モゾモゾ体操(その3)

今から紹介するのは、最も簡単な体操ですが、ほんの少し足の角度を変えると全く動かなくなります。ちょっとしたコツがあるので、そこだけはマスターしましょう。

朝、仰向けで目が覚めたとしましょう。こんな時、ゆっくり伸びをしたいものです。今回は足の伸びの仕方をお教えします。

ガニ股歩きの人が仰向けになると、足裏が逆ハの字となります。こういう人が、踵(かかと)を押しこんで脚を伸ばそうとしても、伸びません。

・・・・?と思われる方、一度しっかりとしたガニ股で押し込んください。

全然動かないことが分かると思います。

今度は、足裏をハの字にして、踵(かかと)を押しこんでみてください。すると、問題なく踵(かかと)が伸びアキレス腱も伸びてきます。

何故このような結果になるのか?・・・・それは、「足は親指、手は小指」という原則があるからです。足裏がガニ股で足先が開いていると、重心が小指側に向かうため、力が分散してしまい上手く伝わらないのです。しかし、足裏を内股にして親指側を押し込むと力が集中して脚が伸びてきます。

とても、簡単なことですが、非常に大切なことなのです❣️

しっかり、身に付けましょう‼️

武道家の呼吸

60才代、剣道の達人Bさんが、今回の患者さんです。

剣道の構えは右足が前で、左手で竹刀をしっかり支えます。しかし、達人となると、一般人が考える剣道とは違う動きをする事があるようです。左足及び、左腰を前に出したり、右手で竹刀を操る練習をされるそうです。

そのため、右肘の内側と、左膝の内側に張りと痛みがあります。

ベッドで仰向けになってもらいます。やはり、左足の方が15mmほど長く、骨盤が左に傾いています。剣道の構えで踏み込む時は、左足を使うため、どうしても左重心で左足が長くなります。

こういう時は、操体法で骨盤調整します。

仰向けのまま両膝を立てもらいます。左膝の内側にある大きなコリを、左足先を上げる(背屈といいます)事で取っていき、次に両膝を左右に倒したり、左膝に軽く圧力を掛けたりして、骨盤を調整します(今回は、詳しい手技の説明は省略します)。

骨盤が整った時点で、山元式新頭鍼療法。合計9本の鍼を頭に刺し置きします。

次に、右手を全身と見立てるソマトトープ(小さな人型)。

Bさんの痛みは、右肘内側と左膝内側。これを、右手に当てはめると、右薬指の第2関節の外側と、右親指第1関節の内側に当たります。これらの個所にある圧痛点にお灸を3~5壮。

最後に、外果治療点(外くるぶしの圧痛点)3カ所と内くるぶしの圧痛点1カ所にパイオネックスを貼って終了。痛みがなくなりました。

操体法の治療中、息を吐きながら動いていただいたり、吸いながら動いていただいたりするのですが、達人となると、息を吸っているのか、吐いているのか分からなくなります。

最初は、

「はい、ゆっくり息を吐きながら、動いて下さい。」

などと言っていたのですが・・・息を吐いても吸っても同じようにお腹が動くので・・・・

「・・・息は、ゆっくり・・・」

お任せすることにしました。

「普段、息を吸いながら動くことは、あまりないのですが・・・」

「いや、打ち込む前に相手に気づかれないよう、息を吸い、一気に動く事もあります。」

武道家に呼吸法を軽々しく言えないと痛感しました。

近くで治療している私が、吸っているのか、吐いているのか分からないのですから、試合中の相手が、動きを察知するのは非常に難しいだろうと伺い知りました。

武道家の呼吸法恐るべし。

モゾモゾ体操(その2)イラスト3枚

今日来院の患者さんから、

「先生のフェイスブックに書いてあった体操、よく分からなかったんですよ!」

と助言がありました。確かに足のツボを載せ、文字で動きを説明するのは、無理があります。そこで、ポイントだけ文字説明で済ませ、あとは、イラストで解説してみます。

 仰向けになって、両膝を立てます。そして左足だけを倒した状態はイメージ出来ますか?

