膝診で行く

上腕診(肘内側横紋周辺の触診)から膝診(膝内側横紋周辺の触診)に完全移行するに至ったのは、90才代のBさん存在です。とにかく、上腕診、首診で全く圧痛点が見つけられず・・・・・悶々としていたのです・・・・申し訳ない気持ちでした。ところが、膝診で圧痛点を見つけることが出来たのです。そこで、娘さんにBさんの様子を伺いました。

「先生、父の動きが素早くなってきました。やはり、足がしっかりしてきたんだと思います。」

この言葉に勇気づけられました。これからも膝診でやれると感じたのです。

昨日の診断結果を下記に記します。

足の合谷診(第一中足骨と第二中足骨の間の触診)では、左足に圧痛点がありました・・・左側から施術します。

膝診(膝内側横紋周辺の触診)

左:頸椎(0)、胸椎(0)、腰椎(0)、脳幹(0)、大脳(1)、小脳(0)

右:なし

首診

左:腎(1)、肝(1)、脾(1)

右:なし

後頭部と側頭部の治療点に4本置鍼して終了。あとは、ゆっくりベッドで30分休んでいただきました。次回の治療が楽しみです。

肋間神経痛

週1回通院の女性患者さんのご主人が初めて来院されました。60才代の男性患者Bさんとお呼びします。Bさんは、腎臓は1個しかなく、くも膜下出血の手術もしており様々な薬を飲んでいます。その薬害のためか、全身の皮膚がただれています。Bさんは、鍼が嫌いで、奥様の当院受診の勧めも全く無視されていました。ところが、一昨日左脇腹に激痛が走り、病院では肋間神経痛と診断され、初めて来院する覚悟ができたようです。又、62才のときには、腰部椎間板ヘルニアとも診断されました。そこで、山元式新頭鍼療法(YNSA)の私の師匠である加藤直哉先生の著書「山元式新頭鍼療法の実践」の一部をBさんに読んであげました。

椎間板ヘルニアとは、「椎間板の軟骨が破れて、ゼリー状の髄核により神経が機械的に圧迫することで起こる痛み」というのがこれまでの説明でした。しかし近年は髄核そのものに、神経の炎症を起こす作用があることがわかってきました。ヘルニアの痛みは単なる圧迫によるものではなく、炎症によって起こるものと考えられるようになっています。そのため、神経の炎症が収まればヘルニアがあっても痛みは治まります。機械的な圧迫と言う要因を完全に否定するものではありませんが、「神経の圧迫だけで痛むのではない」と言うのが正しい理解です。また、炎症の痛みも、免疫細胞の1つ「マクロファージ」が炎症を感知して、その原因であるヘルニアを食べてくれることで改善します。そのため自然に消えていくヘルニアがたくさんあることがわかってきました。椎間板ヘルニアの90%の患者さんは、自然治癒が期待できます。

さて、最近では上腕診(肘内側横紋周辺の触診)の代わりに膝診(膝内側横紋周辺の触診)をしていますが、こちらの方が、私にとっては分かりやすいです。そのため、合谷診も太衝(たいしょう)=足の第一中足骨、第二中足骨の間の触診をします。

Bさんは、足の合谷診を含め、全て左に痛みがあります。

合谷診:左

膝診:左、頸椎(0)、胸椎(1)、腰椎(0)、脳幹(0)、大脳(0)、小脳(0)

Bさんは、肋間神経痛なので、やはり胸椎診断点の第4胸椎、第9胸椎辺りに圧痛点があり、特に第4胸椎の診断点が最も痛いようです。そこで、左眉の上に1本置鍼。

「はい・・・・これで、脇の下の痛みは、どうですか?」

「・・・・・・あれ?・・・・痛くない・・・・不思議ですね?」

「この1本で、治療終了・・・・ですが、内臓の状態とかも診ますね。」

その前に、左膝の触診をしても圧痛点が見当たりませんでした。この1本で膝全体がゆるんだことになります。次に首診の診断点で最も痛い腎と、2番目に痛い心の治療点に置鍼。

首診

左:腎(1)、心(1)

右:膀胱(0)、肝(0)、胆(0)、心包(0)、脾(0)

すると、右の診断点が全て緩みました。これで終了すればいいのですが、後頭部にある胸椎の治療点にもう1本置鍼して終了(何で置鍼したのか・・・・理由を忘れてしまいました)。

もう少し記録を丁寧にしましょう!

