下肢上肢

運送業を営む50才代の男性患者Cさん。ケンビキ(肩甲骨の内側)が痛く来院6回目です。初診の頃の痛みが10としたら、今回の痛みは半分の5くらいです。しかも、運転中の痛みがが5で、普段の生活では痛みを感じることは、なくなりました。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)をしても、あまり反応がないので、正中線から4.5cm左のオデコの生え際にある圧痛点(C点といいます)に7本置鍼。

それからは、

上肢⇄下肢(山元先生が唱えておられるのを、私なりに解釈)左を上にして横向きにベッドで寝てもらいます。Cさんは、

「ここが、この一点(左肩甲骨の下の方)が痛いんよ・・・」

と、左肩甲骨にある圧痛点を私に、示してくれます。それに対して私は、骨盤の左腸骨の圧痛点をさがします。

「ちょっと待ってや・・・・ここじゃけん・・・ここどうなん?」

「・・・・」

「そしたら、ここ・・・・・?」

「・・・・・・」

全く、反応がありません。

「ちょっと、まってや・・・移動するけん・・・」

Cさんの背中側から圧痛点を見つけていたのを、お腹側からに変更しました。すると、Cさんの左肩甲骨の圧痛点に対応する骨盤の左腸骨のポイントが明確に分かりました。

「ここは、どうなん?」

「そこじゃ!」

やっと見つかりました。そこで、長くて太い鍼(2寸5番鍼=6cmで直径0.25mm)を刺します。

「来た・・・・・肘までシビレる!」

お尻に刺したのに、肘にシビレが来るのです。

「これで、どうじゃろ?」

「・・・・・・ええ感じじゃ。」

どうやら、Cさんのケンビキ(肩甲骨内側)痛はひとまず解決できたようです。

空腹健康法(その2)

私は、京都の山奥、美山町に10数年住んでいました。当時は3人の子供と嫁さんも一緒でした。そして、お利口できれいなミミという白ネコが家族の一員。そのミミがある日、テレビの横で、グッタリと横たわり、全く動かなくなりました。

「ミミ、どしたん?」

まじまじと、ミミを見回しました・・・どこか、変?・・・

「ミミ、あんた、その足(左の前足)どしたん?」

左前足がうちわのように腫れ上がり、ピンクで1cmくらいのキズが2本。どうやら、マムシに噛まれたようです。わざわざ、テレビの横に寝込んだのは、家族がいつもテレビを中心に夜はゆっくりするのを、知っていたから・・・・見守ってもらいたかったのでしょう。

2日間ほど、エサも食べず、ただただ横たわっていました。すると、翌日の3日目には起き上がり、何事もなかったかのように生活を始めたのです。この時、「ミミは偉い、カラダの治し方を知っている❗️人間も同じ動物、病気をしたら、何も食べず寝るのが一番。」と肝に命じたものです(最も、人間がマムシに噛まれて、治療を受けなければ、死んでしまいます)。

これが、前回の小冊子「空腹健康法」で述べていたサーチュイン遺伝子の働きによる全身の細胞の活性化です。この小冊子には、もっと怖いことが書かれています。近代栄養学の父、ドイツ生理学者カール・フォン・フォイトの提唱した肉食礼賛理論に振り回されて、アメリカでは急激に生活習慣病が増え続けました。ついには、1977年にアメリカ国民の健康を大変憂いて、「マクバガンレポート」が出される事になったのです。

生活習慣病の原因は、高カロリー、高タンパク、高脂肪、高精白の食事と指摘。病気を避けるためには、これらを取り過ぎない事と結論を出しました。にもかかわらず、アメリカの地方都市は、肥満に溢れています。肥満が普通と思っている人々が多いのに驚きます(2006年ケンタッキー州ルイビルでの3か月滞在)。

しかし、今だにカール・フォン・フォイトの栄養学が、世界中の栄養学の教科書の中枢を占めているそうです。この栄養学を信じ込んだ俳人、正岡子規がその犠牲者。もともと大食漢だった子規は、35才で没する1年前の日記には、毎日食べた物を一つ残さず記録しました。

朝食、昼食、間食、夜食・・・一回の食事で何と4杯のお粥あるいは麦飯を食しておられます。鰹の刺身、なまり節、牛乳等、重病人が、無理矢理食べて、疲れ果てています。弱ったカラダに強制労働。まさに拷問です。

