東京へ

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バスタ新宿に向けて夜行バスに乗り込みました。明日(10月27日)山元式新頭鍼療法(YNSA)

のセミナーがあるのです。私は、YNSA中心の治療をしているのですが、まだ中級の実力。YNSA の先輩方は、難病の患者さんを治しておられます。少しでも、先輩方に近づこうと励んでおります。

幸い私には、目標とする先生が2人います。1人は、もちろんYNSA 創始者の山元敏勝先生。先生は今年で90才のはずです。わずか4度しかお会いしていませんが、その人間力の凄さと優しさには圧倒されました。人はこうあるべきだ・・・・・治療していても、山元先生なら、どういう姿勢を取られるのだろう・・・・いつも思っています。

もう1人は、操体法の師匠・今昭宏先生です。今先生は、操体法創始者・橋本敬三先生の直弟子。橋本敬三先生の思想「がんばらない、いばらない、よくばらない、しばらない」を体現しておられます。そして、良いものを受け入れ、独自の治療法を楽しく作り上げ、公開されています。

お二人とも天才なので、目標とするのはおこがましいのですが、ボチボチやってみます。

日本家屋とカラダ

日本家屋とカラダ

操体法の創始者・橋本敬三先生が、人体の構造を下記のように述べています。

単純な家屋構造にたとえよう。四つの土台の上に四本の柱を立て、屋根を合掌で組み合わせ、中央を棟木でつなぎ、屋根を葺き、てんじょうを張る。この棟木の前方に頭を付け、後方に尻尾を付ければ、四足の哺乳動物となる。前方合掌は、肩甲、後方は骨盤に当たる。

内臓は屋根裏にセットされ、中枢神経の脊髄は棟木の管腔を貫くし、自立神経はこれに並行する。

実に、興味深い例えです。

日本家屋の構造を良く調べると、母屋(もや)という棟木と軒桁(のきげた)中間を、棟木と並行に走り、屋根を支える材があります。これが、肩甲骨と骨盤の関係性を形にしたものだと思います。私は、肩甲骨と骨盤が目に見えない母屋でつながっていると考えています。

また、山元式新頭鍼療法(YNSA)では、棟木にあたる脊椎を棟木の前方にある頭に鍼を刺し、整えます。棟木が整うと、棟木にぶら下がっている内臓、四本足が整って来ると思います。なぜなら、実際のカラダは、この構造物を表皮が覆い水袋にし、筋膜というコラーゲンで出来た立体ネットでユラユラと浮かしているからです。もっというと、筋膜のネットが結び目を作っているのが頭。この結び目に少しの刺激を与えてゆるみを作ると、カラダのどこかが、ゆるむ・・・・という関係では・・・・と、勝手に思っているのです。

新しい操体法と鍼灸の融合

 

新しい操体法と鍼灸の融合

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などの川柳を教えてくれる80才代の女性患者Bさん。2年前、右膝に人工関節の手術をしました。今回気になるのは、右の前腕。

「先生、23日前から急に痛くなって・・・・」

Bさんは、洋服デザインや裁縫の先生をしている為、腕を良く使います。今回も使いすぎが原因だと思います。また、慢性的な腰痛もあります。合谷診(人差し指と親指の間の触診)をして、オデコに2本置鍼。次にC点の前腕に対応する個所(剃り込みあたり)に、丁寧に2本置鍼をします。

Bさん、右腕どうですか?」

「あらら・・・痛くない・・・」

「今度は、左腕をねらいますね〜〜」

左の剃り込みあたりの圧痛点に2本置鍼。

「今度は、どうですか?」

「・・・・柔らかい!先生、どうして?・・・痛くない。」

「・・・う〜ん、そういう法則・・もう、腕は大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。」

次に、ベッドに移動し、うつ伏せになってもらいます。最近は、腰痛を肩甲骨で治しているのですが、今回は陶石を使ってみます。肩甲骨に陶石を乗せて軽くグルグルと手のひらで回すだけです。

「先生・・・・これ気持ちいい❣️

やっている私も、これはきっと気持ちいいだろうと感じます。腰がゆるんいくのも分かります・・・いっそのこと、お灸も!

