第3指と第3趾

造園業をされている70才代の男性患者Bさん。

右手の人差し指、中指、薬指(第2、3、4指)に痛みがあり、伸ばしたり握ったりが、やりづらい状態です。この様に、局所が単独で痛い場合は、真っ先にその対応をします。

まず、C点という正中線から右に4.5cm右の生え際から1cmほど内側に斜め45°入ったあたりの圧痛点に3本置鍼。

その後、右足の指(第2、3、4趾)をチェック。ややムラサキ色で、異常に緊張しています。軽くつまんでみると、

「あ痛った!・・・今までで、一番痛い。」

Bさん一瞬にして苦痛の表情となります。特に、第3趾は棒の様にピーンと立っています。第3趾に対応する右手の中指(第3指)の第1関節が、Bさんの最も痛いところです。

カラダは正直で、最も痛い右手の中指と、それに対応する右足の第3趾が、形状がいびつで、最も痛くなっています。

Bさんに圧痛点を触りながら説明すると、痛い表情と理解できた嬉しさで、痛がりながらニッコリ笑顔で応じてくれます。足の指圧痛点に、パイオネックス(円皮鍼)を貼って本日は終了。

「先生、指がよく動くし、楽になりました。」

こちらもニッコリ笑顔になりました。

京都出張治療2日目

猛暑の京都出張2日目、70才代の女性患者Aさん。脊柱管狭窄症と診断されています。

「左膝の内側が、朝起きた時から痛いのよね。それと、腰が重い感じ。」

「そしたら、膝を先に診ましょう。左膝の痛いところが、左肘にも同じ様にありますから、左肘に鍼をしますね。」

山元式新頭鍼治療(YNSA)では、左下肢の状態が左上肢に反映される原則を、治療に使います。Aさんの左肘の圧痛点に鍼を刺して抜く治療をしながら、左膝の状態をAさんに聞いていきます。

「どうですか?」

「ずいぶん、いい感じ。」

「これで、どうですか?」

「・・・いい感じ!」

という事で、膝治療は終了。続いて、合谷診(親指と人差し指の間の触診)の後、オデコ中央部に2本、左右耳ウラの圧痛点に、一本づつ置鍼。

特に、耳ウラの鍼は、山元先生になりきってしっかり置鍼。すると、この1本でAさんの腰が楽になりました。改めて、鍼1本のパワーを実感しました。

宮崎YNSA セミナー(症例9)

5~6才の男の子Iくん、お母さんと一緒に入室。夜尿症です。

「毎日?」

「ほぼ毎日です。ただ鍼をしている間は、良かったです。」

山元先生は、Iくんの小さな左右の手を同時に、包むように持ち、

「こっちは、ないね・・・・あるのは、こっちだね。」

Iくんの右手に、コリがあったようです。山元先生は、Iくんのオデコ中央部やや右の生え際に、パイオネックス(円皮鍼)を貼っていかれます。

「ボク・・・押さえると、痛い?」

Iくんは、首を横に振りちょっと強がりを見せます。山元先生は、Iくんのオデコにmm単位で密集しパイオネックスを貼り、やや強めに押されます。

オデコの中央部は、A点と言って頚椎に対応する個所なのですが、山元先生は、このA点の狭いエリアにソマトトープ(小さな人型)を見つけておられるようです。

しかし、余りにも超越した天才芸のため、私には、全く理解できません。

夜尿症ならば、Y点(側頭部にあります)の膀胱点に置鍼のはずですが・・・・

両手をオデコに当て、嬉しそうにお母さんと一緒に退出するIくんを見ながら、

ちょっぴり、ため息が出てしまう私でした。

宮崎YNSA セミナー(症例8)

車イスに乗って入室された60才代の女性患者Hさん。頚肩腕症候群という比較的軽症のイメージがする病名ですが、今回のセミナーでは、最も重度の患者さんの一人です。そこで、頚肩腕症候群をウィキペディアから、引用してみます。

「広義の頸肩腕症候群は、首(頸部)から肩・腕・背部などにかけての痛み・異常感覚(しびれ感など)を訴える全ての症例を含む[2]。この中で、他の整形外科的疾患(たとえば変形性頸椎症頸椎椎間板ヘルニア胸郭出口症候群など)を除外した、検査などで病因が確定できないものを(狭義の)頸肩腕症候群と呼ぶ。