Iソマトトープ

3日前に右足首外側の捻挫(ねんざ)で来院された高校生C君。本日は、予約日でしたが、痛みがないのでキャンセルとなりました。若い人は治りが早いようです。それにしても、山元先生の見つけられたIソマトトープ(小さな人型の投影)の凄さに、ただただ平伏すばかりです。Iソマトトープは、カラダに歪(ひず)みが生じた時、側頭部にリアルな形状で浮き上がる人型です。

この事実を、山元式新頭鍼療法(YNSA)を習い始めたたころは、「へ~そうなんだ・・・本当かな?」くらいの軽い感じで受け止めていました。それが、治療を重ねるうちに「真実」であると確信するようになりました。捻挫(ねんざ)を側頭部の置鍼で治せないのは、治療点に上手く置鍼出来ていないからであると思うことです。

山元式新頭鍼療法(YNSA)の素晴らしさは、患者さんとの共同作業であることです。常に患者さんの感覚に委(ゆだ)ね、最も痛い個所を追及し置鍼することにあります。そこには我(が)など全くありません。感覚を通してお互いが分かり合うだけです。こんな素晴らしい治療法に出会えた私は、本当に幸せです。ありがとうございます。

捻挫(ねんざ)の高校生

 

昨日、右足首の外側を捻挫(ねんざ)した男子高校生C君。部活動を終えて午後8時に、お母さんと一緒に来院。きれいにテーピングしているので接骨院に行ったのかと思いきや、C君がガチガチに固定したそうです。そのため、氷水でその上を冷やしても全く効果がありませでした。

捻挫(ねんざ)治療の前に、合谷診(人差し指と親指の間の触診)、膝診(膝周辺の触診→脳と脊柱の診断)、首診(内臓の診断)の説明し、診断するも・・・全てに圧痛点が無いC君には鍼を打つ必要がありませんでした。

そこで、いきなり捻挫(ねんざ)治療を始めます。右側頭部のIソマトトープ(小さな人型の投影)の足首にあたる圧痛点に置鍼。しかし、なかなか結果が出ません・・・・そこで、右手首(患部の右足首には触れません)の外側圧痛点に、鍼を刺して抜いてと10箇所。それでも、結果が出ません。
再び、右側頭部のIソマトトープ(小さな人型の投影)圧痛点を丁寧に探り置鍼。

「これで、歩いてみてください。」

「・・・・・・体重をかけても・・・痛くない・・・ここ(外くるぶし)がまだ痛い。」

やっと、効果が出てきました。そこで、置鍼した個所の近くに圧痛点があると確信し、圧痛点を探します。

「痛い!」

「ここ?・・・・・分かった・・・・・これで、歩いてみて。」

「・・・・・・捻挫(ねんざ)する前みたい・・・」

どうやら、成果が出たようです。念のため後頭部にある、マスターキーという個所にもう1本置鍼して終了しました・・・・お母さんと会話をしていると、C君が突然テーピングを外し始めました、
もの凄いスピードで!そして、待合室に置いてある陶器の玉に足を乗せ、ゆっくりと体重をかけ始めました・・・・・それでも、大丈夫なようです。

その後は、壁に貼っている山元式新頭鍼療法(YNSA)のポスターをマジマジと見つめるC君。
何を感じたのでしょう・・・・3日後に予約をしましたが、痛みが治っていれば来なくてもいいと説明してお見送りしました。

膝診

90才代の男性患者Bさん、膝に力が入らず歩行困難なため、今年の1月から毎週1回の通院。杖を使わなくてもゆっくりと歩行出来るまでにはなりました。しかし、介助の必要はあります。

最近1~2ヶ月は、合谷診(人差し指と親指の間の触診)、上腕診(肘内側横紋の周辺の触診)、首診では圧痛点を見つけられず御家族の要望で腎、膀胱の治療点に置鍼をするだけとなっていました。

ところがこの2週間、膝診と称して膝周辺の触診をし始めた結果、上腕診より圧痛点を見つけやすい事が分かりました。今回のBさんが典型な例です。上腕診では全く無かった圧痛点が、膝診では、左頸椎、左胸椎、左腰椎、左脳幹、左大脳、左小脳全てに圧痛点が見つかりました。

そこで、左膝を押圧し、1番痛い胸椎の診断点を押圧し、後頭部の治療点に置鍼。次に、小脳、頸椎の治療点にそれぞれ1本ずつ置鍼。すると、残りの腰椎、脳幹、大脳の診断点の圧痛がなくなりました。

膝診が刺激になったのか、いつもなら反応の少ない首診も、左胆、左心、左脾に圧痛点があり、左胆、左脾の治療点に1本ずつ置鍼したため、左心の診断点の圧痛はなくなりました。そして、腎、膀胱の治療点に1本ずつ置鍼して30分間ベッドでゆっくりしていただきました。

