ウソみたい

60才代の男性患者Cさん、2日前に重い物を持って 階段を降りたのがアダとなり、ギックリ腰となりました。前かがみが出来ないため、靴ヒモも結べない状態です。また、体幹をひねる時は、ゆっくりと慎重にしないとできません。寝返りが出来ずその痛みで夜中に起きることがあるそうです。ガッチリとした体型のCさんは、頸椎ヘルニアや、左アキレス腱断裂などの怪我で病院に行くことはありましたが、今回は、ギックリ腰のため初めて、鍼灸治療を受けられることになりました。やはり、鍼灸治療は、痛い熱いといったイメージがあるようで随分緊張されています。

合谷診:左(左側を診断する)

膝診:左頸椎#1~4(2)、左胸椎#1(1)、#8(1)、脳幹(1)

上腕診:左腰椎(4)

首診:左膀胱(1)、左三焦(0)、右三焦(0)、右脾(0)

(  )内は置鍼数

膝診では、腰に圧痛点が見受けられませんでした。こういう時は、上腕診を行います。圧痛点が見つかったので、4本(腰痛治療点=D点に)置鍼をしました。

「どうですか?」

「・・・・・言葉は、悪いですけど、ウソみたいですね。イスから立ち上がることが出来なかったのに、出来る・・・早い動きができなかったのに、出来る・・・・前かがみも・・・出来る。これだったら、靴ヒモが結べます。」

「そうしたら、もう少しやりましょう。」

まだ、首診からの治療点へ置鍼がされていないので、膀胱狙いで1本置鍼すると、他の圧痛点もなくなりました。そこで、トルコの先生に習って側頭部の治療点に2本置鍼。

「これで、どうですか?」

「ちょっと、寝返りしてみます・・・・・出来る!ここへ来る前は、後ろに反らすことしか出来なかったのに、反らす方がちょっと痛いくらいです。」

後は、足に見つけた治療点に5壮お灸をしました。

「これでどうですか?」

「・・・・ひねりが、もっと楽になりました。来た時が10の痛みとしたら、今は1です。」

4日後の予約をされて、軽快に帰られるCさんでした。

調子がいいんです

60才代の女性患者Aさん、今回で3回目の来院です。

「先生、目が変わったと思いません?」

来院するや否や、Aさんがおっしゃいました。確かに、目が大きく優しい感じになっています。

「調子がいいんです。特に治療を受けてから2~3日経った方が調子がいいんです。効いているんですね。それから、前向きになってきました。」

1~2ヶ月前、ショックなことがあり、気分が滅入っていたAさん、少々うつ気味だったのでしょう。名著「あきらめなければ、痛みも、麻痺も、必ず治る!」から引用します。

『うつ病

以前は、性格や気持ちのあり方に原因があると思われていた「うつ病」も、ここ数年の間に、この神経伝達物質の働きが深く関わっていることがわかってきました。気持ちや意欲などに関する「セロトニン」や「ノルアドレナリン」と言う神経伝達物質が不足することによって、気持ちが落ち込む、不安な気持ちになる、集中力が下がる、また体調不良などの症状が起こることが明らかになってきたのです。精神の強さなどが原因とされる事は全くの誤解で、大きなショックを受けたことがことなどがきっかけとなり、神経系の働きに障害が起きる1つの病気であるということがわかってきました。』

とあります。Aさんは、ショックを受けたのを機に、セロトニンやノルアドレナリンが不足したのです。それを、カラダの訴える声を聞き、治療点に置鍼する事で神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンが出始めたのだと思います。これからも1週間に1回のペースで通院されます。これからどのように変化していくのか楽しみです。

顎関節症

山元敏勝先生の著書「あきらめなかれば、痛みも、麻痺も、必ず治る!」は、さすがに150万人の患者さんを診て来られた叡智が凝縮されています。さらっと述べておられる言葉の重みにやっと気づくことができるようになりました。これには、顎関節症の中学生が一回の治療で治った事例が載っています。下記に紹介します。

『この患者さんは日南に住む中学生の女の子でした。突然口が開かなくなり、その日のうち、すぐに来院されました。ショートカットの快活そうな女の子でしたが、急に口が開かなくなったことへのショックと不安から、とても元気がなく心配そうな顔をしていました。