この小冊子には、もっとリアルな事がたくさん載っています。興味ある方は、どうぞ!

search.rakuten.co.jp/search/mall/空腹健康法+真弓定夫/

父親は全て分かっていた

小学校の時から、本が嫌いで、国語の成績が悪かった私。父親が心配をして、少年少女世界の名作文学という分厚い本を買っくれました。例えば「日向が丘の少女」など、

「面白いのう~」

と読んではいくものの・・・・「あ~しんど!」

途中で、外に飛び出して日が暮れるまで遊びました。近所には子供たちが、クモの子を散らした様にあふれかえっていたので、木登り、川遊び、ビー玉、ボール遊び何をしても楽しかったのです・・・・あれから50年以上も経ちましたが、相変わらず本読みが嫌いなままです。それから、子供のころ出来ていた算数が、今では苦手。数字を見ると頭が凍りついてしまいます。

そんな私ですから、文章を書くのが最も苦手。手紙を書くのに半日費やすこともありました。前の嫁が、フリーライターだったため、文章を書けない私に呆れ果てていました。

私の事を一番よく分かっていたのは、父親だったようです。2か月で大学をやめ、アルバイトをしていた私に芸術の道を進めてくれました。また、小学校の時、神経性胃炎だった私を指圧で治してくれたのは、父親でした。その原体験で、私が鍼灸師への道を選んで行ったのです。

こんなに不甲斐ない私ですが、辛抱強く見守ってくれた父親に、感謝しかありません。

「とうちゃん、本当にありがとう。」

頭蓋骨⇄仙骨

 

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週はあんまり、調子よくなかった・・・・でも、この2日間は調子が良くなった。」

前回は、

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

の相関関係で、左下顎骨が痛いCさんに対して、左腸骨の圧痛点に鍼を刺し、頭頂部Kソマトトープ(小さな人型)の下顎骨に対応する個所に8本置鍼したのですが・・・・少し、本数が多すぎたのかもしれません。

今回のCさんは、左あご(左下顎骨)以外に、後頭部と首にも痛みがあります。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)から上腕診(肘窩横紋の触診)をし、左頭部に7本置鍼。

