歯痛に鍼

 

最近は、慢性的な疾患の患者さんを治療することが多くなり、後頭部に刺鍼すること7~8割となっています。そして、その効果を患者さんに聞いてみると、ほぼ100%後頭部の方が効くという答えが返ってきます。

後頭部の刺鍼は、軟骨に鍼を刺すような感じで、抜鍼(ばっしん=はりを抜く) しても血があまり出ません。今日の患者さんから、

「何で後頭部からは、血が出ないんですか?」

と質問されました。

「・・・・・人が四つんばいになっていると、血はお腹とか顔の方に行きますよね・・・後頭部とか背中は、血が少なくなって砂漠化する傾向があると思うんです・・・だから、あまり血が出ないんじゃないですか。」

顔の表情筋は常に動いていますが、スマホなどを見続けるている人達の後頭部の筋肉は、動いていません。こういう人にこそ、後頭部への刺激が必要に思います。

また、後頭部に置鍼したあと、ベッドでうつ伏せで寝るより、イスでゆっくりしたい患者さんが多いので、そのまま世間話をよくします。

「歯が痛くて、昨日は歯医者でクスリをぬってもろうて、治っとたんじゃけど・・・今、また痛いんです。」

「そしたら、鍼しましょう。」

「えええええっ、鍼で治るんですか?」

「はい!」

ということで、痛い左の下奥歯をねらって、眉毛に置鍼。

「どうですか?」

「・・・・痛くないです・・・・速攻性があるんじゃ・・・思ってもみんかった。」

「切ったり貼ったり(整形外科)以外は、何でもできます・・・ですから、痛いところがあれば、遠慮なく言ってください。」

こういう会話を続けながら、少しづつ鍼治療に理解をしめしてもらおうと思います。

D点

みかん専業農家の30才代男性患者Cさん。1週間前に腰を痛めて来院されました。非常に顔ツヤのいい健康的な好青年、ただ働きすぎて腰が痛いだけ・・・っていう雰囲気です。多分、素直な反応をしてくれるだろうと、予測してしまいます。

早速、合谷診(人差し指と親指の間の触診)を始めます。左手の方に痛みがあったので、左側から治療を始めます。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行い、腰椎(左耳の前側)、小脳(オデコ中央部の生え際よりやや上)の治療点に置鍼を行いました。

左:腰椎(1)、小脳(1)
右:小脳(1)

( )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、下記のような結果になりました。

首診
左:腎(1)、胆(1)、心(1)、大腸(1)、胃(1)、小腸(0)
右:なし
(0)は、小腸以外の治療点に置鍼した影響で圧痛点がなくったことを示しています。

「はい、これで腰はどうですか?」

「・・・かなり、良くなっています・・・後ろに反(そ)らしやすくなりました。」

「それでは、これから腰をねらいますね。」

耳の前にD点という腰に効くポイントがあります。これを「ウソ〜、何で?」と思われる方が多いと思います。そこで、私なりの説明をします。

カラダは水袋で骨は浮いています。この骨を支えているのは結合組織と呼ばれる筋膜です。筋膜はコラーゲンの立体的なヘチマタワシ。このヘチマタワシがあちこちで綱引きをしながら、カラダのバランスを保っています。腰が痛いということは、腰周りの筋膜がねじれています。このねじれに対して耳あたりの筋膜がねじれてバランスを取っていると思います。

骨の構造をみればそれがよく分かります。
腰は、腰椎と仙骨と寛骨(仙骨以外の骨盤)で構成されています。それに対応するのは耳辺りです。ここは頸椎と頭蓋骨と下顎骨で構成されています。この2つが綱引きをしているのです。耳辺りがゆるむと、腰は引っ張る必要がなくなるので、ゆるむと考えます。

Cさん随分腰痛がなくなり、それ以外の腰に関する点に4本置鍼し、すっかり良くなりました。この治療で終了となるような気がしたので、次回の予約は取りませんでした。

アオスジアゲハの産卵

「先生、岡山のニラの苗をあげます。愛媛のと違って大きいでしょう!」

確かに、2日前にいただいたニラに比べると2倍以上おおきなニラです。ありがたいことに、家庭菜園を始めて、色々な苗をいただきっぱなし・・・・嬉しい❣️

また、別の患者さんからは、「現代農業」というプロが読む本を3冊も貸していただきました。

本読み不得意な私には、ちょっと重圧ですが、パラパラめくって楽しみます(操体法という私が関わっている民間療法の記事が載っているので嬉しくなりました)。

今まで、治療院にこもって過ごすことが多かったのですが、最近では、治療の合間にしょっちゅう畑を見に行き、水やりや草引きをしたりと、少しづつアウトドア生活が加わり始めました。すると、発見もあります。昨日来ていたアオスジアゲ