口はわずか指が1本入るくらいにしか開けることができず、「口を開けて口を動かしてごらん」と言うと耳の付け根あたりにカクカクすると言う違和感と顎の痛みを訴えました。なんとか会話はできるものの、ままならない状態で、もちろん、何かを食べると言うことも全くできる状態ではありません。

私の西洋医学としての診断は、顎の関節に障害の起きる「顎関節症」でした。YNSAの首診を行うと、脳神経に関係する4つの点に明らかな反応が見られました。「顎関節症」が起こる原因は人によってさまざまですが、顎の関節の動きは脳神経がコントロールをしているため、この女子の場合には、この4つの脳神経に何らかのトラブルが起きていたと考えられました。』

「顎の関節の動きは脳神経がコントロールをしている」ということがポイントです。脳神経というのは、脳から末梢神経が出ている12種類の神経をいいます。例えば、2番=視神経、3番=動眼神経、5番=三叉神経etc.

それらの治療点は、生え際の正中線に1cmずつ左右の平行線を引いて頭頂部に行く線上に12点ならんでいます。まず私は、顎関節症がこれらの脳神経と関わりがあるという知識がありませんでした。次に、その脳神経を首診で探ることができることを知りませんでした・・・これを知っておれば・・・まあ~後ろを見ない、前身あるのみ!

デルマトーム その3

2ヶ月前から週1回の通院をされている70才代の男性患者Bさん。立ち上がるとお尻から太ももの内側にかけて痛みが走ります。お灸や操体法を日常的にされるようになり、徐々に痛む個所が狭まってきています。今までデルマトームを意識しないで治療していたことを恥ています。というのは、デルマトームを念頭に置いて行った今日の治療で、効果が出たからです。問診をよく調べてみると、風呂場で尾骨を打ったことがあったのです。これがどうやら影響していたようです。もう少し問診を見直す必要があります。

Bさんは、特に右側のお尻から太ももにかけて痛みがあります。S2~3のデルマトームに当たる個所となります。そこで、耳の上部付け根から頬骨弓(きょうこつきゅう)にかけ腰椎仙骨の治療点が並んでいます。その中で仙骨治療点が狙いになります。最大圧痛点に置鍼していくと、ものすごい硬さを感じたので、

『これは、雀啄(じゃくたく=鍼を上下する方法)でいくしかない!』

と2~3分行います。

「これで、お尻はどうですか?」

「・・・・軽なった・・・まだチョット芯がある感じじゃけど、ようなっとる。」

そこで、左のS2~3のデルマトームを狙って左耳前の圧痛点に置鍼すると、右ほどの硬さはなく、スムーズに置鍼できました。

「今度は、どうですか?」

「・・・・・軽い、左は痛みがなくなった。後は、右だけ。」

「そしたら、後はお灸をして終わりましょうか?」

右足にお灸を5壮して終了となりました。

デルマトーム その2


先日来院された70才代の男性患者Cさん、今年頸椎の手術をされたにもかかわらず左手の2指、3指、4指にシビレがまだあります。そこで様々なアプローチで置鍼7本、左足2趾、3趾、4趾にお灸をしたのですが、結局シビレは取れませんでした。それ以来、連絡がないのでもう来院はないと思います。

デルマトーム(皮膚分節)を考えていなかった・・・・と、反省しています。頸椎7番が丁度左2、3、4指にあたります。私が膝診で頸椎は2番、3番を狙ったのはどうやら間違っていたようです。

私が色を付けたデルマトームですが、頸椎をあらわすCは、Cervical Spine、胸椎をあらわすTは、Thoracic Spine、腰椎をあらわすLは、Lumbar Spineです。私は色で覚えるタイプなので、Cは、clear(澄み切った)のイメージで白色、Tはお茶のイメージで緑色、Lはland (土地)のイメージで茶色、Sはsky(空)のイメージで青色として覚えます。数字は1は、王貞治さんか、エントツ(1こんな形のイメージだから)とにかく、イメージで覚えるので年を取っても簡単に覚えられます。

