背中逆さソマトトープ、2人

来世でも、一緒になろうと、犬に言い

いびきより、静かなほうが、気にかかり

ころり死を、今日も願いつ、くすり飲み

などの川柳を教えてくれる80才代の女性患者Bさん。2年前、右膝に人工関節の手術をし、今日はその周辺が痛いそうです。

「先生、それと腰(腰椎1番~5番)が痛いんです。」

いつものように、合谷診(人差し指と親指の間の触診)と上腕診で、頭に刺す個所を決めます。Bさんの場合は、1本の置鍼でカラダがゆるむ事は多いようです。

次は、右膝の圧痛点を探します。お皿(膝蓋骨)の上下にしっかりとあります。その個所に対応する右肘(痛い右膝ではありません)の圧痛点を見つけ、寸6、3番鍼(長さ50mm、直径0.2mm)で刺して抜きます。これを数カ所に行い、

「Aさん、どうですか?ちょっと歩いてくれますか?」

「・・・・・・あら?先生、痛くない。」

「・・・・いいみたいですね。今度は、腰を診ましょう・・・・背中を私に向けて、座ってください。」

「今日は、肩あたりに刺しますね・・・ここ痛いですか?」

「先生、そこ痛い!」

肩甲骨の間、脊椎の際にある圧痛点に鍼を刺して、抜きます。これを4か所。

「Aさん、腰どうですか?」

「なんか・・・先生、いいみたい・・・・」

「そしたら、あっちのベッドで、ゆっくり・・フォークを聴きながら、休んでください。」

と、スムーズに治療が進みました。

山元式新頭鍼療法(YNSA)は、頭に鍼を刺すだけのイメージがあるかもしれませんが、今回のように、腰痛を肩に刺鍼して治す事もあります。これも、ソマトトープ(小さな人型)という概念があるからです。背中にも2人のソマトトープが、逆さまになって笑っているんですよ~~

指先に鍼

5か月前から、2週間に1度来院の60才代の男性患者Bさん。20年程続いていた腰痛と、下肢外側のしびれはありません。今、Bさんが気になるのは左右の足ウラのシビレと、白内障と緑内障の目。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)では左手に反応があります。上腕診(肘の内側横紋の触診)では、頚椎に反応があります。オデコの中央部の生え際に2本置鍼で、肘がゆるみました。これで脊柱が整い、自律神経の働きが円滑になります。

気になる目には、感覚点の眼点に置鍼します。オデコの正中線から1cmずつ左右に正中線と平行の線をイメージします。この線上に、約1cm置きに上から、眼点、鼻点、口点が左右にあります。Bさんのオデコに2本置鍼。

足のウラにシビレがあるという事は、手のひらにも圧痛点があるという事。Bさんの足ウラのシビレは、左足の方が強いので、手のひらの圧痛点も左に多いはずです。丁寧に、押圧すると、確かに左手のひらの方が、圧痛点が多く、痛みも強いです。

「痛った、そこメッチャ痛い!」

「痛かろう・・・ちょっと我慢してや・・・・」

Bさんは、知り合いで、しかも同い年なので、ついついこんな言葉になってしまいます。丁寧に母指球あたりの圧痛点を探し、次々と刺して抜いていきます。今度は、親指と小指の手のひら側。第1関節近くに軽く爪を立てます。

「痛っっっっった‼️一番痛い‼️」

Bさん、痛みのため、思わず腰を浮かし立ち上がりました。それほど痛い第1関節の圧痛点。もう刺していくしかありません。最後は、パイオネックス(円皮鍼)を貼って終了。

なぜ、親指と小指の第1関節に鍼なのか?それは、手のひら全体がソマトトープ(小さな人型)だからです。親指と小指の第1関節は、ソマトトープでは、足首にあたります。つまり親指と小指の指先が足ウラになるのです。

Bさんの2週間後の来院が楽しみです。

鍼治療をしない鍼灸院

鍼大嫌いの40才代の女性患者Aさんの続報です。

「前回の治療後、調子良かったです。ただ、調子がいいもんで、遠出のドライブをして、肩がこってしまいました。」

今回は山元式新頭鍼療法(YNSA)とは関係なく、皮膚の操法のみで治療。

最近、「肩コリを腰で治す」をテーマで行なっているのですが、結果が出たり、出なかったりと、苦戦しています。Aさんの肩コリの個所を確認して、腰の圧痛点に軽く中指を当て、10分程経過しました。ところが、Aさんの肩には、しっかり硬結があります。