この倒した左足の内踝(うちくるぶし)から、膝の内側に脛骨(けいこつ)という大きな骨があります。

この脛骨(けいこつ)を右足の踵(かかと)でゆっくり踏みつける体操です。

ついでに、左手をお尻の下に敷くと、左肩甲骨から左指にかけて、圧力がかかり一石二鳥となります。

また、踵(かかと)以外の土踏まず、親指などで踏み込むと、バリエーションが増えます。

モゾモゾ体操(その2)

肘から指先にかけて、重要なツボがあるように、肘から足先にかけて、重要なツボがたくさんあります。特に足首の周辺は、最も大切なツボの密集地です。

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、外果治療点という新たなツボに、下肢の痛みや痺(しび)れなどのカラダの不快な症状を取る効果を見出しています。

今回はその大切なツボを刺激しながら、肘から指先までのツボも刺激するモゾモゾ体操。

仰向けになり、両膝を立てます。モゾモゾ体操(その1)と全く同じ姿勢です。両手はお尻の下敷きになったまま、片方の足だけを、敷き布団の上に倒します。そうすると足首やフクラハギを敷き布団の上に置くことになります。

その置かれた足首に突っ立った片方の踵(かかと)を置きます。あとは、踵(かかと)で足首を踏み込むだけです。

例えば、踏み込む足が左足の踵(かかと)ならば、右足首に圧力がかかっていき、大切なツボの刺激になります。また、体重が徐々に右側にかかってくるため、右肩から右手首にかけて心地よい刺激となっていきます。

呼吸法は、モゾモゾ体操(その1)と同じ。最初は自然呼吸→鼻から吐きながら→鼻から吸いながら、息を止めて一気に吐く

これが基本形で、踏み込む足をつま先、土踏まず等、変えたり、踏み込む位置をフクラハギ、太ももと変える事で、様々バリエーションが生まれます(^ ^)

モゾモゾ体操(その1)

モゾモゾ体操(その1)

操体法の創始者、橋本敬三先生は、90才の時大腿骨骨折のため、寝たっきりの生活を亡くなられる95才までされたと伺っています。しかし、先生の背中は床ずれする事なく、綺麗なままだったそうです。

生を受けた以上、誰しも迎える死。

全ての人が辿る道ですが、気持ち良く迎えたいものです。橋本敬三先生は、ベッドの中で、気持ち良く操体法をされていたのだと思います。それで綺麗な背中でおられたのだと思います。

そこで、私が90才を迎え、ベッド生活を余儀なくされたと仮定した時のモゾモゾ体操を作ってみようと思います。

イラストのように、肘から指先まで赤色の大切なツボ(要穴と言います)が、沢山あります。あと、こんなに要穴(ようけつ)があるのは、膝から足先にかけてのみです。
今回は、肘から指先までの要穴に、刺激を与えつつ気持ちよくカラダをねじる体操。

仰向けになり、両膝を立て、両手をお尻の下に敷き込みます。それでゆっくりゆっくり膝を倒します。ただそれだけ。

ゆっくり体重をかけるので、手首のツボにはいい感じで圧がかかります。呼吸は、ゆっくり動いている間は、出来るだけ鼻から吐きます。

可能なだけ倒した後は、今度は吸いながら倒します。そうすると、稼働域がもう少し広がります。限界まで吸って、あとは一気に吐けば、ワンセット終了。気持ちが良ければ、何回もしても構いません

また、両膝を倒し体重がかかってない方のフリーな手は、両膝と対角になるように、伸び伸びと伸ばしてみるのもいいですね。

ただし、これは掛け布団と敷き布団とに間が出来るので、冬場には不向きです。
まずは、こんな簡単なことからモゾモゾ体操スタート。

 

へそは正面

昨年7月から1ヶ月に3~4回のペースで来院の50才代女性Aさん。

病院では、変形性股関節症(右の骨が数ミリ削れている)と診断されました。

右の靴下がはけず、階段を上る時は、右足が外を向いてしまいます。そのため、左足だけで階段を上がっていました。来院初日は、極端に右足を引きづるヒョコヒョコ歩き。職場でも、

