鍼2本

「主人の調子が、あまり良くないので診ていただけますか?」

半年ぶりの電話をいただきました。ご主人は、40才代のトラック運転手Aさん。4~5日前から肩こりが激しく、胸もむかつき息苦しいそうです。今回もご夫婦で来院されました。

「そうしたら、いつものように自律神経を整えて、内臓の状態を首で診て、側頭部に鍼を刺しますね。これをするだけで、肩こりが治ったり、息苦しさがなくなったりするかもしれません。」

と説明した後、合谷診(人差し指と親指の間の触診)、上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)をしますが、圧痛点がありません。自律神経は問題ないようです。次に、首診をします。

首診

左:腎(0)、膀胱(1)、胆(0)、心包(0)、心(1)、三焦(0)、小腸(0)

右:腎(0)、膀胱(0)、心(0)

首診で一番痛い個所が膀胱でした。そこで、左側頭部の膀胱治療点にゆっくり時間をかけて置鍼。この時、Aさんは私が、鍼をゴリゴリとねじりながら刺入している様に感じたそうです。実際には、鍼を刺入するとAさんのコメカミ周辺の筋肉が勝手に動いて、鍼を食べる様な感じでした。この置鍼で心診断点以外の診断点がゆるみました。残った心診断点の治療点に置鍼してAさんに聞いてみました。

「今、肩の状態はいかがですか?」

「・・・・いいです。」

「右肩はどうですか?」

「・・・・右も軽いです。」

「むかつきは、どうですか?」

「・・・・大丈夫です。」

「そしたら、今日はこれで終了です・・・・あとは、30分ほどゆっくりしてください。」

かなり、時間が余ったので、患者さんとして来られた娘さんの様子とか、山元式新頭鍼療法(YNSA)の説明などをしながら過ごしました。Aさんは、猛暑の中長距離トラックの運転をしているので車内と外気の温度差、そしてコロナ禍による精神的負担などが体調を狂わせているのだろうと思います。同僚の方2人、仕事を休んでおられるそうです。

操体法とYNSA

鍼より操体法の方があっているという70才代の男性患者Cさんの続報です。Cさんは、20年ほど前に1mの段差のところで転んで以来、両膝痛に悩み、8ヶ月前から毎週来院されています。現在は、農業に従事され、かなり無理をして働いても大丈夫になってきました(最も、最近の猛暑では、無理をしていません)。

合谷診(人差し指と親指の間の触診):左(左側から治療します)

上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)

左:腰椎、大脳、小脳

右:脳幹、大脳、小脳

首診

左:膀胱、肝、胆、心、小脳

右:肝、胆、心

上記に圧痛点があります。

奥のベッドで仰向けになってもらい、両膝を立ててもらいます。膝内側の圧痛点は右膝の方が強いので、右側から操法を始めます。ただ、あきらかに両脚のフクラハギとフトモモ内側に、硬い張りがあります。

Cさんには、右足つま先をゆっくりスネにを上げる動作をしてもらいます。実際には、私が左手で足の甲を軽く押さえているので、Cさんのつま先は動きません。ゆっくりカラダが連動して微(かす)かな動きをします。ポイントは、気持ちの良さ。気持ち良さを感じたら、それをゆっくり味わうことが治療となります。痛みを感じたらやめます。そのため、非常に安全な治療法です。

その後、足底を気持ち良く伸ばしたり、膝内側に気持ち良く圧をかけたり、同側の前腕を気持ち良く伸ばしたり・・・・

両膝の周辺は柔らかくなりました。ただ、左フクラハギに1ヶ所圧痛点が残っています。そこで、圧痛点に対応する左前腕の圧痛点を見つけ、軽く指先を触れるだけの操法。

「軽く触れていますから、何かカラダの方で変化があったら教えてください・・・・眠くなったら、眠っていただいて結構です。」

しばらく経って、

「・・・左の肩に痛みが出てきたんですが・・・・」

「・・・・そうしたら、そこを意識して・・・そこに息を吹きかけるようにしてみてください・・・・Cさん、過去に左肩をケガしたこと、ありますか?」

「・・・・・7~8年前、肋骨を折ったんですけど、その時、左肩を打ったんです。」

「この操法をしていると、カラダが過去のケガを覚えていて、痛みを出して治ることが、結構多いです。」

などと話しているうちに、左肩の痛みは消えました。次に、首診で一番痛かった心(心臓)診断点を押圧し、痛みを確認。左側頭部の心(心臓)治療点を見つけ、指を軽く触れます。