その後、ベッドに移動し、うつ伏せになって戴きます。

頭骸骨⇄仙骨

の相関関係から、後頭部(頭蓋骨)に痛みのあるCさんの仙骨圧痛点に鍼を刺します。3本ほど刺すと、

「先生、効いてる。痛みが取れました。」

後頭部の痛みは取れたので、今度は、左下顎骨。

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

この関係から、左腸骨の圧痛点に鍼を刺していきます。

「先生、効いてる。ナンカいいみたい。」

という事で、仙骨と腸骨の圧痛点にパイオネックス(円皮鍼)を貼り終了としました。

今回は、今まで以上に手ごたえがあります。来週の来院が楽しみです。

やわらかおもちお尻

鍼が嫌いなのに鍼灸院に来てしまった40才代の女性患者Aさんの続報です。今日は、左の肩コリがひどいそうです。鍼を使わない治療を行います。

山元式新頭鍼療法(YNSA)を導入しながら・・・と思い、鍼を刺す代わりに指先をAさんのオデコに置き、4~5分経過。

肘の内側が、柔らかくなっているはずです・・・・が、硬くて触れると痛みもあるそうです。

もう一度、やっても変わりません・・・こういう時は、あきらめます。

座ったままの姿勢が、やや緊張を呼ぶのかもしれません。ベッドに移動してもらい一番楽な姿勢になってもらいます。

「うつ伏せが楽です。」

Aさんの左肩、確かに大きなコリがあります。

仙骨⇄肩甲骨の関係で、バランスを取っているので、左肩コリがあると、左仙骨の近くに必ず圧痛点があります。

「痛い!」

仙骨中央部ある圧痛点に軽く中指を置きます。

「Aさん、カラダに変化が出てきたら、教えて下さい。眠くなったら眠って下さいね~」

仙骨周辺の圧痛点を探し、5~6分おきに指の位置を変えていきます。

「Aさん、肩こりどうですか?」

「楽です・・・いい感じです。」

こうなってくると、気が付いたところに指を置いていき、全身が緩むようにしていきます。

Aさんのお尻がトンガっていたのですが、徐々に緩み柔らかいおもちの様になりました。

この時点で、終了。

この治療法、Aさん気に入っておられます。

「気持ち良かった!」

と、笑顔で帰られました。

肩甲骨⇄腸骨 頭蓋骨⇄仙骨

体調崩すと来院される60才代の男性患者Aさん。朝起きると、腰に張りがあり前屈すると骨盤の上が痛いそうです。午前中に電話があり、夜8:30からの治療となりました。

「先生、今日は鍼じゃのうても、ええけん。治して下さいや。」

『よっぽどのことが無い限り、鍼以外はしません・・・』と思いつつも、言葉には決してしません。

合谷診(人差し指と親指の触診)の後、とくに眉毛の上の圧痛点に左右合計6本置鍼。Aさん

は、三叉神経痛の持病を持っていたこともあり、眉毛の上を丁寧に診ると、mm単位で圧痛点があります。この置鍼だけで、腰痛はかなり軽減しました。

「先生、痛みが点になった来た・・・今は、ここじゃわい!」

仙腸関節の出っ張り(上後腸骨棘:じょうごちょうこつきょく)の上にゴリゴリがあります。

肩甲骨⇄腸骨

と考えると、肩甲骨下角(かかく)あたりが、仙腸関節の上に対応します。丁寧に探すと、

「先生、そこじゃ!痛い!」

Aさんの圧痛点は、あちこちに移動するので、それに合わせて

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

の見方を追加しながら、鍼を刺していきます。頭骸骨⇄仙骨の見方から、頚椎1番あたり(天柱:てんちゅう)で、腰の圧痛点が取れていけます。

最近では、天柱に鍼を刺すという意識ではなく、腰に対応する頚椎の圧痛点に、鍼を刺すという感覚で治療しているようです。

「先生、そこじゃ~~、爆弾が破裂した・・・・ハアアハ・・・頭まで電気が走るし、腰に来た~~」

Aさんの実況放送は、生々しいしいので、テープで録音したいくらいです。まあ~よくもこんなに言語化できるものだと、感心してしまいます。

「先生、もうこれで十分じゃ。」

いつものように、治療の終了をAさんが決め、

「また痛なったら、突然電話しますけん、よろしくお願いします。」

ニコニコ顔のAさん、スタスタと帰られました。

大反省

今回の山元式新頭鍼療法(YNSA)中級セミナー1を受講して、大反省しているところです。

最も大切な、基礎治療の意味合いを知っていなかった。なぜ、基礎治療というのか・・・

なぜ、講師の加藤直哉先生が、中級セミナーでもしっかりと、初級セミナーの復習をしっかりとされるのか?

それは、脊椎と脳=自律神経で最も大切な「カラダの自動調整装置」だからです。

主訴、疾患名に関わらず、かならず基礎治療として、自律神経を改善させるために、脊椎と脳は最優先治療として、行うのです。

ベテランの先生方は、何を今さら・・・と思われるでしょうが、認識不足の私にとっては、目からウロコでした。改めて、テキストを読み込むことの大切さが分かりました。

いつの間にか、我流になっている置鍼も、もう一度、テキストに沿ってやってみます。

一人で、患者さん相手にやっていると、いつの間か勝手な思い込みが一人歩きして行くので、我流になっていくのだと思います。多くの先生方との勉強会に参加する必要性を感じました。

そういう姿勢と、「やれる、できる、大丈夫」の心構えで、楽しくやります~~

私の祖父、佐伯惟揚(これあき)は、背筋を常に伸ばして、颯爽(さっそう)としていました。あれが、生き方なのでしょう。私には出来ません。私は一人でいると、うつむき加減になってしまいます。

祖父は、俳人で180名の弟子を持っていました。そういう立場も姿勢を作り上げるのだと思います。また、書家でもあった祖父は、正しい姿勢から書が生まれる事を知っていたのだと思います。私が小学校3年生くらいだった頃、祖父が参観日に来てくれました。おちょうしものの私は、キョロキョロと落ち着かない様子だったそうです。舞い上がってしまい、左膝をペロペロなめていたそうです。

