1週間に2回通院されていた40才代の男性患者Aさん、年末は忙しく1ヶ月半ぶりの来院となります。いつも通り上腕診、膝診、首診の自律神経と内臓の診断をして、オデコや側頭部の治療点を見つけます。そこで、膝診の頸椎#5診断点の圧痛を確かめ、オデコの治療点に爪を押圧。するといつもなら、膝診の頸椎#5の圧痛が無くなるのですが・・・・

「ここはどうですか?」

「痛い・・・全然変わらん。」

「おかしいな・・・これは?」

「全然!」

「え・・・・どしたんじゃろ・・・そしたら、慢性化しとるかもしれん、陽(陰陽の陽)かもしれん・・・後ろ向いてくれますか?」

「多分、そうじゃわい。」

Aさんは私の治療を120回以上受けておられるので、陰と陽の違いも良く分かっています。

「そしたら、僕が膝下の痛いところ(診断点)を触っとるけん、(後頭部を)押してみて。」とAさん。

「・・・ここどんな感じ?」

「・・・・うん、消えた、痛ない。」とAさん。

と2人で後頭部の頸椎治療点を見つけました。1ヶ月半の空白が今までの治療点を変えたようです・・というか、Aさんにとって1ヶ月半頸椎の治療をしていないと、慢性化してくると考えた方がいいのかも知れません。

「やっぱり、山元先生はすごいね・・・慢性化したら陽に出ると分かったんじゃけん。」と私。

「そらそうじゃわい、臨床経験が全然違うんじゃけん。」とAさん。

Aさんは、私の経験不足を知った上で私を叱咤激励してくれました。こんな治療を経験出来る私は、本当に幸せです・・・・・・ありがとうAさん。

糸状灸

糸状灸って・・・威力絶大

90才代の男性患者Aさん。温泉旅行に行って脱衣所で転び、その3日後から肩甲骨内側が触れるだけで痛くなりました。実際、軽く触れると、

「痛い!!!」

と、無意識の動きが出てきます。

合谷診:(人差し指と親指の触診)左→左の上腕診、膝診をする

上腕診:左頸椎(1)、左大脳(1)

膝診:左胸椎#7~9(1)、左腰椎#6(1)

首診:左腎(1)、左膀胱(1)

6本の置鍼で自律神経と内臓が整いました。これから、肩甲骨内側の痛みをお灸で取ることに挑戦。見つけた足の治療点に、リップライナーで印をつけます。リップライナーは、印が付く上に、油脂が付くため艾(もぐさ)が簡単に乗り倒れません(京都の患者さんのアイデアです・・・ありがとうRさん)。糸状灸(しじょうきゅう)という艾(もぐさ)を糸のように細くした状態にし、その印に乗せて線香の火を付けます。

鍼灸師がお灸をする時は、お灸の火が皮膚に到達する前に、2本指でかぶせて火を消します。ところが糸状灸の場合、焼き切ります。この威力は相当なものでズド-ンと響くような熱を感じます。本当に目が覚めます。また、これは短時間ガマンすれば済むので・・・・一般の人々がイメージする大きな艾(もぐさ)に火を付けて火傷(やけど)するのと、真逆になります。

Aさんもその威力に驚き、思わず無意識の動きが大きく出ます。5壮の糸状灸でAさんの肩甲骨内側を触っても痛みを感じることはありません。実際、触ると柔らかくなっていたのに驚きました。なぜ、その治療点が存在するのかよく分かりません。それを、これから説明出来るように勉強していきたいと思います。

14本の置鍼

 

耳鳴りの治療点に14本置鍼します。これは加齢による老年性難聴にも効果があります。90才代の男性患者Aさんの家族の方から、

「最近テレビの音が大きくなったので、耳が良くなるようにしてもらえませんか?」

と要望があり14本置鍼したところ、テレビの音量が38→27になったそうです(デジタルのリモコンは便利です)。ところが今回は、2週間治療日が空いたので、2~3日前からテレビの音量が再び大きくなり33にまでなったそうです。つまり、耳の鍼治療では、1週間良い状態が続くけれども、それを超えると少しずつ元に戻る様相を呈しているように思えます。もちろんこれは、Aさんに関して言えることです。