狭義の頸肩腕症候群は座業労働やストレスを原因とする場合が多い。かつてキーパンチャー病と呼ばれたものもこの一種であり、現在OA病あるいはパソコン症候群と呼ばれる一連の症状もこの範疇に入る[2]。若年層から起こり、男性より女性のほうがかかりやすいとされている。 職業によって罹患した際は、頸肩腕障害と呼応され、比較的軽度の人から重度の人まで幅広い。 

頸肩腕症候群であることではなく、その重症度が問題の疾患である。 

最近の研究で、重症難治化した頸肩腕症候群の多くは線維筋痛症の容態を示すことが多いことも分かってきた。」

これによりますと、頚肩腕症候群とは、原因不明の疾患で、重症度が問題の疾患とあります。Hさんは、線維筋痛症の可能性があります。

ここで、ウィキペディアの線維筋痛症を引用します。

「線維筋痛症(せんいきんつうしょう、: Fibromyalgia, 略:FM)とは、全身に激しい痛みが生じる病気である。英語では、症候群であることを表現して、Fibromyalgia Syndrome:略FMSとも記される[1]。原因不明の全身の疼痛を主症状とする[2]。疼痛は腱付着部炎や筋肉関節などにおよび、体幹四肢から身体全体に激しい疼痛が広がる[3]。新興疾患では無く、以前は「非関節性リウマチ」「心因性リウマチ」「軟部組織性リウマチ」「結合組織炎」「結合組織炎症候群」などと呼ばれていた[1]。」

Hさんの頚肩腕症候群は、原因不明の全身の激しい疼痛を伴う疾患(おそらく線維筋痛症)となります。

「雨が降ると痛い、首が動かせない。吐き気がして・・・・つわりより、ひどい!」

「困りましたね~~」

山元先生は、Hさんのオデコを押圧されます。痛みのため、Hさんは飛び上がるように反射。その後、いきなりオデコに鍼ではなく注射をされます。

「首動かしてごらん・・・右が動くようになった?」

「イエス。」と首を縦にふるHさん。

山元先生は、再びオデコや、側頭部に次々と注射をされます。そのたびにHさんは、

「ひえーーーーーー、イタッーーーーーーー」

と、壮絶な悲鳴をあげ続けます。山元先生の注射の勢いは、とどまるところを知りません。

「肩を押さえて!ここ!」悲鳴を上げながら訴えるHさん。

「こっちもして!」山元先生に指示するHさん。

「あんた、目は?・・・目をあけて!・・・・目があく?」

「耳鳴りがする。」

再び、オデコを中心に次々と注射。

「ひやーーーーーーー」耳のウラに注射。

「来たーーーーーーーーー」左前腕の外側に注射。

Hさん、突然ズボンを下げ、お尻を出します。そこへ、山元先生が注射を2か所。

合計17本の注射をされました。

「ほら、首が回る❗️」

今まで、車イスに座っていたHさん、急にスクッーと立ち上がって首を回してくれました。

『おっ~~~~~~』

心の中で大声出して叫びました。声を出せない壮絶な治療だったのです。

「休憩じゃ~」

ゆっくりコーヒーを飲みながら、

「彼女は看護士だったから、気になるんだ・・・・お互い頑張るんだ、ハッハハッハ・・」

と説明してくださる山元先生でした。

サッカー場に行ける!

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週は、月曜から水曜まで痛みがあり、木曜日は全く痛みがなくなりました。金曜日から土曜日にかけては波があった感じです。今日は口の中鍼で突かれたように痛みます。」

今回は、合谷診(親指と人差し指の間の触診)をしないで、いきなり、Jソマトトープ(小さな人型)の左アゴに当たる個所に5本置鍼。

「けっこう、痛みが少なくなってきた。」

次に、合谷診のみで、胸椎に対応する個所の圧痛点を探します。実は、一番最初の山元式新頭鍼療法(YNSA)との出会いが、山元先生の治療で、しかも合谷診によるオデコ中央部のみの治療でした。

その印象があまりにも強烈だったので、合谷診のみで脳、頚椎、胸椎、腰椎を 診るのが、私にとっては簡単です。

Cさんは、胸椎に対応する親指と人差し指の個所が、ゴリゴリしています。左眉毛の上に3本置鍼。オデコの口に対応個所に1本置鍼。口腔に対応する個所に5本置鍼しました。これで、口の中の痛みは取れました。