「・・・・・カラダがゆるんで行くのが、分かります・・・・ものすごく気持ちいいです・・・」

Cさんは、その後30分ゆっくり休んで(眠って?)いただきました。そして、上腕診、首診をすると、全ての圧痛点がなくなり、ゆるんでいました。

Cさんには、操体法があっているようで、肩に痛みを感じると、ご自身の指をオデコに軽く当てて治しているそうです❣️

心と小腸

連日、猛暑でしかもコロナ禍。だれもがお疲れモードです。そんな時、首診という12内臓診断点に少し変化があるのでは・・・・・気のせいかもしれないので、読み流してください。

最近、何となく心(心臓)と小腸に圧痛点が多いようように感じます。心と小腸は、臓(実質臓器→つまった臓器)と腑(中空臓器)、陰と陽で対になる臓腑です。血液は小腸で作られるという千島学説を真理だと思っている私は、猛暑で食欲もなくなり、消化吸収も悪くなるので、血の量も質も低下し心臓にも負荷がかかっているのではないかと、推測しています。もちろん、異常な発汗が血液に影響を及ぼすことも考えられます。

60才代の女性患者Cさんは、月に2回、体調管理で来られます。今回は肩こり。

合谷診(人差し指と親指の間の触診):左(左側から治療を始めます)

上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)

左:頸椎(1)、胸椎(0)、腰椎(0)、大腸(0)

上記は、オデコの中央部やや左側の生え際に1本置鍼し、その影響で他の圧痛点がなくなったことを示しています。

首診

左:腎(1)、膀胱(0)、肝(0)、胆(0)、心包(1)、心(0)、大腸(0)、三焦(1)、胃(0)、脾(0)、小腸(0)

右:心、小腸

Cさんの首診では、左側はほぼ全て圧痛点があり、右側には心と小腸のみに圧痛点がありました。そして、左側頭部の腎、心包(心臓の周辺)、三焦(消化器)の治療点に3本置鍼すると、全ての圧痛点がなくなりました。

この時点で、Cさんの肩こりがなくなりました。首診を改めて見てみると、右側にある圧痛点は、心と小腸のみでした。Cさんに限らず、もしかすると何人かは、この時期に心と小腸に反応があるかもしれません・・・・・ちょっと、気にかけてみます。

カボチャの葉っぱにうどんこ病

つるが伸びてきたカボチャの葉っぱにうどんこ病が発生しました。うどんこ病の説明を、抜粋します。

「うどんこ病とは名前の通り、葉っぱの表面に白いカビが生える病気です。うどん粉をまぶしたような姿になることから名付けられました。

乾燥した時期に発生しやすく、放っておくと育てている植物を弱らせてしまうので、早期発見・早期対処が大切になってきます。

そこで今回は、うどんこ病の原因と対策をご紹介します。うどんこ病の原因は、土や落ち葉の中に潜んでいる糸状菌といわれるカビです。風に飛ばされてほかの植物に付着し、増殖します。

気温が高く、乾燥した環境を好み、生きた植物の葉の養分を吸いとります。また、つぼみにつくと、開花が阻害されます。

5~11月の間発生し、特に初夏~晩秋にかけてが繁殖しやすい時期です。この頃に多くの植物が生育期を迎えるので、予防策をきちんとたてておきましょう。」

先週は、キュウリに発生したベト病の葉っぱを全て取り、可燃ゴミとして処理したことを紹介しましたが、うどんこ病の場合は、初期の段階ではお酢あるいは重曹(じゅうそう)を薄めた水を噴霧すればいいようです。そこで、重曹(じゅうそう)を1000倍(私は、目分量で・・・)に薄め2回に分けて行いました。

写真のビフォー アフターの通り、結構調子良さそうです❣️

昨日車イスで来院、今日歩けた!

半年前から、膝に痛みを感じていた70才代の女性患者Aさん。痛い膝をかばおうとすると、反対の膝が痛くなり、それをかばおうとすると、また反対の膝も悪くなっていく・・・・・そしてついに、両膝が動かなくなり車イスで昨日、来院されました。

「先生、両手でこうやって抱えてもち上げんと膝が全く動きません。膝のウラが、だらしい痛さで・・・・」

Aさんは、車イスに座ったまま、膝を抱えて引き上げる動作をしてくれました。昨日の治療で、左右の膝はご自分の意志で無理なく上げることが出来るようになりました。そして、本日も来院されました。

「あれ?今日は車イスじゃないんだ。」

「先生、杖をついて歩けるようになりました。」

Aさんは、2本の杖を使いながら、ゆっくりと入って来られました。そして、診察用の回転イスにゆっくり座ることができました。

「今日も、昨日と同じで自律神経と、内蔵を整えてから膝の治療をします。」

合谷診(人差し指と親指の間の触診):右に圧痛点→右から治療を始めます。

上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)