ただ、顔面がVの意味が良くわかりません。三叉神経は英語ではtrigeminal  nerveで違います。多分、三叉神経は脳神経の5番=V、なのでVだと思います。Vはviolet(すみれ色)のイメージで塗りました。今日からの患者さんには、常にデルマトームを頭に入れようと思います。

アゴが痛い

2週間に1回来院される60才代の女性患者Cさん。2日前から右アゴに痛みを感じるそうです。Cさんご自身は、右を下にして眠っていたので、右アゴに圧がかかったからとおっしゃっていました。今まで、この様なことはなく初めての経験だそうです。

合谷診:左(左の膝診を行います) 

膝診:左頸椎#5、#6(1)、左胸椎#6(1)、#9(1)、大脳(1)、脳幹(0)、小脳(0)

首診:左腎(0)、左膀胱(1)、左肝(0)、左胆(0)、左心包(1)、左大腸(1)、左三焦(0)、左胃(0)

:左脾(0)、左小腸(0)

:右胃(0)、右脾(0)、右小腸(0)

(   )内は置鍼数

Jソマ(頭頂部)のアゴ狙いで2本置鍼したので、アゴの痛みが少し減りましたが、まだ痛みがあります。山元敏勝先生のYouTubeで、顎関節症の患者さんに対して、直接アゴに置鍼していたシーンがあったので、Cさんに口をあけて痛いところを教えてもらいました。

「ここです。」

Cさんは、ゆっくり右人差し指の爪をしっかり押さえて、教えてくれました。その個所に深さ1cmほど直角に置鍼。するとCさんは口を開けながら、別の圧痛点を教えてくれました。結局3本置鍼することになりました。

「これで、どうですか?」

「・・・・・だいぶいいです、来た時と比べたら、全然違います。」

やはり、アゴに関しては直接圧痛点に置鍼してもいいようです。血流が良くなるので痛みが無くなっていくのだと思います。いつも、患者さんから学びます。Cさんありがとうございました。

前屈出来ない腰痛

インターネットを見て来院された50才代の女性患者Aさん、4日前に前傾姿勢を取った時に、腰から背中にかけて、痛みが走りました。前屈が出来ない状態です。

合谷診:左(左側の診断を行う)

膝診:頸椎#1(2)、胸椎#12(1)、

上腕診:腰椎(1)

首診:左腎(1)、左膀胱(0)、左胆(0)

右腎(0)、右膀胱(1)、

(   )内は置鍼の数

頸椎の治療点に2本置鍼して、診断点の圧痛が取れました。Aさん反応がいいので胸椎の置鍼に期待することにしました。というのは、上腕診と違い、膝診は頸椎#1~7、胸椎#1~12、腰椎#1~仙骨と細かく診断できるので、Aさんの胸椎#12に圧痛があるということは、上手く#12治療点に置鍼すると、胸椎#12の圧痛が無くなる可能性があります。置鍼して、

「Aさん、腰どうですか?」

「・・・・どこが痛いんか、分からんようになった。」

どうやら反応が出てきたようです。そこで、膝診では反応がなかった腰診断でしたが、上腕診を行うと反応があったので、腰の治療点に置鍼。

「Aさん、これでどうですか?」

「・・・・違和感が、無くなった・・・あれ?前屈できる!」

4本の置鍼で腰痛がなくなりました。あとは、内臓の治療点に置鍼して終了となりました。そのあとは、置鍼して30分時間があるので、血液の話、山元式新頭鍼療法(YNSA )などの話をして過ごしたのです。

「大変勉強になりました、ありがとうございました。」

のお言葉をいただきました。ありがとうございます。

 

鍼を刺さない鍼

40才代の男性患者Bさん、大きなバルブを回したり、無理な姿勢を取ったりする仕事(職業は聞いていません)をしています。左腕を水平後方に引くと肩(三角筋)に痛みが走るようになって2ヶ月経ちました。2ヶ月間我慢していたのですが、限界を感じて初めて来院されました。問診ではすこぶる健康。無理な姿勢で仕事をした為、肩に負荷がかかり痛みが生じたようです。