若干、アゴに痛みが残っているので、これに対応するであろう左足甲の部位を軽く触れました。

「痛い‼️先生、今日一番の痛さ‼️」

そこに3本置鍼をして、後は大好きなサザンオールスターズの曲をゆっくり聴いてもらい、休んでいただきます。すっかり寝込んでしまったCさん。

「先生、今日はこれから、FC愛媛の試合を見に行くんです。一年前は、どこへも行けんかったのに・・・・随分良くなりました。ありがとうございます😊」

颯爽とマイカーを飛ばしサッカー場に向かわれました。

宮崎YNSA セミナー(症例7)

変形性頚椎症、腰椎症の70才代短髪男性Gさん、颯爽と入室されました。

「なかなか、いいヘヤースタイル・・・・あんた、◯◯さんとこの近くね?・・・・

◻︎△さんは、どうしとっと?」

「亡くなられた。」

「・・・なかなか、几帳面な人じゃった。」

合谷診(親指と人差し指の間の触診)をしながら、オデコ中央部の生え際の1点に集中する様に、4本置鍼されます。

「痛い!・・・・」

「・・・・肩は、まだ痛いけんどの〜」

合谷診の後、山元先生はもう1本同じ個所に、少し違う角度で置鍼されます。

「肩は、どうなったん?」

「痛くなくなりました。」

と突然、敬語でニッコリ。

山元先生は、最後、頚椎付近に注射をされますが、その時、Gさんの頚椎から胸椎にかけての手術跡を見せくれました。

「手術の跡です。いつ頃ね?」

「もう、10数年前になります。」

すっかり、敬語が板につくGさんでした。

宮崎YNSA セミナー(症例6)

今回で6回目の来院、腰痛症(特に左)の50才代女性患者Fさん。

「先生、今までより良くなりました。太ももの痛みがなくなりました。」

山元先生は、Fさんの両手を軽く握り、合谷診(親指と人差し指の間の触診)をしながら、オデコの中央部やや左寄りの生え際に、3本の置鍼。

「いいですか?」

「はい、今はほとんど痛みはないです。」

「散歩は、しない?・・・・なんで?・・・・自信がないの?」

「はい。」

山元先生、今度は鎖骨の上の首診をされ、

「これと、こっちは・・・こっちの方が痛い?」

鎖骨の下の胸骨(ネクタイの格好をしています)の、ネクタイの結び目の上の方を丁寧に探り、パイオネックス(円皮鍼)を2個貼られます。

「先生、左の太ももがしびれるように痛みます。」

山元先生は、左肘の横紋のやや上、内側の圧痛点に1本の置鍼をされます。

「どうですか?」

「あまり変わりません。」

Fさんの両手の合谷診をされた後、オデコ中央部の3本の置鍼より下にもう1本置鍼をされます。

「様子を見ておきましょう。」

で、終了となりました。

爪が鍼

鍼が嫌いなのに鍼灸院に来てしまった40才代の女性患者Aさん。主訴は肩コリです。

インターネットで、操体法の治療を受ける事が出来るのを知ったAさんは、頑なに鍼治療を拒みます。そこで、初回は皮膚に触れるだけの治療にしました。これだけでも、カラダが気持ち良くゆるんで肩コリが随分取れます。

次の治療では、動きの操法を入れながら、やはり、皮膚に触れる操法を中心に行いました。

今回の治療は8回目。かなり、肩コリも良くなって来ましたが、事務職でコンピューターと向き合っているため、週1回の来院が必要です。

今回は、山元式新頭鍼治療法(YNSA)を中心に、鍼ではなく爪を使ってやってみました。Aさんは鍼が嫌いだけではなく、あまり効果を信用していないようです。

そこで、合谷診(親指と人差し指の間の触診)をして、次に上腕診。

「痛いです!」

「そこが痛いと、オデコなんです。」

とAさんのオデコ中央部の生え際に爪でしばらく押圧。

「痛いけど、気持ちいいです。」

「はい、では腕をを診ますね(Aさんの左肘外側を軽く押圧)。どうですか?」

「あれ?・・・痛くない・・先生、押す力加減を変えてるでしょう?」

「いいや~、そんなことするわけでないでしょう?」

「・・・・・・」

「首の状態は、どうですか?」

「あれ?・・・軽い!・・・まだ、背骨の奥の方は、何かありますけど。」

そこで、左上腕三頭筋の肘に近いところの圧痛点を、爪で痛気持ちいい程度の押圧。

次に、肘下の圧痛点にも爪押圧。

「どうですか?」

「あれ?・・・軽い❣️」

どうやら、これで信用してもらえました。それからは、山元式新頭鍼治療法(YNSA)の脳神経の反射区である12脳神経点などを説明し、爪で正中線に沿って爪押圧をするよう指導しました。

