操体法

操体法での治療を希望する40才代の女性患者Aさん。

事務職のため、一日中イスに座りっぱなしです。そのため、肩と背中のコリで悩んでおられます。

「歩くことは、ほとんどない。」

との事です・・・まあ~そんな事は無いにしても、足ウラへの刺激など、全くしたことは無いでしょう。そこで、人工芝の上にゴルフボールより小さな陶器の球体(陶石と呼びます)を置き、その上を歩いてもらいます。歩くこと5分弱で、Aさんのカラダ全身から汗が吹き出しています。

実際、多くの患者さんが、この陶石歩きで汗を相当かきます。これは、交感神経の刺激によるものと思います。

人類が発生し現在に至るまでの歴史の99パーセントは、裸足生活で自然の中、交感神経が盛んに働かないと、獣に襲われて死んでしまいます。

そんな人類史の染み込んだカラダが流す汗は、極めて健全だと思います。

汗を流した後のAさんには、ベッドでゆっくりしてもらいます。足の指1本1本を丁寧に揉みながカラダをゆする操法を15分。これで、Aさんは半覚醒状態になりました。あとは気になるところに私が手を置き、Aさんには最も深い半覚醒状態を味わっていただきます。

「後頭部と首、気持ちよかった~~、足首も!」

と、ご機嫌さんでした。

Aさんには、鍼灸治療をしないで、勝手にカラダが治っていく環境作りをしてみます。

35°くらい

昨日は、「痛みと触覚を同時に感じると、触覚の方を優先的に脳は感じる」と 述べました。注射鍼のように鍼を直に刺す中国鍼は、痛みをともないます。

しかし、プラスチックで出来た丸い角の鍼管で、皮膚をしっかりと抑え、圧力をかけた上で、細い鍼を同時に皮膚に刺すと、触覚優先となり、痛みを感じないことが多いのが日本式鍼の特徴です。

ところが、山元式新頭鍼療法(YNSA)は、中国式で直に鍼を刺すのが一般的になっています。そのため、「チクッ」と、痛みがあります。私は、まだYNSAの初心者なので、患者さんによっては、痛みのため、気分が悪くなるケースもが2度もありました。

そこで、YouTube の映像から研修会の先生方の手技をチェックしてみました。すると、鍼管を使用している先生もおられたのです。

「よし、鍼管でやろう!髪の毛が多い人などは、鍼を見ながら刺すことが難しいし、かえって鍼管を使った方が、やりやすいかも・・・・」

と、自分のふくらはぎに鍼管を当てて、練習をしました。刺したいツボに対して、まず親指の爪を皮膚に対して直角にあてます。そのあと、爪を35°くらいに倒します。

そこへ鍼管をはめ込み、やはり35°くらいの角度を作り、鍼を刺します。

すると、鍼は刺したいツボから5mmくらい手前から斜めに刺入していくので、結果、ツボに当たるようになります。

この手技だと、髪の毛が多い人にも感覚さえつかめば、やりやすいと思うのですが・・・

痛み数値1/4

r

去年の11月、NHKの「チコちゃんに叱られる」で、「痛いところに手を押さえるのは何故?」という質問がありました。 

答えは、「痛みより触覚のほうが優先されるから。」でした。その感覚の優先順位は、

運動

触覚 

痛み

冷覚

かゆみ

これらの感覚を同時に感じると脳は上位の者を優先的に感じます。

そのため、痛みを感じた時にその部分を手でさすり、痛みの感覚よりも触ったという感覚を脳は大切だと認識するため、痛みが減るわけです。

そこで、手を当てる事でどの程度痛みが和らぐのか、痛みを数値化できる機器で検証すると、手を当てない場合は、痛み数値が33.5に対して、手を当ててさすると9.2と1/4近く違いがありました。

この事実をうまく利用しているのが、日本の鍼治療です。中国の鍼は、太めの鍼で直接皮膚に刺すため、痛みが必ず出ます。しかし、日本の鍼は細めの鍼とプラスチックの鍼管を使用します。

