)った仕事をする義務があります。ところがリラクゼーションという職種には、そんな制限はありません。そのため、価格表示を平気でしています。整体も国家資格ではないので、同様です。

鍼灸師という国家資格を持ちながら、リラクゼーションをするとどうなるか・・・私は、勝手に治療をしていました。何故なら、お客様が可哀想だからです。しかし、もう決してリラクゼーションをする事はありません。体力が続かないからです。

さて、新宿歌舞伎町のリラクゼーションでの出来事。ある30才代後半の腰痛持ちの男性客が、来られました。そこで、男性の手の甲にある圧痛点を5~6分ゆっくりと押圧。

「・・・・これで、腰の状態どうですか?」

「・・・・・あっ、痛くない!」

男性は不思議そうな顔をして、私を見つめていました。今回作ったYouTubeは、その治療点を紹介しています。興味ある方は、是非ともご覧ください。

昨日は、雨の中3人の出張治療でした。高齢で動くことが困難な患者さんには、軽自動車(ダイハツミラ)で伺います。しかし、今回は駐車場がないお宅だったので、1件は送迎付きでの治療となりました。ベッドに寝たっきりの場合、私が勝手に行っている膝診と足首診は非常に便利だと感じます。治療点も足に見出しているので、頭の置鍼と併用するといいように思います。

足の治療点は、まだ仮説の状態で実証するまで、時間がかかると思います。正直、たった今治療点の見直しをしています。一からやり直しかも知れません。自分の足を通して感じ、考え、患者さんの声を聞き続ける必要があります。

 

一般の方々は、足ウラにはツボがたくさんあると思っている事でしょう。しかし、実際には3つしかありません。湧泉(腎経の最初のツボ)、失眠(不眠に効くツボ)、裏内庭(食中毒に効くツボ)のみです。ここからは、全くの推測ですが、古代中国で見つかったツボに足ウラが少ないのは、凸凹道を薄ぺらの靴で歩いていたため、常に足ウラの刺激があったので、必要なかったのかも知れません。また、纏足(てんそく)という悪しき風習があったため、足ウラを無視していたのかも知れません。

あるいは、凸凹道を歩いた足のウラは、硬くて鍼が通らなかったのかも知れません。いずれにせよ、足首から下を丁寧に見直す事は、健康につながる大切な事だと思います。毎日、患者さんの足、足指、足ウラを見ていると、健康状態が見事に反映されているように思います。血流が悪くて水虫になったり、浮腫(むく)んでいたり、カサカサに乾燥していたり・・・・

日本人は幸いにも靴を脱ぐ習慣があり、常に足に触れる環境があります。もう一度足元を見つめてみましょう。

相似形

「足首から下で治療する」が今のところの目標です。パイオネックス(円皮鍼)を貼ると効果が持続します。またご自身が、中指を軽くパイオネックスに当てがうと、自力自療になります。私が治療している患者さんは、脳梗塞などの重症患者さんではなく、不定愁訴(ふていしゅうそ)という病名がつく前の状態の患者さんが多いので、「足首から下で治療する」に挑戦できるのだと思います。

山元式新頭針療法の教科書に症例が沢山でていますが、脳梗塞、四肢麻痺、顔面麻痺などの重症患者の方々には、頭に置鍼でないと無理だと思います。残念ながら私は、まだそのレベルに達していないので、今できる範囲内で工夫しているだけです。勝手に仮説を立てて、患者さんに聞きながら新たな治療点をみつけるのは、本当に楽しいのです。

実は、今日も見つけました。2人の患者さんに診断点、治療点を聞きながら患部の痛みが無くなったことを確認出来ました。ただ、まだ2人だけですので、継続して検証しなくてはいけません。私の場合、自分の足の圧痛点を見つけトンスケ(ガイコツのモデル)を眺めながら、発想します。

トンスケを見ていると、相似形がキーポイントになるように思います。同じ様な形は、同じ様な機能を有するように感じます。明日も検証してみます。