そこで、今回もしっかり14本置鍼しました。次回のリモコン数字がいくつになるか、楽しみです。

今年も、本日をもちまして令和3年が終わります。私の拙いフェイスブックを読んでいただき誠にありがとうございました。来年も、無理せずボチボチやっていきたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。良いお年をお迎えください。

痛ったたた

前日に続いて、足と頭との併用で首肩こりの痛みを取ったお話です。

60才代の男性患者Cさん、ドライバーの仕事で、首肩のコリが激しくなり来院されました。ドライバーをしていると、水分補給が疎(おろそ)かになりがちで、膀胱は気になるとのことでした。首診でやはり膀胱診断点に激しい痛みがあります。そこで、膀胱の治療点に爪を立てて押圧すると、いつもなら首の診断点の圧痛が消えるのですが、消えません。慢性化しているようで、耳ウラの治療点(陰陽では、陽になります)に1本置鍼。多少効いたのですが、まだ痛みがあります。そこで、見つけている足の治療点に爪を立ててみました。

「痛ったたたたた・・・・」

当院の外ででも聞こえそうな大声。これだけ痛いと効き目があると判断して、お灸をすることにしました。10壮ほど据(す)えると首診断点の痛みがとれ、緩みました。首の根元にある消化器系の診断点(三焦といいます)にも、しつこい圧痛があります。これも10壮ほどのお灸で消えました。

このように、頭と足の併用は非常に有効的であると思っています。今後とも試行錯誤しながら新たな治療法を探していきます。

足だけで治療できます

頭に鍼を刺すのが嫌いな女性患者Aさんには、見つけ出した足の治療点にパイオネックス(皮内鍼)を貼る治療で対応しています。これだけで自律神経と内臓を整えることが出来ます。また、下肢、上肢の圧痛も治療出来ます。今回のAさんは、右肩甲骨内側に痛みがあったのですが、なくなりました。但し、足は頭に比べ小さいので、治療点を見つける爪の角度や位置がより繊細になります。そのため、集中力がかなり必要となります。今回の治療では、脇に初めて汗が流れて来ました。治療後、Tシャツ、長袖、白衣(本当は紺色)の全てが濡れていたのには驚きました。

足の圧痛点の痛みはもの凄く激しいので、ピッタリとパイオネックスを貼れると、診断点の痛みはウソのように無くなります。パイオネックスと同様に、お灸を据(す)えることで診断点の痛みを取ることも出来ます。今日はAさん以外にも80才代の女性患者Bさんに、足だけの治療を行ったのですが、全てお灸治療となりました。今月病院でレントゲン撮影をし、腰椎4番の圧迫骨折と診断されたBさんですが、お灸だけで腰の痛みが全くなくなりました。

実は、Bさんには「頭の鍼と、足のお灸どちらがいいですか?」と伺っていたのです。Bさんは、足のお灸を選択されたので、足にお灸をしたのです。今後、このように患者さんが選択できる治療が出来ると鍼灸治療がもっと浸透していくように思いました。

ノドの痛みを取る

ツバを飲み込むとノドが痛く、不眠が続いているため頭痛に悩んでいる19才の男性患者Cさん。今回が初めての治療です。私が治療点に爪を立てて押圧するだけで、診断点の痛みがなくなることに、驚くCさん。若いので反応が早いようです。

「ええええ、何で、何でなん?」

置鍼をし、診断点の圧痛がなくなるとお決まりの言葉が飛び出します。

合谷診:合谷診(人差し指と親指の間の触診)左→左上腕診と左膝診を行う

上腕診:頸椎(1)、胸椎(0)、腰椎(0)

膝診:胸椎#1、#6、#9、#11、#12(2)、腰椎#1~6(1)、大脳(1)