プラスチックの鍼管で打つ場所にしっかり圧をかけると、優先順位が上位の触覚が、先に脳へ到達します。その後、鍼を刺した痛覚が行きますが、触圧も同時に感じているため脳は痛みを感じない場合がかなりあるのです。

しかし、私は足ウラに鍼を刺す施術をしているため、痛みはあります。患者さんに納得していただいているので、続けていますが、鍼を抜いた後、しっかり揉みほぐしてあげようと思います。

とにかく、痛み数値が1/4になるのですから。

 

 

どしたん・・・足ウラ痛ない

2週間前、来院され下記のようなレポートを載せたCさんの続報です。

『自力自療

60才代の男性患者Cさん、本日で4回目の来院。

長年、慢性的な腰痛に苦しみ、左足外側から足ウラまでしびれています。ところが、2週間前の3回目に足ウラへ、5本の置鍼をしたところ、

「足ウラが、熱くなって来た。」

「今までで、一番ええ(効いた)かもしれん。」

という言葉を残して帰られました。そしてその後、石のマットを購入し毎日、足ウラ刺激をしているそうです。』

それ以降、今日まで毎日足ウラの刺激をしているそうです。そのため5回目の今回は、腰痛とか下肢のしびれが主訴ではありません。足ウラ痛です。

調子が良くなったので、昨日ジョギングを10kmし、足ウラが痛くなってしまいました。歩くのが苦痛だそうです。

先週日曜日の山元先生(YNSAの創始者)の手技イメージが強いまま、今も治療しています。

すると、頭鍼の質が向上しているのが分かります。そこで、足ウラに置鍼することに頼ず、頭鍼だけで治療することを念頭に置きました。

合谷診(親指と人差し指の間の触診)をした後、上腕診(肘の内側にある横紋線の触診)。

この上腕診で頭鍼の個所が決まります。

今回は、耳のウラ、耳の前上に置鍼。これは腰椎狙いです。

途中Cさんが、咳き込むため、頭頂部と側頭部の肺点に置鍼をします。

「鍼を打ってもろた瞬間、ノドのイガイガが無いなったんで、咳が止まると思たわい。」

と、Cさんは治療後言ってくれました。

さて、頭の置鍼が終わったので、Cさんに足ウラの状態を聞いてみました。

「どしたん?足ウラ・・・痛ない・・・今まで(の治療)で、一番ビックリした❗️」

頭鍼だけで、やれました!

後は、ベッドで仰向けになってもらい、足ウラに3本ずつ合計6本。

Cさんの足ウラの痛みは10→3となりました。

山元先生が来られました(その5)

6月9日(日)山元式新頭鍼療法(YNSA)の初級1セミナーに、山元先生ご夫妻と、娘さんの美智子先生が来られたのは、すでにご紹介いたしました。

このセミナーでの講師は、山元先生のもとで3年間研修された加藤直哉先生(医師)です。加藤先生は、YNSA学会の副会長を、山元美智子先生と共にされています。

加藤先生の話術は巧みで、聴くものの心をわしづかみにします。

例えば、研修時代ツボの捉え方。

感覚的な捉え方で指導される山元先生に対して、

「・・あっ、そうですね。ここですね。」

と言って知ったふりをされる時期が続いたそうですが、加藤先生独自の覚え方で克服されました。それは、徹底した解剖学的理解。

おかげで、今回のセミナーのテキストは前腕に直接マジックペンで筋肉を描き、その上に触診部位を赤丸でしっかりと示しています。そのため、誰でも覚えられる分かりやすいテキストが出来上がっています。

それだけでなく、加藤先生は授業の合間に、「コーヒーブレイク」を取られます。

これは、参加者がコーヒーを飲むのではなく、「楽しく分かりやすい心理学講座?」。

例えば、全く見ず知らずの若い男女が、昼間の芝生で会話するときの行為と、全く見ず知らずの若い男女が真っ暗闇で会話するときの行為の差は・・・・

まあ~~、ほとんどが恋愛に関係するので、ワクワクドキドキ。

おかげで、全く飽きることなく、楽しい時間を過ごしながら、身につくセミナーとなっています。そして、今回のセミナーで一番感銘を受けたのが・・・・山元先生の挨拶です。

昼休みが終わり、午後のセミナーで全員が席に着いた時、山元先生ご夫妻と美智子先生が、宮崎に帰られる為、山元先生が一言喋られ、ゆっくり3人ドアのほうに歩いて行かれます。