「私の鍼は、頭に刺すのですが・・・よろしいですか?」

「・・・・うん?・・・・そう言えば、頭に刺すと言ってたかな?」

奥様に「あじさいの杜鍼灸院」の名刺をお渡しする際、頭に鍼を刺しますとお伝えしたはずです。それを奥様は伝えてくださったのですが、Bさんはうる覚えで来られたのだと思います。

「それって、痛いんですか?」

「はい、結構痛いですよ・・・・でも、よく治ります。」

「・・・・鍼は痛くないと、思っていたのに(Bさんは、松山市内で通っていた鍼灸院がありました)!」

「足に痛くないお灸をすることもできますが・・・・痛くても、治ればいいんですよね・・・」

「・・・・まあ、それはそうですけど・・・」

と、Bさん来院されたのを少し後悔しておられます。そこで、畳部屋に移動して骨盤、鎖骨調整をしている途中、

『Bさんは、痛いのが嫌い・・・・いたって健康。そしたら、臀部の押圧と操体法で治そう!』

と、方針が決まりました。痛い肩が左なので、左を上にして横向き(左側臥位)になってもらいます。Bさんが痛いのは左肩(三角筋)。三角筋に対応するのは、臀部です。どういうことかというと、山元式新頭鍼療法(YNSA)では、おヘソを中心に折り曲げて対応する点が治療点として存在するという考えがあります。つまり、肘=膝、手親指=足親指という考えです。それで、私は三角筋=臀筋と考え臀部の圧痛点を丁寧に押圧することにしました。10分ほど経って、

「どうです?」

「・・・・あれ?結構・・・いい。」

「そうでしょう!・・・そしたら、軽く触れるだけにしますね。私が、鍼灸師になる前は、これで治していたんです・・・・(しばらく時間が経って)・・今、どうですか?」

「・・・・マジで?すごっ・・・痛ない!」

「もう少し、痛いところ探しますね。」

「・・・痛い!そこ(臀部)痛いです。」

「・・・・・軽く触れますね・・・(しばらく経って)・・・どうですか?」

「・・・痛ない、ちょっと違和感があるくらい。」

「来られた時が10の痛みだとしたら今はどのくらいですか?」

「1です。」

痛みが再発したら、来院する事をお伝えしし終了となりました。

 

指圧のみ

以前、ガニ股の患者さんの考察を下記のように記しました。

『ガニ股と右臀部痛を考える

70才代の男性患者Cさんは、右に側屈すると右臀部に痛みが出ます。Cさんは、仰向けに寝ると足の小指側全体がベッドにつき横一線になるほどのガニ股です。右側の深部にある筋肉が縮むことで坐骨神経を刺激している可能性はあると思います。理由は、Cさんが右側に側屈すると、      坐骨神経の流れにそって痛みとシビれが出るからです。

骨盤の外には、小臀筋、中臀筋、大臀筋といった筋肉があります。Cさんのこれらの筋肉はガニ股のため、かなり収縮していると思います。これらの筋肉を緩めるには、おヘソを中心にして対応する筋肉である上腕の三角筋前部繊維、三角筋中部繊維、三角筋後部繊維を緩めることです。つまり、中臀筋が痛いようだったら、上腕の三角筋中部繊維の圧痛点に刺鍼して痛みをとります。このように、おヘソを中心にして上半身と下半身が対応しそれぞれの治療点が存在します。しかし、小臀筋、中臀筋、大臀筋は、それほど深部の筋肉ではありません。

梨状筋(りじょうきん)を始めとする仙骨、恥骨、坐骨辺りの筋肉の方が内蔵に近く深部(骨盤の内側)にあります。それでは、これらの筋肉に対応する上半身の筋肉はどこでしょう?梨状筋は胸鎖乳突筋と対応しているように感じます。胸鎖乳突筋の深部には様々な筋肉があります・・・・これらの筋肉が仙骨、恥骨、坐骨辺りの筋肉と対応しているかも知れません。』

本日はCさんの診察日。やはり、右側に側屈をするとお尻の深部(梨状筋辺り)に痛みがあります。そこで、右側を上にして横向きになってもらいます。Cさんの胸鎖乳突筋を軽くふれると、