「どしたん、その歩き方‼️」

と言われていましたが、今回で26回目の通院。ついに右股関節の奥に一点の痛みが残る程度にまで回復しました。

「先生、母親の介護をしていて、ふと思ったんですけど、右足を前に出して母親を抱えると、右股関節に負担がかかるんじゃないかと・・・・・」

「あらら・・・その通り❗️介助している様子を、もう少し詳しく聞かなかった私が、悪るかったです・・・・・(≧∇≦)」

「右利きのAさんが、右足を出して抱えるとおへそが左向いて、正面にならないでしょ。その分余分な力が入るんです。左足を出すとおへそが正面向くので楽ですよ。」

私は、立て続けに喋り続けます。

「プロゴルファーが、ホールインしたボールを取る時、右足前にして右手で取るのは、カッコイイ~って思うかもしれんけど、腰に良くないの。おへそが左に向いて捻れてるでしょ~~。左足を前に出すと、おへそが正面向くので、取りやすいんです❣️」

「台所に立つ時も同じ、右手で包丁を持つんだったら、左足が前ですよ~~」

今回の治療は、山元式新頭鍼療法に、右手小指圧痛点のにお灸。これで、右股関節の痛みは無くなりましたが、改めて、日常の姿勢を問診することの重要さを感じたのでした。

そして、重心安定の法則「足は親指、手は小指」にもう一つ「へそは正面」を付け足すことにしたのでした❣️

クスノキの瘤(こぶ)渡り

左O脚をややX脚にする手術を受けた60才代の女性患者Aさんの続報。

「先生、ずいぶん良くなったので、小走りしてみようかと思たんよ。」

「通勤でここ(あじさいの杜鍼灸院)通るじゃろ。ほじゃけん、車から降りて、お陰様で調子がええって言おうと思たぐらいなんよ❣️」

Aさん、外果治療点だけで相当回復したようです。

これだけ回復すると、次の段階に進めます。そこで今回は、クスノキ木霊療法の「瘤(こぶ)渡り」。写真のように瘤(こぶ)を置き、なるべく壁や柱に触れないで渡るゲーム。

操体法の創始者橋本敬三先生が、「生体の歪みを正す」(創元社)p226で、

小学校の軒下に砂利道をつくらせて虚弱児童を毎日裸足で100メートルぐらい歩かせたら非常に有効であった。この話を、出征中、同僚の軍医に話たら、帰ってからこの人は1メートル四方ぐらいの砂場のような小石場をつくり、毎日そこで足踏みをさせて大いに有効だと語ってくれた。

とあります。神社で砂利道を、お百度詣りをするのは、実は、ご本人の健康のためにもいいことだったのです。

実際2004年、スペイン、マジョルカ島のジョアン・ミロ美術館で2カ月滞在して子供達と一緒に積み木遊びのワークショップをしたことがあります。

広い前庭に砂利、積み木、砂で道を作り、6周(300mくらい)し、10分お昼寝を2週間。

この時は、子供達のカラダが見事に変化し、元気になりました。

あの時の集大成が、クスノキ木霊療法の瘤(こぶ)渡り。

砂利道を歩くと痛いため、逃避反射をします。無意識の動きです。これは、カラダが欲している動きで、歪みを取ってくれます。

京都で操体法を追求し普及されている丸住和夫先生は、「おっとと・・・操体」と命名され無意識の動きを引き出しておられます。

また、総合格闘家の先駆者、平直行先生は無意識の動きと武術の本質を追求し、新たな治療法を確立されています。

私の師匠、今昭宏先生は、自発動と呼び皮膚に軽い刺激を与えながら、無意識の動きを導いています。

このように、無意識の動きに焦点を当て、治療している方々は、操体法関係者に数多くいます。つまり、橋本敬三先生の思いが、形を変えて展開しているのです。

さてAさんの瘤(こぶ)渡り。

「先生、これ痛気持ちがええね~~❣️」

と楽しそうです。5往復くらい柱、壁を伝(つた)いながら渡れました。背中の張りが、ビフォー、アフターでは全く違います。ある程度良くなった患者さんには、非常に効果的です。