ハが再び遊びに来て、畑の土にしがみついているのです。私が近づいても、一向に逃げる気配はありません。そこで、接近してしかもアップで動画。すると、このアオスジアゲハ産卵をしているではありませんか❗️

まいった・・・・アオスジアゲハは遊びに来ているのでなく、野菜を食い荒らす幼虫の卵を植え付けていたのです。そこで、アオスジアゲハの事を調べてみました。産卵期は5月上旬。幼虫はクスノキの葉っぱが大好き。これで、分かりました。私が畑の囲いにした丸太は、クスノキ 。アオスジアゲハは、クスノキ の匂いに惹かれてやって来て、野菜の苗を見て産卵場所を決めたようです。

必ず、幼虫が地面から這(は)いあがり野菜を食い荒らしにくる時があります。何やら楽しくなって来たのであります。

ツボの流れ

2年前から通院の50才代女性患者Bさん、当初は、メニエル病、激しい肩こり、左膝痛等の疾患をお持ちでしたが、毎週の通院で良くなり、この1年間は月に1度の健康維持で通院されています。

今回は、首から肩にかけてコリが激しくて、頭が重いそうです。

「1ヶ月もよく保ちますね。」

「何とか、この日を目標にしてがんばっています。」

「なるほど・・・素晴らしいです。」

Bさんは、非常に感覚が鋭い方で、鍼の刺入時に様々なところが反応します。それを的確な言葉を言ってくれるので、鍼灸師としていつも勉強させていただいています。

いつものように合谷診(人差し指と親指の間の触診)を始めます。左手の方に痛みがあったので、左側から治療を始めます。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行います。

左:頸椎(1)、胸椎(1)、腰椎(2)、大脳(1)、脳幹(1)、小脳(1)

右:なし

(  )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、下記のような結果になりました。

首診

左:腎(1)、膀胱(1)、心(1)

右: 肝(1)、胆(1)、心包(0)、大腸(1)、三焦1)、胃(1)、脾(1)、小腸(1)、肺(1)

(0)は、他の点に置鍼した影響で圧痛点が随分なくったことを示しています。

以上の治療で重い頭が軽くスッキリしたそうです。

Bさんの左腎の診断点の首の前側が、硬くこっているので、陰陽の陽である後頭部に置鍼することにしました。Bさんにとっては、初めてのことです。治療の過程でBさんが、感じたままの言葉をポロリ。

①「唾液が出てきました。」(三焦=消化器治療で置鍼)

②「目の奥まで来ました。」(大腸治療で置鍼)

①は、三焦の経絡(ツボの流れ)を見ると、耳の下を流れているのが分かります(写真参照ピンク色)。この流れに耳下腺という唾液を出す気管があるのです。ぴったりですね。

②は、大腸の経絡(ツボの流れ)は、写真で紫色。鼻の下で交差して鼻の横にある迎香(げいこう)で止まるように見えますが、これは目の下にある承泣(しょうきゅう)という胃経につながるのです。Bさんの「目の奥まで来ました。」は納得できます。

この時、右目に来たのか左目に来たのかを、もう少し詳しく聞くべきでした。右側頭部に置鍼したので、右目だと考えられますが、経絡の流れで考えると、大腸経(ツボの流れ)は、鼻の下で交差して左目に向かうので、左目に来たかも知れません。

いずれにしても山元式新頭鍼療法(YNSA)は、古来からあるツボの流れにも合致しているので、普遍性を感じます。

アオスジアゲハが舞う

 

 

「先生、あの畑うまいことやったね・・・あのクスノキ がええわい。あれじゃったら、腐らんし・・・あそこは、広いけん、もう1mくらい畑を広げたら・・・売るほど出来らい。」

患者さんご夫婦が、私のためにミョウガ、青じそとニラの苗を入れたビニール袋を畑に置いて、来院された時の第一声です。直径30cm〜20cmくらいで長さ1mくらいのクスノキ の丸太を囲いにした畑を気に入っていただいたようです。

当院の患者さんは、農業従事者や家庭菜園をされている方が多いので、初心者の私にアドバイスをどんどんしてくれます。先生と生徒も関係が、農業に関して逆転するので、患者さんは生き生きとされています。私もそこからエネルギーをいただき、新たな知識をいただくので、お互いに相乗効果があるように思います。