仕方がなので、Aさんの中指の根元(MP関節といいます)に軽く中指を置き7~8分。まだ、肩にが硬結があります。

「え~~い、そしたら、マスターキー点(後頭部にあります)じゃ❗️」

「そこは、痛いというより、気持ちがいいです~~」

7~8分するも、変化がありません。そうなると、何故かふくらはぎ。ふくらはぎに中指を軽く置きます。やはり、7~8分して、肩にふれると、

「先生、やわらくなってますね~~」

ちょっと、結果が出てきました。ずっとうつ伏せになっていたAさんに、仰向けになってもらいます。軽く後頭部を両手で包み込見ます。そして、Aさんの頭皮を微妙に伸ばしたり、緩めたり、気持ちいい感覚を味わっていただきます。どうやら、Aさんは半覚醒の状態になっているようです。こうなると、しばらく放っておきます。

「それじゃ~~、ベッドを下ろしますね~~」

電動ベッドペダルを踏むと、ゆっくりベッドが降りてきます。

「スッキリ、軽くなりました!」

「このやり方でいいですか?」

「これで、お願いします・・・先週もおかげで、調子良かったんです。」

鍼治療をしない、鍼灸院でした。

 

葉っぱの形

葉っぱの形

中学2年の女子患者Aさん。運動会の練習と水泳の練習で、右太ももが張り、平泳ぎのキックをすると痛くて仕方がありません。練習が終わって、午後9時過ぎにお母さんと一緒に来院。

「どこが、痛いの?」

「ここが、こんな感じで痛いんです。」

と、Aさん、右のふとももの付け根から、膝にかけて大きな葉っぱの形の絵を描いてくれました。

「そしたら、ちょっと右腕を見せてください・・・」

Aさんの右上肢を右下肢として診ます。そうすると、Aさんの太ももに描いた葉っぱの形が、右上腕に見えてきます。この右上腕の血色が悪そうなところを軽く押すと、

「痛い!」

「やっぱり痛い?ここらへんの痛みを取ると、太ももがよくなるのよ。」

早速、寸6の3番鍼(長さ50mm直径0.2mmの鍼)で、治療開始。

Aさんに痛い個所を聞きながら、上腕に鍼を刺し、抜いていきます。

「どうすると痛いの?」

「平泳ぎのキックです。」

「じゃあ、やってみて下さい・・・・・どう?」

「あっ、だいぶいいです・・・・まだ、ちょっとここが痛い」

Aさんの痛いところを、Aさんの上腕に置き換えて、見当をつけて上腕を押圧。すると、必ず痛みがあります。そこに、再び鍼を刺して、抜きます。

「Aさん、今度はどう?」

「・・・・痛くない!大丈夫、全然痛くない。」

「ああ良かった、じゃ~~、今日はこれでおしまい。」

この治療法も、山元式新頭鍼療法(YNSA)です。山元先生は、本当にすごいです。

 

やってしもた

京都大徳寺で仕事を終え、近くのご夫婦で経営の食堂に立ち寄ったのは、午後の8時を回っていました。

食事を終えて、ipad でU-18W杯(野球世界大会)の日本対カナダの試合をゆっくり見ていたのですが、一つ気になることが・・・・配膳係の奥さん、右膝を触って、屈伸したり、揉んでみたり・・・

「足が痛いんですか・・・」

「そうなんです、膝が痛くてサロンパス貼って、サポーターもしているんです。」

「それは、困りましたね。私、鍼灸師なので、治しましょうか?」

「えっ・・・鍼?実は、興味あるんだけど・・・なかなか行けなくて。」

「じゃあ、やりましょう。」

0.5寸の5番鍼(1.5cmの長さで直径0.25mm)で、彼女の右肘(痛い膝ではありません)の圧痛点に3カ所、その跡にパイオネックス(円皮鍼)を3カ所。

「あれあれ???・・・歩ける痛くない!あんた(旦那様)、鍼してもろた!」

厨房から出てこられたご主人、

「あんた、いつから鍼灸やってるの?」

「そんなに古くないですよ、平成24年に免許取ってます。」

それを聞いたご主人は、あまり興味が無いようです、厨房に帰られました。膝が良くなった奥様は、ニコニコ顔で私と話そうとすると・・・お客様様が、入ってこられました。

一目散に食堂を出て行く私は、余計なことしたかな・・・でも喜んでもらったから・・・

ついつい出しゃばりをしてしまう、悪いクセじゃな~・・・まあ~~いいか‼️

下肢上肢

運送業を営む50才代の男性患者Cさん。ケンビキ(肩甲骨の内側)が痛く来院6回目です。初診の頃の痛みが10としたら、今回の痛みは半分の5くらいです。しかも、運転中の痛みがが5で、普段の生活では痛みを感じることは、なくなりました。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)をしても、あまり反応がないので、正中線から4.5cm左のオデコの生え際にある圧痛点(C点といいます)に7本置鍼。