圧痛点に鉛筆で跡をつけて、お灸を3壮ずつして、後はいつものようにBさんの大好きなフォークソングを聴いてもらい、ゆっくりしてもらいます。

今回は、新しい操体法と鍼灸の融合した治療となりました。次回のBさんの経過報告が楽しみです。

ほとんど何もしない治療

「先生、ちょっと気づきあったんですよ・・・・ここ(股関節内側)の痛みが、背中を指でこすると、なくなるんです・・・若い人だったら、これが長続きすると思うんですね。」

若い頃、バイクの事故で右脚骨折したのが原因で、右股関節が痛い60才代の男性患者Aさんが、新たな操法を教えてくれました。Aさんは、20年くらい前、当時は全く無名だった天城流の創始者・杉本練堂先生の筋膜はがしワークショップを受けたことがあり、ご自身のカラダに向き合うことを常にされています。

こういう時は、もっと気楽にカラダに付き合ってもらいましょう。

「Aさん、これ(ゴルフボールより少し小さい陶石)で、肩甲骨の圧痛点を押してみませんか?」

感覚の鋭いAさんは、私が施術するより、きっかけを作るだけで治療になることがよくあります。イスにも、ベッドにも物入れにもなる畳部屋で、陶石を右肩甲骨の圧痛点に当たるように置き、おき仰向けになってもらいます。

「先生、これいい❗️効きますね~~」

後は、Aさんにお任せです。10分くらい経つとAさんが起き上がってきて、

「先生、この一点が気になります。」

胸椎5番目(肩甲骨と肩甲骨の間)につまった感じがあるようです。その一点に、右手中指を軽く触れることにしました。

「・・・背中から肩にかけて、暖かい気が流れるような、いい感じです・・・太陽のような・・・・」

7~8分して、

「・・・Aさん、後はベッドに移動して、ゆっくり休んだら・・どうですか?」

「それは、ありがたい・・・ゆっくり寝ます。」

アメジスト(紫水晶)を敷き詰めた、遠赤外線を放つマットの上で寝てもらうことにしました。30°Cに設定しているので、ほんのり暖かく、気持ちいいはずです。

もうすでに、いびきをかいて寝ておられます。

20分くらい経ち、起き上がって、

「手の血行が良くなった❣️」

とニコニコ顔で帰られました・・・・・・私はただお付き合いしただけ・・・(*^ω^*)

肩甲骨にこだわる

 


3年前から頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

先週の木曜日が特に痛く、会社の同僚にも、「肩がパンパンにこってる」と言われたそうです。今日は、それほど痛みが強くはないのですが、後頭部からアゴにかけて痛みがあります。

前々回の「肩甲骨と腸骨3」で肩甲骨に置鍼して、腰痛とついでに、歯痛がなくなった症例を紹介しました。今回はCさんに対しても応用できると考え、肩甲骨に絞った治療を試みました。合谷診(人差し指と親指の間の触診)をして、頭に置鍼8本。これで、後頭部の痛みが消え、アゴの痛みのみとなりました。

Cさんには、ベッドでうつ伏せになってもらいます。今回は両肩がこっているので、両肩甲骨に鍼を刺して抜いていきます。肩甲骨は丁寧に診ていくと圧痛点は、あらゆるところにあります。ところが、WHO(世界保健機関)が定めた経穴(ツボ)361穴では、肩甲骨に5穴しかありません。

肩甲骨に関しては、これらの5穴にこだわらず置鍼しています。左右の肩甲骨の圧痛点に、10~12穴刺して抜き、左肩甲骨に関しては、お灸もしました。

今回は、随分効いたようです。Cさんは、しっかりとうなずいて、

「・・・効いてます!」

来週が楽しみです。

指が鍼2

1年前から、膝痛、足ウラのしびれ、腰痛で週1回のペースで通院される60才代の女性患者Aさん。膝痛、足ウラのしびれ、腰痛はなくなりました。現在は、体調管理で来られています。ところがAさんは、鍼があまり好きではなく、指を軽くふれるだけの操法をしています。