右:腰椎(1)、脳幹(1)、大脳(1)

オデコ生え際の治療点に3本置鍼。

首診

右:腎(0)、肝(0)、胆(0)、心(1)、胃(0)、脾(0)、小腸(0)

右側頭部の心治療点に置鍼1本で、他の診断点がゆるむ。

この結果で、『多分、立てる。』と感じたので・・・

「これで、ちょっと立ってみましょうか?」

「・・・・・立てた!・・・杖なしで」(同伴の娘さん、感涙)

後は、膝に対応する右耳周辺のG点に4本置鍼すると、両膝の痛みがなくなりました。

「今度は、立って歩いてみましょうか?」

「・・・・・歩ける!」(娘さん再び、両手を目に)

この調子で通院していただくと、普通に歩ける日が近いように思います。

待合室の本紹介(その6)

「からだの設計にミスはない」柏樹社 橋本敬三

これは、操体法の創始者、橋本敬三先生の著書です。私が30才のころ出会った本で、いつかは操体法を習いたいと思っていました。この本の一部を載せます。

『当時は函館にいたもので、患者には漁夫が多かった。ある日、マストから落ちてケガをしたのがやってきた。額を何かにぶつけたらしく、ペコッと丸くへこんでいる。陥没骨折と言うやつです。

これはちょっと手術以外にどうしようもないな、と思ったが、フトこっちからへっこんだんだから、反対側のどこかに何か変化があるのではないかと思い直して、頭のあっちこっちを触ってみたのです。するとちょうど後頭部の対称点にひどい圧痛があると言う。

そして、そこのところを触れると、うんと気持ちがいいと言うんですね。気持ちいいんだったら気持ちよくしてやれ、とばかりにそこを毎日押してみた。するとね、骨がだんだん出てきたんだ。初めはこんなことってあるかな、と思っていたが、確かに出てきている。それからもう一生懸命、とにかく押してやれと思って、2~3ヶ月続けてみたら、ほとんど凹みが目立たない程度に出てきたんですよ。こっちはもうびっくりしてしまった。こんなことは現代医学では教えてくれないもんですものね。』

という一節は、強烈な印象だったので、よく覚えています。これは、山元式新頭鍼療法(YNSA)では、Kソマトトープ(小さな人型の投影)の前頭部に対応する個所だったと考えます。

橋本敬三先生は、「こんなことは現代医学では教えてくれないもんですものね。」と書いておられますが、山元式新頭鍼療法(YNSA)では、しっかりと教えてくれます。山元式新頭鍼療法(YNSA)は、素晴らしい!

仲直り

 

友人夫婦の愛猫チャルルが、やって来ました。3回目ともなると、慣れたものです。いつものように戸棚の上でゆっくりしています。以前、私が飼っていた猫は、メスだったのでその違いに驚きます。オスのチャルルは、縄張り意識が強いようです。戸棚の上は完全にチャルルのテリトリー。

食べやすいように戸棚の上に置いたエサ皿を取ろうとすると、

「シャ~~~」

威嚇(いかく)のうなり声。「オレのエサに何するんじゃ~」「はい、よ~く分かります・・・エサをあげますので・・・・」「こら、オレのエサじゃ!」「そんなに怒ると、コッチも怒るで!」

「怒るなら怒ってみい!」「コリャ~チャルル‼️」

ということで、しっかりケンカをしたのです。

今では、何もなかったように、仲良く過ごしています。エサを置く場所が良くなかったようです。テリトリーには何も置かない、邪魔をしない。これが暗黙の了解です。

「チャルル!」

と呼ぶと、気持ち良く目をつぶって寝たフリしているチャルルは、尻尾を振って返事をしてくれます、可愛いもんです。もう、猫を飼う必要はないようです。

チャルルが遊びに来てくれますので❣️

ジャングル畑にアオガエル

畑がだんだんジャングル化してきました。トマトが樹木化し、添え木の竹には、キュウリが上りつめてしまいました。育てている間は、こんなに天辺(てっぺん)まで、上るとは思っていませでした。これだけ上まで育つと、土から伝わるベト病にはかからないようです。しかし、キュウリがあまり出来なくなってきました。それと共に、ミニトマトも減ってきました。

もうそろそろ、秋用のミニトマトとキュウリに移行する時期なのでしょう。今回、ミニトマトは、挿木(写真右手前)にして増やしてみたのですが、出来が良くありません。時期が遅すぎたのかもしれません。患者さんから色々アドバイスを頂いて、試行錯誤しています。