おかげで、一気に畑らしくなってきました。畑らしくなると美しいアオスジアゲハが、遊びにきてくれました。今まで、院内にこもり気味だったのが、畑という空間に導かれ解放され、ささやかな出会いが生まれそうです。

(動画と文章は関係ありません)

頭に鍼・・ダメダメ

 

2年ぶりに来院された40才代の女性患者Aさん。この時期になるとせき込むことが多く、カラダがすっきりしないそうです。また左膝に痛みがあります。

「最近は、頭に鍼を刺すことを治療のメインにしているのですが、いいですか?」

「頭に鍼?・・・・・それって、痛いですか?」

「痛いです。」

「ダメダメ、私は前に通っていたところの鍼が痛くて、もう鍼は受けたくない。」

「・・・・・そしたら、鍼を使わないで、爪を立てるだけでやってみますので、どんなものなのか体験してみます?」

「・・・・・」

「例えば、パイオネックスという0.6mmの鍼を刺すことも出来ます。これは痛くないです。」

などと会話を続けていくうちに、体験してみるという選択肢を選んでくれました。

それでは、合谷診(人差し指と親指の間の触診)から始めます。左手の方に痛みがあったので、左側から治療を始めます。

次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行います。

左:頸椎、胸椎、腰椎、大脳

に反応があったので、例えば、左頸椎の診断点がある左中手骨中央部に右親指で爪を立てた状態をキープしたまま、左親指でAさんの左頸椎治療点のオデコ中央部の生え際に、爪を立て圧痛点を探します。探し当てた圧痛点を軽く押した時、右親指の爪でキープしたAさんの診断点の痛みが消えるかどうか・・・・・これがポイントとなります。

「オデコの痛いところ、ここを押しますよ・・・・そしたら、ここ(Aさんの診断点)どうなりますか?」

「・・・・痛くない。」

「ということは、オデコにパイオネックスを貼ると、痛みがなくなりますよね。」

と少しずつ、納得してもらいながら治療を進めます。幸いAさんの治療点は髪の毛のないところだったので、パイオネックスを貼ることが出来ました。

次に首診

左:腎、膀胱、心包(しんぽう=心臓周辺)、心に圧痛点がありました。これらの治療点には、髪が生えています。パイオネックスが貼れないので、爪を軽く当て、軽く押圧し続けます。

「痛みがなくなりました。」

とAさん言うと、治療終了となり、次の治療点に移ります。これで、Aさんのカラダがスッキリしてきたそうです。膝痛には、耳の後ろの圧痛点(D点)にパイオネックスを貼って良くなりました。

長い鍼を使わなくてもYNSAは治療可能のようです❣️

トリプルブッキング

昨日午前9時前に、3名の患者さんが来られました・・・・トリプルブッキング❗️と、思いきや、実は、ご夫婦の患者さんが、日にちを間違えて来られたのです。丁度、外で畑仕事の後片付けをしているときのことです。

「先生、畑するんじゃ・・・今度、ええもん持って来ましょうわい。」

と言って、間違えて来られたご夫婦は、石鎚山と御来光の滝が展望出来るところまで、ドライブにお出かけしたのでした。

そして今朝、お二人が軽トラに長さ2m~2.5mの竹10数本、ボカシ肥、もみ殻のくんせい等を載せてこられました。もみ殻のくんせいを畑にばらまくと、

「これで、きゅうりを移植してもええと思います。」

奥様は、野菜作りのスペシャリスト。私がきゅうりを密集して植えていたのが気になっていたようです。そして、トマトの苗から小さな花を見つけると、

「この花の下の新芽を取ったら、ええんよ・・・そして、この新芽を土に植えると、根が生えてトマトはドンドン増えるんよ。」

「この枝豆は、きゅうりと相性がええけん、一緒に植えたらええんよ。」

「青じそは、1人で勝手に増えるけん、日陰になるところでちょっと離れたとことがええわい。」

等々、次から次へと教えてもらいました。このお二人の先生は、毎週通院されるので、作業着を着たまま、畑でお迎えすることにします。ちょっと作業してから治療・・・・いいですね〜。
ご主人には、竹で支柱立てを作るようにと教えてもらいました。お二人の治療後、四苦八苦しながら作ったのですが、これが、面白い❣️
毎日、毎日が楽しくなりそうです。

移植

畑作り2日目。

狭い鉢にきゅうり3本と、もう一つの鉢にはズッキーニとゴーヤを1本ずつ植えているのは、良くないそうです。のびのびと育てるのが良いようです。そこで、きゅうりとズッキーニを鉢から、畑へ移すことにしました。