それ以来、長い物差しを背中に差され、正座で机に向かう練習をさせられました。また、鉛筆の持ち方、箸の持ち方もしつこく注意されました。型から入る日本の習い事は、必要な事だと、今になって感じます。

今、御茶ノ水のソーラーシテイーという高いビルの2階で、山元式新頭鍼療法(YNSA)の中級1セミナーに参加しています。講師の加藤直哉先生が、セミナーの最初にされるのが、全員起立して、両手の甲を腰に当て、スーパーマンのポーズ。

「やれる、できる、大丈夫!」

を、3回叫びます。これが型から入る自己啓蒙。祖父が示していた型の現代版だと思います。もう、すっかりスーパーマンです!

蘇れ生命の力

昨年まで、現役の小児科医として東京の吉祥寺で開業されいた真弓定夫先生(88才)のドキュメンタリー映画「蘇れ生命の力」をみました。真弓先生は、生活習慣のアドバイスをする事で、動物として本来持っている生命力を蘇らせる治療をされています。対処療法である、薬投与や注射はしません。

いずれは、書いていかなければならないテーマ。今回、このドキュメンタリー映画を見て、少しずつ書いてみようと思います。「生き方」です。

私のような、芸術活動中途半端、子供3人育てられなかった鍼灸師が、生き方をいう資格はありません。何一つ成し遂げていない男が、生き方を言えない。

ただ、身近な人で凄い生き様をさらしてくれた人がいたので、その人を語ることから、少しずつ「生き方」を語ってみたいと思います(明治生まれの日本人は、そこかしこに凄い人がいたのです)。

私の祖父、佐伯惟揚(これあき)が死を前にした時、むく~っと渾身の力で起き上がり、親族が見守る中を、最敬礼し一人一人に挨拶をしてくれました。

「じいちゃん~~・・・ありがとう・・・」

「じいちゃん、じいちゃん、じいちゃん!」

あの姿こそ、「生き方」です。あの死に方が「生き方」。

この世に生を受け、死を直前にした時、同じ血を分けあった親族に見守られ、次の世界・・・

じいちゃんは、我々の知らない世界に行く先駆者・・未知の世界を生きることが「生き方」

次回に続く

操体法とYNSA

鍼治療が嫌いな40才代の女性患者Bさん。最近、休息を十分とっているので、体調が比較的良いそうです。ただ左肩がやや上がりづらい。

鍼治療封印中のCさんは、操体法で治療します。

Cさんに左側を上にして横向き(左側臥位といいます)になってもらいます。左肩が悪いと、左腰に圧痛点があります。

「Cさん、左足をベッドの外に、ゆっくり投げ出していただいてよろしいですか?」

「はい・・・・こんな感じですか?」

Cさんの左足がベッドより低い位置に下り、足の重さで徐々に螺旋を描くような動きが生まれてきます。Cさんの足先を右手で軽く包み込み、踵(かかと)を左手で支えるように軽く触れます。

Cさんは、これだけで気持ちいいのですが、この状態から、元の状態にもどる動きをしてもらいます。

「はい、そうしたら・・・この状態から、ゆっくりと足先を、元の方向に戻していただいて

よろしいでしょうか?・・・実際には、私が足を持っているので、動くことはないのですが、カラダの中がゆっくり動きます・・・・決して無理しないで・・・・カラダの中心・腰を使いながら・・・気持ち良く・・・・・・・・痛かったら、やめてください。」

このような言葉がけをしながら、動きの操法を続けます。

「Cさん、左肩はどうですか?」

「あっ・・・上がりやすくなっています。」

次に、皮膚に触れる操法。Cさんに左肩の圧痛点を聞き、それに対応する左下肢の圧痛点に軽く指先を触れるだけです。約10分くらいで、カラダに変化が現れます。最後は、左肩に対応する頭の部位に指先を置き、Cさんは仰向けでゆっくりしてもらいます。

「あ~~、気持ち良かった・・・頭に触れもらうの、気持ち良かったです。」

これで、Cさんの左肩が、す~と上がりました。

操体法と山元式新頭鍼治療法(YNSA)は、うまく融合出来そうです。次回は、Cさんの言われたように、頭に指先を触れる操体法を多くしてみましょう。