一番最後の山元先生が、ドアの前でゆっくりとカラダを我々に向けられ、深々とお辞儀をされたのです。その時、私はイスに座ったねじれの姿勢・・・『ああ~失礼だ・・・どうしよう』と思いながら・・・

人として本当にこうあるべきなんだ・・・あの瞬間を心に焼き付けました。

ありがとうございました。

足ウラ鍼16本

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。前回の治療は、1週間前の日曜日でした。そして、4日間程、頭痛を気にしなくていい日が続きますが、金曜日から頭痛が再発しました。

こういうパターンを繰り返しながら、徐々に良くなっているのは確かです。

山元式新頭鍼療法(YNSA)の合谷診で腰椎と頸椎にあたる個所が反応します。

特に腰椎はD点および、Iソマトトープでは、コメカミおよび、耳ウラを置鍼することになります。ちょうど、Cさんの頭痛は、コメカミや耳ウラあたりが最も激しいところなので、一石二鳥かも・・・

明るい待合室で頭に置鍼したあと、奥にある診察室のベッドで仰向けになってもらいます。

左側頭部のみの偏頭痛。今回は、左足ウラを診ることにしました。足ウラをじっくり眺めていると、「少し変」なところがあるのに気付きました。

「少し変」とは、少し黒ずんでいる感じのところです。そこを押すと、

「痛い❗️」

の反応があるため、次々と打ち続け・・・合計16本。

「頭痛はどうですか?」

「今は、大丈夫、痛くないです。」

左足ウラ鍼16本のまま、寝ていただき、治療1時間となった時点で起きてもらいました。

「どうですか?」

「楽です、軽いです~~❣️」

さて、今度はいつまで持つのかな・・・・

 

自分のカラダに鍼。

東京医療専門学校附属施術所の研修生時代、研修生同士でよく鍼を打ちあい、私は面白がられる存在でした。というのも、私が患者になってベッドに横たわり、相手がツボを探し、指がツボに触れると、私のカラダは「ビック」っと反応するからです。

相手にとって、非常に分かりやすい患者なのです。それと、もう一つ。

置鍼して私がゆったり横たわっていると、勝手にカラダが動き出すことがあるのです。これは、必ずしもあると言うのではなく、7~80%の確率です。

最初のうちは、奇妙に思われましたが、当の本人は、非常に客観的で意識がはっきりしているのです。

「心配しないで下さい、カラダが勝手に動くだけですから。この状態は、調子がいい証拠です。」

と、説明するようにしていました。

なぜ、このようなカラダになったのか・・・それは、操体法を学んだためだと思います。

2001年、私は操体法の創始者・橋本敬三先生(医師)の直弟子、三浦寛先生に弟子入りしました。当時、三浦先生は、皮膚に触れるだけの治療をしておられ、私は、それを見続けていました。

20人くらい集まるセミナーでも、皮膚の操法を学びました。その間に、カラダが無意識の動き(自発動とか、半覚醒とも表現されています)を覚えてしまったようです。

今更、なぜこんな事をいうのか?

珍しく、私自身に鍼を刺したからです。そして、効いたからです。

患者さんだけに聴くのではなく、自分のカラダに聴くことが大切。

「もっと自分自身に鍼を刺す宣言」をいたします!