その後は、外果治療点とその周囲に合計8の置鍼。頭には3本の置鍼で終了しました。

随分良くなったAさん、次回何を喋ってくれるか楽しみです。

白鵬の仕切り

幕内優勝41回の白鵬、どの力士と比べてても仕切りに、空(す)きがありません。

多くの力士は、仕切りの間に、廻(まわ)し(ふんどしの一種)をポンポンと叩(たた)き気合いを入れていきます。

その叩(たた)き方は、手のひらをただ廻(まわ)しに当て、ポンポンという音を立て、相手力士を威嚇する仕草のように感じられます。

しかし、白鵬は違います。廻(まわ)しを小指から弾(はじ)くように叩きます(写真では、よく分からないと思いますが、見る機会があれば、テレビで観察して下さい)。

「足は親指、手は小指」

という重心安定の法則にしっかり適(かな)った動作を白鵬は、当たり前にしています。小指主導で廻(まわ)しを叩くと脇が自然と締まっていきます。一瞬の立会いにより、勝負が決まる相撲。仕切りの動作に空(す)きがあると、立会いにも空きが生まれるように思います。

もう一枚の写真は、立会い直前の仕切りです。この時、白鵬は入念に右足の親指で土俵をこすり付けます。この時、重心は左です。右利きの人は左重心が自然で安定します。ですから、白鵬は安定した左重心からゆっくりと右足親指に重心を移し、一気に右足親指を起点に立会いへと向かいます。

白鵬のこの一連の動きの中に、相撲の奥義があるように思います。

カラダのスイッチ

左O脚をややX脚にする手術を受けた60才代の女性患者Aさん。

左脛骨を切り、脛骨の角度を変える手術を受け5ヶ月近く経過。左足をかばうため、右股関節から足首にかけての「気持ち悪さ」がありました。しかし、

「先生、前回の足首にした鍼が効いた気がするんよ!気持ち悪いのがのうなったわい。」

前回は、左足首の外側(外踝=そとくるぶし)の圧痛点4ヶ所に鍼の刺し置きをしました。これは、山元先生の完全なる真似事です。山元先生は、著書の中で、

「あの天井の電気を見てごらん。ほんじゃ今度はこの壁を見てごらん。ねっ、壁にスイッチがあるでしょう。ほんでこのスイッチを入れんと天井の電気はつかんでしょ。このスイッチが頭にあるんだよ。」

先生のスイッチという言葉を実感しています。確かに頭にスイッチがあります。

さらに、先生は足首の外側にも外果治療点という4ヶ所のスイッチを見つけておられます。

私は、この4ヶ所に鍼を刺し置きしただけです。

Aさんの過去のカルテを見ると、全く外果治療点に触れていません。ところが、前回、先生の真似事をしただけで、結果が出てしまいました。これは、凄いことです。そこで、今回も外果治療点4ヶ所と、その周辺の圧痛点に置鍼(鍼の刺し置き)。

その後、外果治療点4ヶ所にパイオネックス(円皮鍼)を張って終了としました。

「先生、正座が出来た❣️」

さらに、一歩進んだようです~~

利き目

春到来!

ポカポカ陽気。なんとなくバットを手にして、なんとなく振り回してみたくなりました。

弟から譲ってもらったバットは、非常に重いので、思い切って振る事は、なかなか出来ません。

気持ちよく体幹をひねってスウィング。右手を放して左手だけで持つと、バットの先端が、程良い勢いで回って来て背中を叩いてくれます。カラダほぐしに最高です。

私は、右バッター(高校、大学で野球をしました)だったので、左足をピッチャー側に出してスウィングします。肝心なのは、ボールがバットに当たった瞬間をしっかり見続けること。

ところが、私の利き目は左。右バッターの構えでボールを左目で見ているため、不自然です。しっかりと見えていないのです。

60才を過ぎ、動体視力が衰えてくると、その見づらさが、際立ってきます。ふわふわした感じで、打席に立っても打てる気がしません。

そのため、ヤクルトの名捕手八重樫(やえがし)選手のようにピッチャーに対しておへそを向け、左目でしっかり見なければなりません。

多分、八重樫選手も利き目が左だったため、あのような構えになったのだろうと思います。

これから、野球を始めようとする野球少年は、自分の利き目が右なのか?左なのか?知ってから始めましょう❣️

たとえ手が右利きでも、利き目が左ならば、左バッターになりましょう❣️見え方が全然違います。指導者もこのことは、しっかり指導すべきだと思います。

写真は、大学時代のスィング(川崎球場)「完全なるファールチップ、キャッチャーの頭上にボールが見えます‼️」後輩の岡野圭典君が撮ってくれました。いい写真をありがとう。