車でお迎えに来られた娘さんが、

「先生、(お父さんが)しっかり歩けています❗️」

と大声で教えてくれました。元々、膝に力が入らないので歩行困難になったのですから、膝を丁寧にしっかり診断し、治療点を見つけるのは、理にかなっているように思います。

臭神経回復せず・・・

小学校6年生の頃から副鼻腔炎になり、24~25才頃から匂いを感じなくなった60才代の男性患者さん。62才の時、副鼻腔炎の手術をして完治、その後1年間漢方薬治療をしましたが治らず、嗅神経がやられていると医師から言われました。

それでもあきらめ切れず、当院に週1回7カ月間通院されましたが、結果を出すことが出来ず、本日を持って終了となりました。力不足をつくづく感じたのであります。私は、今年の2月に山元式新頭鍼療法(YNSA)の上級コースを修了したばかり・・・・この調子だと、100才くらいまで現役鍼灸師を続けないと・・・・などと、思ってしまいます。

それにしても、結果を出せない私に7か月も付き合っていただいたAさんに心から感謝いたします。ありがとうございました。

カルテは全てiPad に・・・

患者さんの勧(すす)めで、カルテを全てiPadに記録するようになりました。ipadでの手書きカルテが患者さんの置鍼写真と共に記録できるので、本当に便利です。新患さんは、このパターンでやれているので、今後、ペーパーレスで保管していけます。ところが、ちょっと油断をして保存をかけないと、消えてしまいます・・・・・本当に悔しい限りです。

先日も、2年ぶりに来院された50才代女性患者Aさんのカルテが消え、しかも置鍼の写真も撮り忘れてiPad に記録されてないというケースが出てきました。そのため、アバウトな記憶をたよりにアバウトな文章で残してみようと思います。

Aさんは、私が山元式新頭鍼療法(YNSA)で治療していることを知らないで、来院されました。

「Aさん、最近は頭に鍼を刺して治療しているんです・・・・」

「えっ・・・・そうなんですか・・・・」

と、けげんそうな顔をされています。全く信じてもらっていないという雰囲気が漂い、ちょっと気まずい時間を共有していました。こういう時は、しっかり説明をしなければなりません。

「最初にここ(人差し指と親指の間)の圧痛点を見つけて、痛い方から始めます。そして、肘の圧痛点を調べてオデコあたりに鍼を刺して脳と頸椎、胸椎、腰椎を整えるんです。すると、自律神経が整います。次に、首の圧痛点を見つけて側頭部に鍼を刺して、内臓の調子を整えるんです。Aさんのように腰が悪い方は、これだけで腰痛がなくなる場合もあります・・・それすんだら、腰痛治療をします。」

と、ガイコツのモデル(とんすけ)を使いながら説明。

そして、上腕診から始め、置鍼をしていくのですが・・・・圧痛点がなかなか消失しません。Aさんの「こんなので治るわけない」オーラが出ています。それでも、徐々になくなり始め、やっと首診。側頭部の置鍼で少しずつ慣れてこられました。

「これで、どうですか・・・・歩くと痛いんですよね・・・・歩いてもらっていいですか?」

「・・・・・ちょっと、痛い個所が変わった感んじ・・・」

「分かりました。そしたら、これから腰痛の治療を始めます・・・・」

というわけで、耳の前のD点と耳ウラのIソマトトープ(小さな人型の投影)に置鍼。

「これで、歩いてみてください。」

「・・・あれっ・・・・痛くない・・・・・(腰を色々動かして)・・・ちょっと引っかかりがあるけど・・・・全然違う!いいです。」

と、やっと気に入っていただきました。後は、山元先生の治療ビデオを見てもらい色々お話したのでした。

「娘が医学部に入って、麻酔科の医者になろうと言っているので、山元式を絶対勧めてみます。」

と嬉しいお言葉を頂きました。

突然の電話

「今日、空いてる時間ありますか・・・膝が痛くて・・・」

50才代女性患者Aさんから、久しぶりの電話をいただきました。

「8時30分(夜)からなら大丈夫です。」

という事で、来院していただきました。右膝が痛くて体重を掛けて歩けない状態です。そのため、やや高めのイスに座っていただき、治療をすることにしました。右膝が痛い場合、右肘を丁寧に診て圧痛点をなくすと、右膝痛が軽減します。合谷診(人差し指と親指の間の触診)をすると右手のほうに圧痛があります。ということは、右肘から治療をするということになります。

そして、上腕診(肘内側横紋の周辺の触診)

左:腰椎(1)

右:胸椎(0)、腰椎(1)、小脳(1)