ところが、昨日畑に牛糞を入れたので、3週間くらいはそのままにしなくてはいけないようです。また、1週間後には、消石灰を入れて土壌を中和します。消石灰と牛糞を同時に混ぜると、アンモニアガスがが発生する場合があるそうなんです。そのため、1週間のラグを置くそうです。

とにかく、今のままでは、畑にきゅうりとズッキーニを移植するのはリスクがあります。そこで、ホームセンターに行き、野菜作り用の土を40kg買うことにしました。

40kgの土を、畑で一番日当たりの良いところに移します。そして、きゅうりとズッキーニを移植。ついでに、ホームセンターで買ってきたミニトマト、ナス、オクラ、枝豆、青じそを植えました。もう一つついでに、クスノキの枝できゅうりのツルがのびるネットを掛ける木枠を、クスノキ の枝で作ったのです。

コロナ禍には、土いじりがいいですね。

うつむくと痛い

女子中学生のBちゃん、初めての鍼治療では、刺入時の痛さに大粒の涙を流しました。それでも、鍼治療の効果を身をもって感じているそうです。そのため、週に2~3回通院されています。

Bちゃんは、幼い頃から喘息(ぜんそく)に悩まされて、春先になると過呼吸になることがあります。

おじいさんからの電話がありました。

「先生、どうもBは、副鼻腔炎じゃ、うつむいたら頭がいたなるんよ・・・今日は、治療出来ますか?」

「はい、大丈夫ですよ!」

電話から1時間後に2人で来院されました。Bちゃんは、鍼にも慣れてきて、ニコニコ顔です。おじいさんは、インターネットでうつむくと頭痛がするのは、副鼻腔炎であることを調べたそうです。

確かに、「副鼻腔炎の粘膜は三叉神経支配であり、副鼻腔炎により炎症産物(膿)が貯留し充満すると、うつむきにより空洞内の静脈熱が上昇するため三叉神経の機械的刺激が増強し、頭痛が悪化する。腹鼻腔炎による頭痛では、体動時、特に前かがみになると頭痛が増強するという特徴がある」とあります。

「Bちゃん、今、あたま痛いん?」

「痛い!」

「そしたら、ここ押さえるよ・・・・どう? 」

「痛くない!」

「先生、指で押しただけ?・・・すごいな・・・B、うつむいてみ・・・」(おじいさんの声)

「痛い!」

「・・・・ふ~ん、そしたら、ここにパイオネックスを貼ってみるよ・・・・どう?」

「痛くない・・・うつむいても・・・痛くない。」

「この点は、Bちゃんのお兄ちゃんが頭痛でここに来た時、刺して一発で治ったところ。トルコ のお医者さんが見つけた点なんよ。」

まず、頭痛を治してから、いつものように合谷診(人差し指と親指の間の触診)を始めます。左手の方に痛みがあったので、左側から治療を始めます。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行います。

左:頸椎(1)、胸椎(1)、腰椎(1)、大脳(1)

(  )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、下記のような結果になりました。

首診

左:腎(1)、膀胱(1)、心包(0)、三焦(2)、小腸(0)

右:大腸(0)、胃(0)

(0)は、他の点に置鍼した影響で圧痛点が随分なくったことを示しています。

後は、感覚点(鼻)というオデコの中央部にある点と、12脳神経の9番(舌咽神経)の点に置鍼し、終了です。

今日も、Bちゃんよく頑張りました。前回紹介した時に痛くて大粒の涙が出た個所(側頭部)を、今は置鍼していません。その代用点が、生え際中央部から、頭頂部の間にあるからです。ここは、比較的痛くありません。Bちゃんの涙のおかげで、私も少し成長しました。Bちゃんありがとう😊

ペット

子供の日とあって、ホームセンターは密集でした。早めに牛糞やらを買い上げ、早速畑にまきました。全くの素人が家庭菜園をするのですから、ある程度、基礎知識を頭に入れなくてはなりません。インターネットで調べると、農業とは、科学であることが分かりました。物凄く奥深い!

これには、参りました。

ただ、微生物を飼っているという意識で畑を見ると、楽しくなります。微生物が心地よくふわふわのベッドで生活してくれればいいのだ!と思うようになりました。

私が子供の頃は、父親が飼っていた小鳥(セキセイインコ、十四松、ベニスズメ、文鳥、カナリヤ、ボタンインコ、キンカチョウ等)の世話をするのが、仕事でした。それ以外にも、カラス、ニワトリ、犬などの生き物と生活していたのですが・・・今は、生き物を飼う生活をしていません。

ところが、微生物がペットになりそうです。楽しく家庭菜園をやってみます。