底冷えの京都で (その2)

冬の京都は、底冷えがします。

もうすっかり温暖な気候の松山人になっています。京都で外を歩くと、シンシンと冷えが腰の芯までしみ込み、しきりに

「サブ~~、サブイの~~」

と、震えている私です。

こんな寒い折、動きたくありません。患者さんも暖かい布団に包(くる)まってくつろぎたいはずです。

70才過ぎても、元気にフラダンスを習っている女性患者Aさん。

脊柱間狭窄症、坐骨神経痛と診断されています。10ヶ月前は、2週間に1回ブロック注射をしていましたが、現在は、3週間に1回となっています。最終的には、ブロック注射を打たなくていいカラダを目指しています。

まずは腹診。消化器系に反応がありました。左右の土踏まずを押して、

「どちらが、痛いですか?」

「右です❣️」

右の親指から足首にかけてのツボ3ヶ所に、お灸をしました。

「痛かったお腹(消化器系の場所)押します・・・どうですか?」

「大丈夫です❣️」

あとは、フカフカの毛布2枚に包(くる)まってもらい仰向けのまま、くつろいでもらいます。Aさんの場合、右から始めましたが、左右どちらも同じような痛みの場合、「女は右、男は左」という原則を私は、使います。

みぎとは、水際(みずぎわ)=陰

ひだりとは、火照り(ひでり)l=陽

柏手(かしわて)を打つ時、左手が前、右手が後になるのは、左=陽、右=陰のためです。

この陰と陽がぶち当たって鳴る音は、めでたいもので、神様も喜びます。

さて、ゆっくりと毛布に包(くる)まっているAさんの左手を毛布の外へ。

人差し指と中指の間に親指を入れ、手首の方向へユックリ動かし止まったところ=腰痛点

同じ様に、薬指と小指の間=腰痛点

この2ヶ所それぞれに、20壮以上お灸。

「どうですか?」

「アレ?~~、腰が暖かくなってきました❣️」

今度は左の腰痛点をねらいます。右の腰痛点で80%良くなったので、左は少しで十分。

左の腰痛点に5~7壮のお灸。ついでに、左足の太衝(たいしょう)と足臨泣(あしりんきゅう)というツボにお灸を5~7壮(理由は、忘れました)。

「腰どうですか?」

「大丈夫です。痛くないで~~す❣️」

良くできたお話でした(^。^)

底冷えの京都で

冬の京都は、底冷えがします。

北白川にあるロンドクレアントの茶室は、ガラス窓に障子の二重窓にもかかわらず、エアコンだけでは、やはり寒いです。そのため、本日の治療はお灸のみと決めました。しかも、手首、足首から指先までに限定。

50才代の女性音楽家Aさん、肩凝りに悩んでいます。

「私、今日はガチガチ❣️中年のおばちゃん4人で、USJに行ったの。もう、キャーのたんびに、しがみついて、そのたんびにガチガチ。『あんた、20分待たなアカンで~って並んだところが、急流下り。あんた、これ濡れるんちゃうの~~』って乗ったら、最前列。バチャ~と水かぶって、パンツまで濡れて・・・まあ~~夕方には、乾いたけど・・・」

嬉しそうに語ってくれます。 足先が冷えてしまっているので、右足の指と指の間(左右合わせて8つあるので、八邪=ハチジャと言います)4カ所と、第一趾(親ゆび)の第二趾(人差しゆび)側にある圧痛点にお灸。室内が寒いこともあって、やや強めの火加減で、5~10壮ほど施術。

次に、右手中指の第一関節の圧痛点2カ所にお灸を5~7壮ほど。

右側だけ限定して施術すると、左側も勝手に緩(ゆる)んできます。そのため、左側は要所の施術をすれば十分です。

「どうですか?」

「首が回る❣️背中がゆるんだ❣️」

やはり、寒い時はお灸が一番です。

勝手に・・・!