右肘内側の圧痛点が腰椎の診断点。この圧痛点を取れば、Aさんが1番気にしている右膝痛が軽減するはずです。右腰椎、小脳の治療点がある生え際に置鍼2本。

「これで、右膝どうですか・・・・歩けますか?」

「・・・・・ちょっと、いい感じです。」

次に、首診(内蔵の状態を診断します)

ここでは、左の腎、膀胱、胆の診断点に圧痛があり、治療点に置鍼。これで、首が緩みました。

「これで、右膝どうですか・・・歩いてみてください。」

「・・・・・大分、良くなっています。」

「・・・そしたら、これから右膝の治療を始めますね。」

右側頭部の耳周辺のG点という膝治療点に置鍼6本、Iソマトトープ(小さな人型の投影)に置鍼1本。

「これで、右膝どうですか?」

「・・・・・・あれっ?全然大丈夫!」

「ここに来た時の痛みが10、全く痛くないのが0・・・・ならば、今は?」

「・・・・・え~と、2から3くらいかな?」

ということで、かなり良くなりました。後は、ゆっくり20分ほどゆっくりしてもらい、治療を終了しました、おしまい。

手の温もり

 

手の温もり

当院に通われて8か月になる70才代女性患者Cさん。

「先生、私の右膝に他人の足が10本ついて来とるみたい・・・・」

が、口癖でしたが、最近では、

「先生、今は私の足1本だけ」

が口癖になって来ました。それでも、杖を突いて来院されます。毎週1回の通院が、功を奏(そう)し、アップダウンを繰り返しながら、徐々に良くなっています。

今日は、右フクラハギと右膝前面が痛いそうです。左右の合谷診(人差し指と親指の間の触診)では、いつも左に圧痛点があり、治療するのは、いつも左側です。上腕診(肘内側横紋周辺の触診)では左の胸椎、腰椎、小脳の診断点に圧痛がありました。

ただ、膝診(上腕に対応する膝周辺にも診断点があるように思います)では、左右の頸椎、胸椎、腰椎、脳幹に圧痛点があり、左小脳にも圧痛点があります。

そこで、今回は左膝圧痛点を操体法の動きの操法で、ゆっくり動いて取るようにしました。この説明は省略します(文字で表現するのは難しいです)。

結果、両脚が緩(ゆる)み上腕診をしても、全て緩(ゆる)んでいました。これで、自律神経が整いCさんが訴えていた右脚の痛みも無くなりました。

「よく分からないけど・・・先生の手の温もりで治った気がするんですけど・・・お手当てみたい・・・」

「そうかも知れませんね・・・」

これからも、操体法を取り入れながら気持ち良さの範囲、質を拡大していこうと思います。

首診では、左腎、膀胱、肝、脾の診断点に圧痛があり、左側頭部に3本置鍼で圧痛点がなくなり、内臓も整いました。

後は、右膝をねらい、右コメカミ付近と右耳下のG点に7本置鍼して、右膝痛を取りました。

「先生、私の脚です。しっかり体重が乗ります。」

次回は、操体法を指導して、「ご自分で毎日してもらう」というお薬をお渡ししようと思います。

は、右膝をねらい、右コメカミ付近と右耳下のG点に7本置鍼して、右膝痛を取りました。

「先生、私の脚です。しっかり体重が乗ります。」

次回は、操体法を指導して、「ご自分で毎日してもらう」というお薬をお渡ししようと思います。

置鍼1本

半年前から週2回のペースで来院されている40才代の男性患者Aさん。左肩が上がらなくなって3年。好きなゴルフでは、飛ばし屋だったのに、刻んでボールを運ぶスタイルになっていました。ところが、週2回の来院を根気よく継続すると、徐々に回復し今では、「飛ばし屋復活」となりました。そうなると、練習も楽しくなり、当院に来られる前にゴルフや、練習をされることが多いのです。

今日も、ゴルフで7km歩き体調が良いようです。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)では、圧痛点がありません。上腕診(肘内側横紋周辺の触診)でも圧痛点がありません。こういう時は、膝ウラと大腿部の触診をするようしています。

勝手に「膝診」と呼んでいます。これでは、左腰椎、左小脳診断点に圧痛がありました。左腰椎診断点の方がより痛みがあるので、後頭部にある左腰椎治療点に1本置鍼。

「これで、膝ウラのここ・・・どうですか?」

「痛くない。」

「そうしたら、ここ(左小脳診断点)はどうですか?」

「痛くないですね。」

どうやら、左腰椎治療点の置鍼が影響して左小脳治療点も圧痛がなくなりました。

その後、首診をすると全て圧痛点なし。

「今日は、この1本だけで終了です。」

Aさんの日々の努力が成果を見せています。これで、冬を乗り切るのがAさんの目標。お付き合いしますよ!