首診:右膀胱(1)、右肝(0)、右胆(0)、右心包(0)、右大腸(0)、右三焦(1)

左腎(0)、左膀胱(1)、左肝(0)、左胆(1)、左大腸(1)、左三焦(1)

11本の置鍼。

上記の自律神経、内臓の調整だけで頭痛が消えました。あとはノドの痛みです。頭頂部の舌咽神経の治療点に1本置鍼。そして耳タブの下がノドの治療点になるので、触れると5mmほどの板状の張りがあります。それで4本置鍼し、しばらくたって、

「今、ノドはどんな感じですか?」

「・・・・・ツバ飲み込んで・・・痛みが小さくなってきました・・・ええええ何で?」

「そしたら、足にも治療点があるので、そこにお灸をしてみましょう。」

「お灸?・・・・・」

「お灸知らない?ヤイトのことなんだけど・・・・知らないよね。」

そこで簡単に説明をして、納得していただき足の治療点にお灸を10壮。

「これでどうですか?」

「ノドもう軽くなっています。」

若い患者さんの反応の良さに驚きました。これで、治療は終了。

鍼と灸

「今日は、頭・・・足?」

60才代の男性患者Cさんから質問がありました。

「・・・・うん、自律神経は頭でやって、内臓は足でしようか・・・・」

同級生なので、こんな会話になってしまいます。そこで、合谷診から首診まで行います。

合谷診:(人差し指と親指の間の触診)左→左上腕診、左膝診をする

上腕診:頸椎(1)、脳幹(0)

膝診:胸椎#1、2、3(1)、#11、12(1)、腰椎#1~6(1)、大脳(1)

首診:右肝(灸2壮)、右胆(0)、右心(0)、右脾(0)、

左脾(灸2壮)、左三焦(0)

早速、頸椎、胸椎、腰椎(自律神経を整える)の治療点に置鍼をします。

「痛っっっっっっった!」

「ちょっと我慢して・・・・最近の鍼はね、痛いんよ・・・・筋肉と筋肉の間狙っとるけん。」

1本の置鍼が痛いので、他の個所に影響を及ぼすように思います。最近は置鍼の数が減って来ています。次は足に見つけた内臓治療点に爪を立てると、

「痛っっっっっっっっっっっっっっっっっった!」

今回は、この圧痛点にやや熱めのお灸を2壮。すると首にある内臓の診断点が緩みました。後は、腰に効く足の治療点にお灸をして、パイオネックス(皮内鍼)を貼り終了となりました。やはり、鍼と灸の併用は治療効果が上がるように思います。

足にお灸とパイオネックス

 

「先生、今日は足にパイオネックスを貼ってください。」

30才代の女性患者Aさん、夏には足にパイオネックス(皮内鍼)を貼る治療を中心にしていました。最近は頭に置鍼する事の方が多かったのですが、今回はお灸で足に治療し、最後にパイオネックスを貼ることにしました。

合谷診(人差し指と親指の間の触診):左→左上腕診、左膝診を行う

上腕診:頸椎、胸椎、腰椎

膝診:頸椎#5、6、腰椎#2、大脳

首診:右腎、右膀胱

左肝、左胆、左心包、左大腸、左三焦、左脾

上記の治療点のうち、頸椎、胸椎、腰椎、左胆、左三焦の治療点に10壮以上のお灸をすえると、全ての圧痛点がなくなる。

足に見つけた治療点をお灸と鍼を駆使して効率の良い治療法を見つけ出したいと思っています。ご期待ください。

奇妙な感覚

 

1週間前から、左肩甲骨の内側が痛くなり徐々に肩、上腕、前腕まで痛みが来て、人差し指が痺(しび)れている40才代の男性患者Bさん。当院に初めて来られました。簡単な治療の説明をして、ある程度納得していただいたようなので、早速、自律神経と内臓の調整を始めました。

合谷診:(人差し指と親指の間の触診)左→左上腕診、左膝診を行う

上腕診:頸椎(0)、胸椎(0)、腰椎(0)、小脳(1)