前回、合谷診(人差し指と親指の間の触診)で本来なら鍼を刺すところに、軽く指を当てる操法を行いました。しかも、施術時間は20~25分で、あとは、ゆっくり休んでもらいました。

「先週の治療、効いたように思います。今日は、特に気になるところがないです。右の歯痛もそれほど気になりません。」

繊細なAさんには、指による弱刺激が丁度いいようです。施術している私の指先にも、軽い電流のような微かな刺激が伝わって来ます。これを感じると、しばらくして、別の個所に指を移動するのが、Aさんには、いいように思います。次は、腰椎狙いで、耳の周辺を軽く包み込みます。しばらくして、

「歯にきます・・・痛くはないのですが・・・・きます。」

そこで、Aさんの左足元に移動し、左手でAさんの踵(カカト)を持ち、第4趾と第5趾の圧痛点に右中指を軽く添えます。しばらくして、

「歯にもっときます。」

歯が落ち着くのを待って、後はゆっくりフォークソングを聴きながら休んでもらいます。

1週間後の経過が楽しみです。

肩甲骨と腸骨4

2~3日前から、右腰がジンジンするような痛みの60才代女性患者Aさん。

「Aさん、そうしたら、右肩甲骨のここ辺、痛くないですか?」

「・・・痛い・・・そこへん、どこも痛い!」

「頭に鍼刺した後、肩甲骨を治療しましょう。」

合谷診(人差し指と親指の間の触診)では、やはり右腰椎に反応があり、右耳のうらに3本置鍼。ベッドに移動してもらい、うつ伏せになってもらいます。右肩甲骨の圧痛点を探しますが、どこを押しても、痛みがあり、「痛い→とっても痛い」のレベルです。結局12ヶ所に鍼を刺して抜き、その跡にお灸を3壮ずつ施術。

「ベッドを下ろすね・・・・これで、腰のジンジンする感じは、どうですか?」

「今は、大丈夫・・・逆に、左肩が重く感じるね~」

「そしたら、左肩をやりましょう。」

再び、Aさんにうつ伏せになってもらい、左肩甲骨に10個所、耳肩甲骨と同じ治療をしました。

「今度は、どうですか?」

「・・・・あっ、いい感じ!腰も楽です。」

やはり、腰と肩甲骨はしっかり対応しているようです。

肩甲骨と腸骨3

70才代の男性患者Aさん、農業を仕事にされています。農業は自然を相手の大変なお仕事。

自然の摂理を体感されているので、素直なカラダになりやすいのでは・・・・と、勝手に思い込んでいます。

本日のAさん、右の腰(腸骨と坐骨の筋肉)が痛いそうです。

「そうしたら、右の肩甲骨のここ・・・・痛くないですか?」

「痛っった・・・・ほうよ、そこが痛いけん、奥歯も痛いんよ。」

やはり、肩甲骨と腸骨の相関関係があり、しかも奥歯(下顎骨)とも関係がありそうです。

いつものように合谷診(人差し指と親指の間の触診)Aさんの場合、右腰痛にもかかわらず、合谷診では、全て左手に痛みがあります。頭に8本置鍼します。

ベッドに、痛い右側を上にして横向きになってもらいます。Aさんの肩甲骨を丁寧に診ていくと、圧痛点のオンパレード。痛いところに鉛筆で印をつけ、そこに鍼を刺し抜きしていきます。

Aさん、ベッド下ろします・・・・ゆっくり、起き上がって腰の状態をチェックしてみてください。」

「・・・・横の痛みは無い・・・・残りは、お尻の下(坐骨)です。」

どうやら、痛いのは右梨状筋のようです。この筋肉に対応するのは、肩甲骨の棘下筋のような気がします。棘下筋の圧痛点に鍼とお灸。

Aさん、今度はどうですか?」

「・・・・ええ感じ、痛くないですね・・・・おまけに、歯痛が治りました!」

やはり、素直なカラダのAさんでした!