それからは、

上肢⇄下肢(山元先生が唱えておられるのを、私なりに解釈)左を上にして横向きにベッドで寝てもらいます。Cさんは、

「ここが、この一点(左肩甲骨の下の方)が痛いんよ・・・」

と、左肩甲骨にある圧痛点を私に、示してくれます。それに対して私は、骨盤の左腸骨の圧痛点をさがします。

「ちょっと待ってや・・・・ここじゃけん・・・ここどうなん?」

「・・・・」

「そしたら、ここ・・・・・?」

「・・・・・・」

全く、反応がありません。

「ちょっと、まってや・・・移動するけん・・・」

Cさんの背中側から圧痛点を見つけていたのを、お腹側からに変更しました。すると、Cさんの左肩甲骨の圧痛点に対応する骨盤の左腸骨のポイントが明確に分かりました。

「ここは、どうなん?」

「そこじゃ!」

やっと見つかりました。そこで、長くて太い鍼(2寸5番鍼=6cmで直径0.25mm)を刺します。

「来た・・・・・肘までシビレる!」

お尻に刺したのに、肘にシビレが来るのです。

「これで、どうじゃろ?」

「・・・・・・ええ感じじゃ。」

どうやら、Cさんのケンビキ(肩甲骨内側)痛はひとまず解決できたようです。

頭蓋骨⇄仙骨

 

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週はあんまり、調子よくなかった・・・・でも、この2日間は調子が良くなった。」

前回は、

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

の相関関係で、左下顎骨が痛いCさんに対して、左腸骨の圧痛点に鍼を刺し、頭頂部Kソマトトープ(小さな人型)の下顎骨に対応する個所に8本置鍼したのですが・・・・少し、本数が多すぎたのかもしれません。

今回のCさんは、左あご(左下顎骨)以外に、後頭部と首にも痛みがあります。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)から上腕診(肘窩横紋の触診)をし、左頭部に7本置鍼。