膝診:頸椎#6~7(3)、胸椎#11、12(1)、腰椎#3~6(2)、

首診:右胃(1)、左腎(1)、左膀胱(0)、左大腸(1)、左三焦(1)、左脾(1)

以上11本の置鍼

Bさんの触診をしていて感じるのは、硬さ。特に首は大木を押しているような感覚でした。そして、Bさんは痛みを感じないという奇妙な感覚・・・・鈍麻(どんま)しているのかもしれません。このまま放置していると、折れそうな・・・柔軟性が欲しい・・・そんな感覚になります。それで、圧痛点がなくてもコリがある診断点をチェックしました。

「どうですか?」

「・・・何か、首が楽になった気がします・・・・肩も・・・まだ、指先のしびれはあります。」

そこで、左足のヒラメ筋に細い鍼を刺し上下に動かします。

「ちょっと、指先の感覚が変わってきました・・・・それから、首と肩が随分楽になってきました。」

どうやら、頭の置鍼が効き始めたようです。首と肩が楽になると他のところの痛みが気になり始めます。上腕の外側に痛みがあるそうです。そこで、私が見つけた治療点に鍼を刺しました。

「ははは・・・す~っと、痛みが消えました・・・繋がっているんですね。」

Bさんの言葉で足の治療点は、間違いないと確信出来ました。今後は、頭と足の治療点との併用をもっと展開して行こうと思います。

1ヶ月半ぶりの来院

「1ヶ月半も、来てなかったけん、頭が重いし目が疲れて、疲れて・・・・・パソコンばっかし見とるけん。」

30才代の女性患者Aさん。パソコンを前に1日中、仕事に追われているので充血した目で来られました。そこで早速、目の治療点の置鍼を10本。

「どうですか?」

「だいぶスッキリしてきた・・・・ただ、左目がまだぼやけとる・・・」

そこで、JソマトトープとKソマトトープという頭頂部にある人型の投影の目に当たる所に2本置鍼。少しずつ良くなっていますが、まだ元に戻ってはいません。しかし、いつも通り合谷診を行い、上腕診、膝診、首診を行って自律神経と内臓を整えることにしました。

合谷診:(人差し指と親指の間の触診)左→左上腕診、左膝診を行う

上腕診:頸椎(0)、胸椎(0)、腰椎(0)、大脳(0)

膝診:頸椎#7(1)、胸椎#8~12(1)、腰椎#4#5(1)、大脳(0)、小脳(1)

首診:右腎(0)、右膀胱(0)、右肝(0)、右(0)、右心(0)、右大腸(1)、右三焦(1)、右脾(0)、右肺(1)

左腎(0)、左膀胱(1)、左肝(0)、左胆(1)、左心(1)、左大腸(0)、左三焦(1)、左胃(0)、左脾(0)、左小腸(0)、左肺(0)

上記10本置鍼。

「どうですか?」

「頭は軽くなったけど、まだ目が・・・・」

そこで、後頭部の目の治療点に2本置鍼し、私が見つけている足の目の治療点にお灸をすることにしました。

「お灸か・・・・面白そう・・・いいですね。」

「これは、自分で出来るから、覚えておくと便利ですよ・・・子供さんにも出来るし・・・」

「そうですね・・・どうやって、やるんですか?」

ということで、急遽(きゅきょ)お灸ワークショップを開くことになりました。器用なAさんは簡単に艾炷(がいしゅ→米粒大の円錐形のモグサ)を作り自分の足に乗せることが出来ました。実際に火を線香でつけたので、お灸というものが身近に感じられたそうです・・・・来年は、お給料のワークショップをしようかな・・・などと、思ってしまいました。Aさんに何壮もお灸をして、

「今、目の調子はどうですか?」

「・・・・あれ?いい・・・元に戻った・・・・いつもの状態に戻った!」

ということで、やはり足にも目の治療点があるのが分かってきました。