最近、畑がアオガエルのお宿になったのに気づきました。アオガエルは、樹木の上で生活し、必ずしも水辺近くでなくてもいいそうなのです。我が家の裏に弁天山という雑木林があるので、ここから引越して来たのだと思います。アオガエルは虫を食べるので、厄介(やっかい)なテントウムシダマシを沢山食べてもらえる様に、最適な空間作りをして、守り神になってもらいます(ジョウロで液肥を入れた水をまいていたら、その臭いがキツかったのか、4~5匹が逃げ出していましたが・・・・・)。

ちょうど、ミョウガとフキがしっかりと日陰を作り、畑の中で「陰」を形成しています。「陽」は、乾燥地を好むトマトが作ってくれました。こんな狭い空間でさえ、陰陽五行の宇宙が現れてくるのですね~

操体法とYNSA

 

操体法をメインで治療している60才代男性患者Cさん。前回は、両肩が痛かったので鍼治療となりましたが、今回は操体法で治療します。仰向けになり両膝を立てもらい、左フクラハギの外側を触ると、圧痛点があります。そして、膝内側の中央部にゴロっとした圧痛点があります。この圧痛点を探ることを「膝蓋(ひかがみ)」と呼ぶこともあります。

この膝蓋(ひかがみ)で見つけたゴロっとした圧痛点を一瞬で、柔らかくする操法があります。それが、「つま先上げ」という操法です。これは、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)という膝下から足の甲にかけての筋肉に縮んでもらい、ヒラメ筋に圧力をかけて膝ウラを緩めます。この操法は、操体法の基本操法としてよく紹介されています。

これを、山元式新頭鍼療法にあてはめると、上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)による治療となるように思います。上腕診は、頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳、小脳の状態を圧痛点を探ることで知り、頭の治療点に置鍼し、圧痛点を消していきます(治療)。頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳は、カラダの基本。ここが整うと自律神経が整います。

また、山元式新頭鍼療法のカラダの見方に、おへそをクモの巣の中心と考え、レオナルド・ダビンチの描いた両手、両脚を開いた人体デッサンをイメージし、同心円の肘と膝、手首と足首が対応。膝を同側の肘で治したりします・・・・私はこのように理解しています。

そのため、操体法で基本操法となっている膝ウラの圧痛点消しは、肘ウラの圧痛点消しとなり、自律神経神経を整えていることになります。

さて、Cさんの続きです。左右の膝の圧痛点を取ったあと、上腕診と首診をしました。すると、上腕診には、圧痛点がありません。やはり、「つま先上げ」の操法が効いたようです。

次に、首診。

左:肝、胆、大腸、三焦

右:心、三焦

上記の診断点に圧痛点がありました。その中でも、三焦の診断点が最も痛いので、Cさんには仰向けになってもらい側頭部にある三焦の治療点に軽く指を置く操法。

「今、どんな感じですか?」

「いや~、気持ちいいです・・・カラダ中が暖かいです・・・ゆるんでいます。」

こんな会話をしていると・・・Cさん、熟睡。15分ほど寝ていただき、首診をしてみると、首の圧痛点は全て無くなっていました。Cさんには、この治療法が合っているようです。

Jソマトトープ

前回、左肩が抜けて自分で入れた30才代の女性患者Bさんが来院されました。

「肩の調子、どうですか?」

「・・・・あっあ、忘れていました・・・大丈夫です。」

どうやら、肩の調子はいいようです。ところが、背中の中央部と両フクラハギに張りと痛みがあります。いつものように、合谷診(人差し指と親指の間の触診)、上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)

首診を行って治療点に置鍼をしていきます。途中でBさんが、

「右目が、変!テープで貼り付けられたみたいになって・・・・目が開かない。目の周り(眉毛あたり)が、痛いです。」

「・・・・そこなら、動眼神経。」

オデコの生え際から頭頂部にかけて、12脳神経の治療点が並んでいます。その3番目が動眼神経なので、そこにに置鍼。

「どうですか?」

「・・・・少し目が開くようになってきました。」

今度は、オデコにある感覚点という目、鼻、口の治療点のうち、右目の治療点に置鍼。

「どうですか?」

「・・・・まだ、痛みがあります。」

そこで、今度は7番目の顔面神経をねらい置鍼。

「これで、どうですか?」

「・・・・目は、よく開くようになってきました・・・けど、痛いです。」

そこで、頭頂部にあるJソマトトープ(小さな人型の投影)の右目に当たる圧痛点を探し、置鍼。

「痛い!!!」

置鍼の時、かなりの痛みがあったようです。こういう時の方が、効きがいいようにおもいます。

「・・・・痛くない!・・・痛くないです。」

何とか、右目のトラブルは治ったようです。

「これで、家に帰って、ゆっくり1時間半寝ると、すごく効きがいいんですよ。」

ニコニコ顔で帰られるBさんでした。