「痛った!」

硬く平たい感覚を感じられます。どうやら、「ここが緩むと梨状筋が緩む」と、確信めいたものを感じました。そして、今日は指圧だけで治そうと思ってしまいました。私が松山で開業する以前は、新宿の歌舞伎町にある「あしカラダ」というリラクゼーション店で2~3年働いており、指名客を抱えていたことがあったのです。鍼灸師だったので、リラクゼーションというより治療をしていました。その為、店長から「佐伯さんは、奥のベッドでやってください・・・皆んなとは違うことをしているので・・・」と言われていたものです。

ただ、鍼灸院を開業してからは、指圧の技は封印していました・・・・しかし、今回だけはどういう訳か、やってみたくなったのです。しばらくCさんの胸鎖乳突筋をほぐし、かなり柔らかくなった時、

「ちょっと、これでどうなるか・・・チェックしてみてください。」

「・・・・あれ?お尻の奥は痛ない・・・けど、ここ(臀部の表面)が痛なった。」

やはり、思った通り梨状筋と胸鎖乳突筋は相関関係にあるようです。そこで痛みがある大臀筋、中臀筋、小臀筋と相関関係にある三角筋の前部繊維、中部繊維、後部繊維を指圧。

「これでどうですか?ちょっとチェックをしてみてください。」

「あれ?痛ない・・・・けど、左のお尻が痛なった。」

「そしたら、今度は左を上にして横向きになってみてください。」

今度は、左三角筋の前部繊維、中部繊維、後部繊維をゆっくりと指圧。

「これで、どうですか?」

「左の痛みは無くなったけど、また右に少し痛みが・・・」

左、右と忙しく痛みが移りますが、今度で終わるだろうと思いながら、Cさんに右を上にして横向きになってもらい、再び三角筋の前部繊維、中部繊維、後部繊維を指圧。

「さて、これでどうですか?」

「・・・ああどうもない、全然違う」

ということで、終了となりました。Cさんには、硬式野球ボールを使って胸鎖乳突筋や三角筋に刺激する方法をお教えしました。次回は1週間後の来院となりますが、どうなっているか楽しみです。

音がした

私が鍼灸師になる以前、操体法でカラダの歪みを取ることをしていました。その時は、動きの操法と皮膚に軽く触れるだけの操法を併用してやっていました。現在では、鍼灸治療が主流になっていますが、山元式新頭鍼療法(YNSA)の治療点を指で軽く触れるだけで治すことも始めました。

鍼灸治療に抵抗を感じる人や、ストレスで疲れすぎたカラダの患者さんには、有効です。

前回にもご紹介した70才代の女性患者Aさんの続報になります。前回はオデコの治療点に軽く中指を置くだけで、黒い雲が首に湧いて来て、ゆっくり登頂部まで上ると出ていき肩が軽くなりました。今回も肩こりが気になるそうです。ベッドで仰向けになっていただき、足揉みができる位置まで、ベッドをあげます。まずは、足、指を揉む操法でゆっくりしてもらいます。Aさんの特徴は、常にカラダが緊張していることです。特に指先にその状態が出ています。足指を揉んでんいくと多くの患者さんは、足の力が抜け緩んでくるのですが、Aさんは緊張したままです。それでも気持ち良い」とおっしゃっています。

次に、後頭部へ両手のヒラを回し、水をすくうような感じでただ、じっとする操法。

「どうですか?」

「足に水が流れて始めた。」

前回同様、足に水が流れる感覚が生まれました。足指を揉んだ時に感じる緊張感を水が流れる感覚でゆるめているのかも知れません。いつも間にか、肩のコリが無くなっていました。

「どこか気になるところありますか?」

「やっぱり、左の膝が気になる。」

慢性的な膝痛を抱えるAさんに、足に見つけた治療点へ右中指を軽く触れる操法を始めました。すると、

「膝の筋が緩んできた。」

触れている右中指の先端から、何となくカックンと緩んだ感じがありました。

「あれ?音がした。」

私も音を感じました。こういうことは、良くあります。どうやらAさんには指先を触れる操法が合っている様に思います。最後に足揉みをして終了となりました。