山元先生が来られました(その4)

 

生理時、目肩首が痛くて、足が冷たくなってしまう30才代の女性Dさん。頭もクラクラするそうです。

山元先生は、Dさんの左右合谷(親指と人差し指の間)を触診しながら、

「こっちより、こっちですね。」

Dさんは、左より右の方にコリがあるようです。山元先生はDさんのオデコ、正中線より1cm右、生え際より1cm程下の圧痛点に置鍼されます。置鍼のたびに、合谷診をされDさんの「今」の状態を確認されます。

宮崎市の山元リハビリテーションクリニックでの治療(過去2回見学しています)でも、山元先生は、オデコの正中線付近のA点治療がほとんどでした。

小さな水滴が全ての世界を映し出しているように、A点が全身を映し出す水滴と山元先生には見えておられるのでしょう。

3本目の置鍼が終わり、

「今度は、どうですか?」

「目の奥が気にならなくなりました。」

4本目の置鍼のあと、

「今度は?」

「あっ・・・取れました・・・気分がいい!」

Dさん、ニコッと笑顔。

「これと・・・これですね・・・今度は?」

「血が流れるようになった気がします。」

「頭はどうなりました?」

「スッキリしました❣️」

最後の1本だけは、A点ではなく、眉毛に近いE点でした。治療前、浮かぬ顔のDさんでしたが、その明るい笑顔にこちらも、元気を頂きました。

山元先生が来られました(その3)

バイクで転倒し右上腕が、上がりづらいし、後ろに腕を回しづらい30才代の男性Cさん。山元先生は、合谷診を丁寧にされます。

「Number 1とNumbers 2とどっちですか?」

と、少し英語の入った質問から始まりました。山元先生は娘さんの美智子先生と英語で会話をされておられるので、ポロっと英語が溢(こぼ)れるようです。

「Number 1です。」

「左ですね・・・・(右とは)反対ですね。」

たとえ、右上腕が上がりづらくても、合谷診で反応があった左から、治療は始めます。このことは、今回のセミナーの最も重要なポイント。講師の加藤直哉先生が何度も何度も、説明してくださいました。

山元先生は、おでこの生え際にあるA点に、置鍼されます。

置鍼される度に、合谷診で確認されます。たった1本の置鍼で、左の合谷(親指と人差し指の間)のコリが取れ、今度は右の合谷にコリが現れました。

そこで、山元先生は、正中線よりやや右のA点に2本置鍼。

「ほら・・・今度は?」

合谷診をしながら山元先生はCさんに尋ねます。

「まだ、少し・・・でも、右肩に血が流れている感じがします。」

「ここに、一つのしこりがある。」

山元先生は、先程刺した2本の鍼の中間に置鍼。数mm単位の間隔です。

「今度は、どうですか?」

「両手が伸びるようになりました。ただちょっと、ひっかかりがあります・・・腰もちょっとヘルニアがありますが・・・(痛みが)無くなりました・・・5以下になりました。」

「じゃあ、耳出して。」

山元先生は、右耳のすぐ前にある耳穴から1.5cmくらいの間の圧痛点(イラスト参照)に1本置鍼されました。

「液が流れる感じです。」

「これが、一番大事ですね~~」

Cさんの右上腕は、引っかかりはありますが、左上腕と変わらないくらい上がり、後ろに回すと、可動域が、圧倒的に広がりました。

わずか5本の置鍼で終了でした❣️

縦横無尽の鍼

前回、リラックスすると咳が出てノドが痛くなる30才代の男性Bさんの治療についてレポートしました。山元先生のBさんに対する治療を目の当たりにして、感じることがあったので追加レポートいたします。

Bさんのもう一つの症状は、腰痛。

この腰痛に対して山元先生は右耳のウラにたった3本の置鍼のみで治療されました。そして、Bさんの耳ウラの置鍼写真を拡大して、驚きました。刺した鍼の方向がバラバラ、縦横無尽。

鍼灸師は、「美しく刺すという」概念を無意識のうちに植えつけられています。山元先生 の鍼を見せて戴き、アカデミックな色眼鏡に染められている自分自身に気がつきました。

その気づき後、治療室の等身大の人体骨模型=写真(トンスケと呼んでいます)の、耳のウラと腰椎の構造を比較してみました。

よく似ているのです。しかもこの2カ所は、複雑に関節が力を及ぼし合っています。

こんなに複雑な個所には、縦横無尽の鍼が理にかなっています。

山元先生の鍼は、骨格の構造を知り尽くした上での、極めて感覚的な重くて途轍(とてつ)もなく鋭いものなのです。