足ウラに痛みがある介護職50才代の女性Dさん。

朝起きて立ち上がる時、左右の踵(かかと)に、激痛が走るそうです。

ベッドに仰向けになってもらい、お腹から診ることにします。消化器系と肺の流れにコリがあります。

右足の母趾球(太白=タイハクというツボ)と右手首(太淵=タイエンというツボ)に鍼を刺します。すると、お腹のコリがやんわりと無くなっていました。

足ウラには、長趾屈筋、短趾屈筋というスルメの様な筋肉があり、ふくらはぎの内側につながっています。特に長趾屈筋は脛骨(ケイコツ)という大きな骨にしっかりとくっついています。ここをゆるめる事にします。

鍼で右足をゆるめていくうちに、アキレス腱付近でツボに触れると、Dさんの右足がピクピク動くことに気がつきました。面白いので、何度も触れてみますが、その度にピクピク。

面白くなって来たので、Dさんの最も痛いところを刺激してみようと考えました。

踵(カカト)の中央部に失眠(シツミン)という不眠に効くツボがあります。そこにお灸。

すると、足首がクネクネと平泳ぎ。

「ハハッ・・・チョット、恥ずかしいんですけど・・・」

Dさんの意志とは関係なくカラダは勝手に動きます。これを自発動あるいは無意識の動きと呼びます。特に操体法では 、この動きの誘導を手技にすることが多いのです。

つまり、カラダは無意識の動きをする事で、勝手にカラダの歪みを正すメカニズムを持っているのです。

今度は、左足の失眠(シツミン)にお灸。

すると、大胆なバタバタ・・・クロールです。

「イヤッ~~~~」

右足は平泳ぎ、左足はクロールとDさんの意に反して、泳ぎまわる両足。

永遠に続きそうなので、程よいところで終了。

「は~い、そしたらベッドから降りて、歩いてみてください。」

「アレッ、痛くない!」

スタスタと歩くDさん。

さてさて、いつまで持つのかな・・・

また、やった‼️

10日ほど前に、坂道ダッシュをしていて、右太もも内側に痛みを感じ来院の高校生(16才・男子)C君。

本日は、左太ももの内側に同じような痛みを感じ来院。

「左のハム、やりました。」

「アレ?・・・右はどうしたん?」

「治りました。それで、頑張って練習してたら・・・」

「ちょっと・・・うん・・・どしたん。何しよったん?」

「300mのかえる飛びやってる途中、100mくらいで痛くなりました。」

「何時ころ?」

「・・・3時頃です。」

何で無理をするんだろ・・しかも、やっと治ったところなのに、と思いつつも治療を始めなければなりません。

前回同様、患部には氷水を当てます。痛いのは左太もも内側の1点。親指で押した程度の範囲です。

前回同様、対角の右上腕内側の圧痛点を見つけます。確かに1点しかありません。その一点に、鍼を刺し、その後お灸を20壮くらいします。

「さあ~、起きてもらっていいですか?どうすると痛いの?」

「伸ばすと痛いです。」

ベッドの上で左脚を前に出し、右脚は座ったままで上体を前かがみにするC君。丁度、ハードルを飛ぶような格好です。さすが、陸上部。

「大分良くなりましたが、まだ痛いです。」

「来た時が10の痛さだったら、今は?」

「4です。」

今度は、右手第2指(人差し指)の第2関節の圧痛点2カ所に15~20壮のお灸。

「今度は、どうですか?」

ゆっくりと前屈をするC君。

「あっ、大分いいです。2くらいになりました。」

次回の予約をして、帰りる姿のC君。確かに足は引きずってはいません。

しかし、ちょっと心配です。

『無理すんなよ~~』

 

何で治ったの?

昨年末、腰痛で起き上がる事が出来ず、病院でブロック注射をして来院されたBさん。

京都で日本料理の修行をし、松山で調理師をされている40才代の男性です。

本日で3回目の来院。

左ふくらはぎ全体が、「冷た痛い」そうです。

まずはお腹から(腹診)です。触ると腎の流れ(腎経)に張りと痛みがあります。

日本料理店の厨房は、コンクリートと水にさらされて冷えています。立っているだけで、足ウラから冷えが襲ってきそうです。

腎経は足ウラの湧泉からスタートして、下肢の内側を通って腎臓に行き、横隔膜を通って、喉まで流れます。そのため、湧泉に灸をしました。すると、お腹の張りと痛みは取れました。