次回の治療では、爪押圧での山元式新頭鍼治療法(YNSA)をもう少し深めてみようと思います。

宮崎YNSA セミナー(症例5)

 

ーたった7本の鍼で長年の腰痛が治ったー

30年以上腰痛に悩み、右前腕も物をつかんでいて、力が入らず落とすこともあった60才代の男性Eさん。

「腰は、もう長いんですか?」

「30年以上です。」

「取れない・・・また、再発する?」

「そうですね。」

「足はどうですか?」

「今年の正月は、右ふくらはぎ痛で大変でしたが・・・鍼を打って治りました。」

「それと、右腕に力が入らなくなります。」

「動くことは、できるの?」

「今は大丈夫です。」

「はい、手出して。」

左右の合谷診(親指と人差し指の間の触診)をされた山元先生は、左右の上腕診(外側のみ=頚椎点)をされた後、左前腕の上廉(肘下横紋から指4本下)付近に2本置鍼。

山元先生は、再び左右の合谷診をされます。

「これよりも、これのほうが・・痛い。」

「若干・・痛いです。」

今度は、オデコ中央部のA点に2本置鍼。

「どうですか?」

「・・・・痛みが取れたような、気がします。」

「立ったり、すわったりは・・・やってみて。」

「どうもありません。」

「反対の手出して。」

今度はEさんの右上腕診(外側のみ=頚椎点)をされた後、同じ位置に置鍼2本。

山元先生は再び左右の合谷診を同時にされます。そして、右前腕の2本の置鍼個所付近を押圧。続いて、左前腕の2本の置鍼個所を押圧され、もう一本置鍼。

第7頚椎右横に注射をし終了となりました。

「とにかく山元先生は、人間としてのスケールが大き過ぎて、常に叱られている様な感じだった。鍼に全く迷いがなくズドーンと入って来た。滅多にお会いすることができない怪物の様な方に、お会い出来る機会があったことに感謝します。」

長年の悩んでいた腰痛がすっかり治ったEさんでした。

宮崎YNSAセミナー(症例4)

変形性頚椎症および腰椎症の80才代の女性患者Dさん、肩凝りが激しいとのことです。

「先生、ここらへんが痛いです。」

両肩をさすって肩凝りの状態を、山元先生に伝えられます。

山元先生は、合谷診(親指と人差し指の間の触診)をしながら、オデコの中央部に次々と置鍼を5本。

 

「どうですか?」

「まだ、痛いです。」

今度は、山元先生、Dさんの頭頂部めがけて2本置鍼されます。

「どうですか?」

「・・・・痛くないです。」

 あまりに突然良くなったので、呆然としている私の耳元で、ベテラン鍼灸師の先生が、

「あれは、肝に刺したのです。肝は肩凝り(僧帽筋辺りを指差して)によく効きます。」

と、教えて下さいました。ここでいう肝とは、12脳神経、12内蔵合法点における10番目の肝。これを読んで分かる方は、ほぼいらっしゃいません!

そこで、小学校高学年でも分かるように説明したいと思います。

受精卵が分割して内胚葉、中胚葉、外胚葉となって徐々に人型が出来てきますが、大元は一個の受精卵。全てがつながっています。特に外胚葉は、外側の表面がくぼんで筒状となり、それが神経の大元となります。それが集まったものが、脳。

くぼんでいない外胚葉の多くは皮膚になります。頭皮と神経が密接な関係にあるのがよく分かると思います。神経は大きく分けて脊髄から根っこのように広がった脊髄神経と、脳から直接、頭を中心に根っこを張った脳神経があります。

この脳神経が12種類あって、頭皮には根っこのような脳神経を刺激するポイントが、オデコの中心部から頭頂部にかけて、きれいに並んでいます(写真参照)。

そして、そのポイントは、心臓、肝臓などの12の内蔵とも関係があるのです。元々、一つの受精卵だったので、一つのポイントが、様々なところにつながっているという考えは、理にかなっていると思います。

ただ、何故、肝を刺激すると、肩コリがよくなるのか分かりません。ゴメンなさい!