肩甲骨と腸骨2

チーターの肩甲骨と腸骨をを見比べると、圧倒的に肩甲骨の方が大きい事に気付きます。ライオンもチーターほどではないのですが、肩甲骨が大きいです。それは、走る姿や獲物をつかむ姿を想像すると、容易に理解できます。これが、ゴリラやオランウータンになるとほぼ同じ大きさになります。

ゴリラやオランウータンが移動する際、足中心となりますが、木登りもよくするので、納得できます。ところが、人間は木登りをあまりしなくなり、足だけの移動となったので、他の動物と違い腸骨の方が大きくなりました。そして、下肢、上肢を別物のように考えがちになります。

ところが、人間もこれらの動物と同じ脊椎動物です。我々が赤ん坊の時、しっかりハイハイをしていました。新生児は、頭の大きさがカラダの25%ですから、肩甲骨と腸骨は同じ位の大きさだと思います。ですから、ハイハイが出来やすいのでしょう。

ここまで来て、私が何を言いたいのか・・・下肢、上肢は別物ではないという事です。常に関連し合って連動しているのです。ハイハイをしていた時の前足、後足の関係が今でも続いているのです。山元式新頭鍼療法(YNSA)は、このことを理解した上で、治療しています。

このように考えると、下肢の筋肉と上肢の筋肉の相関関係が見えてきます。これは、治療をしながら徐々に分かってくると思います。推測しながら、この事を少しずつ理解したいと思います。

いつまで保つかな?

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などの川柳を教えてくれる80才代の女性患者Bさん。2年前、右膝に人工関節の手術をし、今回は、その人工関節の上の1ヶ所(大腿直筋停止部)に痛みがあるそうです。それより気になるのが、左の首痛。左側に振り向くことがなかなか出来ません。それと、腰痛(腰椎4番、5番あたり)があります。

Bさんは、1週間に1度通院していますが、治療後、45日調子が良く、その後どこかに痛みが出てくるパターンだそうです。

まず合谷診(人差し指と親指の間の触診)Bさんの場合、人差し指と親指の交差する個所(2中手骨)4分割し、脳、頸椎、胸椎、腰椎と診る触診が合っています。

これに従って頭に置鍼を合計8本。

Bさん、腰・・・どうですか?」

「・・・軽くなってる。」

さて、次は左首痛。今回は、左手首の圧痛点を探して、鍼を刺し抜いていきます。Bさんに首を動かしてもらうと、可動域が普通に戻りましたが、まだ痛みがあります。そこで、

Bさん、今度は左足を出してください・・・ちょっと、ツンツンしますよ!」

「あれれ・・・痛そう!」

「・・・うん・・ちょっと、ガマンして下さい。」

15番鍼(長さ3cm直径0.25mm)で、左親指の根元をツンツンします。

「先生、痛い痛い痛い痛い❗️

「ごめんなさい・・・・・これで、首どうですか?」

「あらら、痛くないし・・・右より良く回る❗️

首は良くなったので、腰と右膝1点の痛み対策です。山元先生が腰痛によくつかわれる、肘窩横紋外側の圧痛点に左右2本ずつ置鍼。

右膝1点の痛みには、右肘窩横紋外側の2cmほど上の圧痛点に1本置鍼。あとは、好きなフォークソングを聴きながら、ベッドでゆっくりしてもらいます。

           (30分経過)

「・・・・はい、それでは、鍼を取っていきますね〜〜・・・・どうですか?」

「軽い、軽い、いい感じ。」

「右の膝は、どうですか?」

「・・・あれれ、どうしたの先生、痛くない・・・どうして?」

「ほら最後、肘に刺したでしょう・・・あれ、膝狙いだったの!」

という訳で、Bさん良くなりました・・・いつまで保つか????