しかし、左ふくらはぎは、「冷た痛い」のまま。

そこで、腎経の流れと、腎経の表(おもて)にあたる膀胱経の流れにお灸をしました。

すると、左ふくらはぎの「冷た」は無くなりました。

でも、痛みは左ふくらはぎのやや外側に直径3cmくらいの円形で残っています。コレが非常に厄介です。

この円形には、張りやコリがありません。一般的に痛みの部分は、皮膚をつまむと、痛いのですが、この部分は、痛くありません。ただ押すと痛いのです。

もしかして、対角の右腕に圧痛点があるかも・・・無理矢理見つけ出し、右腕に鍼を刺しますが、全く変化なし❣️

仕方なく、円形部分に直接、鍼を刺しみました・・しかし、コレまた、変化がありません❣️

『もしかして、痛みの近くの筋膜が、悪さしているのかも?」

丁寧に膝ウラの圧痛点を見つけ出し、鍼を刺してみました。すると、

「痛くありません。引っかかりもありません❣️」よく分からないまま治療終了。

どう考えていいのか・・・仮説です。内臓を含める筋肉や、骨格を支えている結合組織の筋膜には、12の流れがあるとされています。その一番深層にあるデイープフロントラインの筋膜が絡(から)まっていた。たまたま、その絡まりに鍼が刺さり良くなった。

この様に考えると、痛みの円形部分にコリや張りがなく、つまんでも痛くないのが理解できます・・・まあ~~屁理屈でしょけど・・・

変形性股関節症の女性

昨年7月から1ヶ月に3~4回のペースで来院の50才代女性Aさん。

病院では、変形性股関節症(右の骨が数ミリ削れている)と診断されました。

右の靴下がはけず、階段を上る時は、右足が外を向いてしまいます。来院初日は、右足を引きずっておられました。職場でも、

「どしたん、その歩き方‼️」

と、いつも言われていたそうです。そんなAさん、本日で17回目。年賀はがきには

「朝、タイムカードまで、猛ダッシュで走れるようになった事が、何より嬉しいです」

と書いてくださいました。

さて、本日の治療。

それでも右股関節痛が点として残っています。そこで、天城流股関節に効く手技より4ヶ所

プラス右膝内側、合計5カ所を鍼と灸で治療しました。

具体的には、

⑴右鎖骨下の圧痛点

⑵右肘内側周辺の圧痛点

⑶右内踝の圧痛点

⑷右膝後部の圧痛点

⑸右膝内側の圧痛点

結果、痛みはなくなりました。ただ、これが継続するとは思いません。次回報告していただくことに致します。

       

60才代のアクティブな男性の積み木療法続報の続報

60才代のアクティブな男性の積み木療法続報の続報

冬到来で、スキーの準備に忙しいAさん。

ベッドで仰向けになるや否や、足ウラを合わせて股関節に近づけ、開脚を始めました。

「先生、股関節を伸ばしたい❣️」

「どうぞ、どうぞ」

ということで、しばらくAさんの自力自療に委ねます。ベッドは40℃の遠赤外線で暖かくしています。冬場でも、のびのびと動ける条件では、あると思います。

Aさんは、運動神経、感覚神経ともに優れ、しかも言語能力に長けているので、ご自身の感覚や動きを客観的に表現してくれます。

『今日は、何もしない方がいい!』

と感じたので、膝の上に大きめのクスノキを置き、重さを感じてもらう事にしました。

「どうですか?」

「重さが、丁度いい❣️」

一見重そうに見えるクスノキですが、程よい重さで、無意識のうちにカラダが重心を探すようです(積み木をつむ時の感覚です)。

「全体的に、うっすら、うっすらハゲている感じ。最近、玄米食を始めたので、いい循環に なってるのかな~~」

「カタツムリ?みたいに、効いていきよる。頬から、目の周りがお酒を飲んだみたいに、

ホワホワしとる。」

今度は、Aさんの手が気になります。

手が伸びをしたいように感じたので、薄めの積み木を持ってもらいました。

「丁度いい重さで、手が伸びよる。丹田あたりも伸びていく感じ。」

「言葉がより鮮明になってくる。眠っているのと、起きているのとの中間。こんな時は、語学の勉強にいいのかな~~」

院内は、Aさんの大好きなポルトガル語のボサノバが流れているため、言葉に反応されたようです。

今度は、Aさん。突然、口を開けたり手をグルグル回したり(これは、ご本人の意思で!)

しばらくすると、私に強烈な睡魔が・・・

どうしようもないので、 ベッドから距離を置きました。すると、睡魔が取れました。

『これは、面白い?』

と思い、ベッドに近づくと、再び睡魔が ・・・

一体何なんでしょう?