その後、ベッドに移動し、うつ伏せになって戴きます。

頭骸骨⇄仙骨

の相関関係から、後頭部(頭蓋骨)に痛みのあるCさんの仙骨圧痛点に鍼を刺します。3本ほど刺すと、

「先生、効いてる。痛みが取れました。」

後頭部の痛みは取れたので、今度は、左下顎骨。

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

この関係から、左腸骨の圧痛点に鍼を刺していきます。

「先生、効いてる。ナンカいいみたい。」

という事で、仙骨と腸骨の圧痛点にパイオネックス(円皮鍼)を貼り終了としました。

今回は、今まで以上に手ごたえがあります。来週の来院が楽しみです。

やわらかおもちお尻

鍼が嫌いなのに鍼灸院に来てしまった40才代の女性患者Aさんの続報です。今日は、左の肩コリがひどいそうです。鍼を使わない治療を行います。

山元式新頭鍼療法(YNSA)を導入しながら・・・と思い、鍼を刺す代わりに指先をAさんのオデコに置き、4~5分経過。

肘の内側が、柔らかくなっているはずです・・・・が、硬くて触れると痛みもあるそうです。

もう一度、やっても変わりません・・・こういう時は、あきらめます。

座ったままの姿勢が、やや緊張を呼ぶのかもしれません。ベッドに移動してもらい一番楽な姿勢になってもらいます。

「うつ伏せが楽です。」

Aさんの左肩、確かに大きなコリがあります。

仙骨⇄肩甲骨の関係で、バランスを取っているので、左肩コリがあると、左仙骨の近くに必ず圧痛点があります。

「痛い!」

仙骨中央部ある圧痛点に軽く中指を置きます。

「Aさん、カラダに変化が出てきたら、教えて下さい。眠くなったら眠って下さいね~」

仙骨周辺の圧痛点を探し、5~6分おきに指の位置を変えていきます。

「Aさん、肩こりどうですか?」

「楽です・・・いい感じです。」

こうなってくると、気が付いたところに指を置いていき、全身が緩むようにしていきます。

Aさんのお尻がトンガっていたのですが、徐々に緩み柔らかいおもちの様になりました。

この時点で、終了。

この治療法、Aさん気に入っておられます。

「気持ち良かった!」

と、笑顔で帰られました。

肩甲骨⇄腸骨 頭蓋骨⇄仙骨

体調崩すと来院される60才代の男性患者Aさん。朝起きると、腰に張りがあり前屈すると骨盤の上が痛いそうです。午前中に電話があり、夜8:30からの治療となりました。

「先生、今日は鍼じゃのうても、ええけん。治して下さいや。」

『よっぽどのことが無い限り、鍼以外はしません・・・』と思いつつも、言葉には決してしません。

合谷診(人差し指と親指の触診)の後、とくに眉毛の上の圧痛点に左右合計6本置鍼。Aさん

は、三叉神経痛の持病を持っていたこともあり、眉毛の上を丁寧に診ると、mm単位で圧痛点があります。この置鍼だけで、腰痛はかなり軽減しました。

「先生、痛みが点になった来た・・・今は、ここじゃわい!」

仙腸関節の出っ張り(上後腸骨棘:じょうごちょうこつきょく)の上にゴリゴリがあります。

肩甲骨⇄腸骨

と考えると、肩甲骨下角(かかく)あたりが、仙腸関節の上に対応します。丁寧に探すと、

「先生、そこじゃ!痛い!」

Aさんの圧痛点は、あちこちに移動するので、それに合わせて

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

の見方を追加しながら、鍼を刺していきます。頭骸骨⇄仙骨の見方から、頚椎1番あたり(天柱:てんちゅう)で、腰の圧痛点が取れていけます。

最近では、天柱に鍼を刺すという意識ではなく、腰に対応する頚椎の圧痛点に、鍼を刺すという感覚で治療しているようです。

「先生、そこじゃ~~、爆弾が破裂した・・・・ハアアハ・・・頭まで電気が走るし、腰に来た~~」

Aさんの実況放送は、生々しいしいので、テープで録音したいくらいです。まあ~よくもこんなに言語化できるものだと、感心してしまいます。

「先生、もうこれで十分じゃ。」

いつものように、治療の終了をAさんが決め、

「また痛なったら、突然電話しますけん、よろしくお願いします。」

ニコニコ顔のAさん、スタスタと帰られました。

操体法とYNSA

鍼治療が嫌いな40才代の女性患者Bさん。最近、休息を十分とっているので、体調が比較的良いそうです。ただ左肩がやや上がりづらい。

鍼治療封印中のCさんは、操体法で治療します。

Cさんに左側を上にして横向き(左側臥位といいます)になってもらいます。左肩が悪いと、左腰に圧痛点があります。

「Cさん、左足をベッドの外に、ゆっくり投げ出していただいてよろしいですか?」

「はい・・・・こんな感じですか?」

Cさんの左足がベッドより低い位置に下り、足の重さで徐々に螺旋を描くような動きが生まれてきます。Cさんの足先を右手で軽く包み込み、踵(かかと)を左手で支えるように軽く触れます。

Cさんは、これだけで気持ちいいのですが、この状態から、元の状態にもどる動きをしてもらいます。

「はい、そうしたら・・・この状態から、ゆっくりと足先を、元の方向に戻していただいて

よろしいでしょうか?・・・実際には、私が足を持っているので、動くことはないのですが、カラダの中がゆっくり動きます・・・・決して無理しないで・・・・カラダの中心・腰を使いながら・・・気持ち良く・・・・・・・・痛かったら、やめてください。」

このような言葉がけをしながら、動きの操法を続けます。

「Cさん、左肩はどうですか?」

「あっ・・・上がりやすくなっています。」

次に、皮膚に触れる操法。Cさんに左肩の圧痛点を聞き、それに対応する左下肢の圧痛点に軽く指先を触れるだけです。約10分くらいで、カラダに変化が現れます。最後は、左肩に対応する頭の部位に指先を置き、Cさんは仰向けでゆっくりしてもらいます。

「あ~~、気持ち良かった・・・頭に触れもらうの、気持ち良かったです。」

これで、Cさんの左肩が、す~と上がりました。

操体法と山元式新頭鍼治療法(YNSA)は、うまく融合出来そうです。次回は、Cさんの言われたように、頭に指先を触れる操体法を多くしてみましょう。