これ以上書くと、オカルトの世界に思われそうなので、やめますが、面白い体験でした。

長時間、股関節を開いていたので、今度は閉じて、太ももの外側にクスノキを置きユックリしてもらいました。

「そのところにあって欲しいという感じで・・・いい感じ❣️」

時間も来たので、終了としました。

結局、 私は何もしない治療・・・40年前、積み木活動を始め、最初はしゃかりきになって、作品を作り上げていたのが、だんだん、子供たちに作ってもらう作品に移行。最後は、場を提供するだけの作品になり、私自身は、何も表現しないで、参加者が自由に表現する作品となって行きました・・・・これは、今回の治療と同じ。

なるほど、同じコンセプト・・・・・・灯(あかり)が見えてきたような気がします。

ギックリ腰2日目

ギックリ腰の60才代の男性Aさん、昨日に続いて来院されました。

まだ、前屈するのが怖いそうです。歩く時には痛みは感じないのですが、腰に張りを感じるそうです。確かに、骨盤の上が張っています。

天城流では、ギックリ腰の要因に、ふくらはぎのコリを上げています。昨日は、ふくらはぎを診たつもりでしたが、見落としがあったようです。

ふくらはぎのコリに鍼を刺していきます。今度は仰向けで、太ももの圧痛点に鍼を刺し、お灸もします。

それでも、骨盤の上の張りが気になります。こういう時は、ウラ側の股関節。

押すと、

「痛った‼️‼️」

どうやら、股関節が縮んで、腰が張っているようです。股関節を押圧したり、反らしたり。

かなり緩んできました。

「どうですか?」

「軽くなった、前屈も出来る」

股関節のストレッチ方法などをお教えして、年明けに、もう一度来院していただく事にしました。次回で、完治しますように!

ギックリ腰

10日前にギックリ腰となり、無理して会社に通い、やっと本日、来院の60才代の男性患者Aさん。遠距離(大阪在住)にもかかわらず、月に2回くらいの通院を、2年間続けておられます。

前かがみするのが、怖いそうです。骨盤の上が硬く強(こわ)ばっています。

一番楽な横向きから、始めます。

右太ももの内側の圧痛点に鍼を6本、右ふくらはぎに1本置き鍼をして、15分。ユックリ起き上がってもらいます。

「左がまだ痛い。」

「そしたら、仰向けで寝てもらいますね~」

今度は、左太もも内側の圧痛点に鍼を刺していきます。今度は、刺しては、抜く施術にしました。

「今度は、どうですか?」

「あれ?右が張ってる。」

「では、うつ伏せになってもらっていいですか?」

両膝のウラにある圧痛点に鍼を刺します。横向きになっている時には、見つからなかった圧痛点がうつ伏せでは、はっきり分かります。

「はい、それでは起きてみて下さい」

「う~~ん、随分いい。軽くなった。」

歩く姿が、普通になりました。太もも9割、ふくらはぎ1割の治療で腰には一切触れていません。これは、天城流の腰痛に対する筋膜剥がしの箇所を、鍼治療したものです。

明日の大晦日、もう1日来院されれば、ほぼ完治すると思います。

クスノキの瘤(こぶ)でゆする

10ヶ月ほど前から、ほぼ毎週、通院されている30才代男性Aさん。最近は、体調管理を目的としておられます。

先週からの風邪がまだ治らず、頭がボ~っとしているそうです。

背中を触ると、左の肩甲骨から腰にかけて、硬い棒のような張りがあります。

お腹を触る(腹診)と、やはり、「肺に対応するところ」にコリがあります。

肺経は、お腹から胸を通り、親指まで 流れています。その流れを緩めると、お腹の「肺に対応するところ」が緩みます。

お腹が緩んでくると、表裏一体ですから、そのウラに当たる腰も緩んできます。

今回は、クスノキの瘤(こぶ)を使います。よく使う6種類の瘤を見定めて、適当と思われる瘤をAさんの左前腕に置き、ゆすります。

「痛くないですか?」

「気持ちいいです~~」

こんな感じで、お腹を再びチェック。

表面がゆるみましたが、押されると腰に響くそうです。そこで、作戦を変更。

左大腿内側に、瘤を置き、ゆすります。ある程度ゆるんだ後に、鍼を刺し、もっとゆるめます。今度は、膝下に瘤を置いてゆすります。

これらの施術の間、Aさんの手の平にはクスノキの瘤を置き、常に触れてもらっています。

こんな感じで、右側もゆすります。

「Aさん、ユックリと起きてみてください~」

Aさんの背中を触ってビックリ。

「Aさん、背中、ユルユルです~~」

「・・・あ~・・手に木の香りがかすかに残っていて、気持ちいいです。」

クスノキの瘤、手技の一つになってきました。