やってしもた

京都大徳寺で仕事を終え、近くのご夫婦で経営の食堂に立ち寄ったのは、午後の8時を回っていました。

食事を終えて、ipad でU-18W杯(野球世界大会)の日本対カナダの試合をゆっくり見ていたのですが、一つ気になることが・・・・配膳係の奥さん、右膝を触って、屈伸したり、揉んでみたり・・・

「足が痛いんですか・・・」

「そうなんです、膝が痛くてサロンパス貼って、サポーターもしているんです。」

「それは、困りましたね。私、鍼灸師なので、治しましょうか?」

「えっ・・・鍼?実は、興味あるんだけど・・・なかなか行けなくて。」

「じゃあ、やりましょう。」

0.5寸の5番鍼(1.5cmの長さで直径0.25mm)で、彼女の右肘(痛い膝ではありません)の圧痛点に3カ所、その跡にパイオネックス(円皮鍼)を3カ所。

「あれあれ???・・・歩ける痛くない!あんた(旦那様)、鍼してもろた!」

厨房から出てこられたご主人、

「あんた、いつから鍼灸やってるの?」

「そんなに古くないですよ、平成24年に免許取ってます。」

それを聞いたご主人は、あまり興味が無いようです、厨房に帰られました。膝が良くなった奥様は、ニコニコ顔で私と話そうとすると・・・お客様様が、入ってこられました。

一目散に食堂を出て行く私は、余計なことしたかな・・・でも喜んでもらったから・・・

ついつい出しゃばりをしてしまう、悪いクセじゃな~・・・まあ~~いいか‼️

下肢上肢

運送業を営む50才代の男性患者Cさん。ケンビキ(肩甲骨の内側)が痛く来院6回目です。初診の頃の痛みが10としたら、今回の痛みは半分の5くらいです。しかも、運転中の痛みがが5で、普段の生活では痛みを感じることは、なくなりました。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)をしても、あまり反応がないので、正中線から4.5cm左のオデコの生え際にある圧痛点(C点といいます)に7本置鍼。

それからは、

上肢⇄下肢(山元先生が唱えておられるのを、私なりに解釈)左を上にして横向きにベッドで寝てもらいます。Cさんは、

「ここが、この一点(左肩甲骨の下の方)が痛いんよ・・・」

と、左肩甲骨にある圧痛点を私に、示してくれます。それに対して私は、骨盤の左腸骨の圧痛点をさがします。

「ちょっと待ってや・・・・ここじゃけん・・・ここどうなん?」

「・・・・」

「そしたら、ここ・・・・・?」

「・・・・・・」

全く、反応がありません。

「ちょっと、まってや・・・移動するけん・・・」

Cさんの背中側から圧痛点を見つけていたのを、お腹側からに変更しました。すると、Cさんの左肩甲骨の圧痛点に対応する骨盤の左腸骨のポイントが明確に分かりました。

「ここは、どうなん?」

「そこじゃ!」

やっと見つかりました。そこで、長くて太い鍼(2寸5番鍼=6cmで直径0.25mm)を刺します。

「来た・・・・・肘までシビレる!」

お尻に刺したのに、肘にシビレが来るのです。

「これで、どうじゃろ?」

「・・・・・・ええ感じじゃ。」

どうやら、Cさんのケンビキ(肩甲骨内側)痛はひとまず解決できたようです。

頭蓋骨⇄仙骨

 

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週はあんまり、調子よくなかった・・・・でも、この2日間は調子が良くなった。」

前回は、

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

の相関関係で、左下顎骨が痛いCさんに対して、左腸骨の圧痛点に鍼を刺し、頭頂部Kソマトトープ(小さな人型)の下顎骨に対応する個所に8本置鍼したのですが・・・・少し、本数が多すぎたのかもしれません。

今回のCさんは、左あご(左下顎骨)以外に、後頭部と首にも痛みがあります。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)から上腕診(肘窩横紋の触診)をし、左頭部に7本置鍼。

その後、ベッドに移動し、うつ伏せになって戴きます。

頭骸骨⇄仙骨

の相関関係から、後頭部(頭蓋骨)に痛みのあるCさんの仙骨圧痛点に鍼を刺します。3本ほど刺すと、

「先生、効いてる。痛みが取れました。」

後頭部の痛みは取れたので、今度は、左下顎骨。

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

この関係から、左腸骨の圧痛点に鍼を刺していきます。

「先生、効いてる。ナンカいいみたい。」

という事で、仙骨と腸骨の圧痛点にパイオネックス(円皮鍼)を貼り終了としました。

今回は、今まで以上に手ごたえがあります。来週の来院が楽しみです。

やわらかおもちお尻

鍼が嫌いなのに鍼灸院に来てしまった40才代の女性患者Aさんの続報です。今日は、左の肩コリがひどいそうです。鍼を使わない治療を行います。

山元式新頭鍼療法(YNSA)を導入しながら・・・と思い、鍼を刺す代わりに指先をAさんのオデコに置き、4~5分経過。

肘の内側が、柔らかくなっているはずです・・・・が、硬くて触れると痛みもあるそうです。

もう一度、やっても変わりません・・・こういう時は、あきらめます。

座ったままの姿勢が、やや緊張を呼ぶのかもしれません。ベッドに移動してもらい一番楽な姿勢になってもらいます。

「うつ伏せが楽です。」

Aさんの左肩、確かに大きなコリがあります。

仙骨⇄肩甲骨の関係で、バランスを取っているので、左肩コリがあると、左仙骨の近くに必ず圧痛点があります。

「痛い!」

仙骨中央部ある圧痛点に軽く中指を置きます。

「Aさん、カラダに変化が出てきたら、教えて下さい。眠くなったら眠って下さいね~」

仙骨周辺の圧痛点を探し、5~6分おきに指の位置を変えていきます。

「Aさん、肩こりどうですか?」

「楽です・・・いい感じです。」

こうなってくると、気が付いたところに指を置いていき、全身が緩むようにしていきます。

Aさんのお尻がトンガっていたのですが、徐々に緩み柔らかいおもちの様になりました。

この時点で、終了。

この治療法、Aさん気に入っておられます。

「気持ち良かった!」

と、笑顔で帰られました。

肩甲骨⇄腸骨 頭蓋骨⇄仙骨

体調崩すと来院される60才代の男性患者Aさん。朝起きると、腰に張りがあり前屈すると骨盤の上が痛いそうです。午前中に電話があり、夜8:30からの治療となりました。

「先生、今日は鍼じゃのうても、ええけん。治して下さいや。」

『よっぽどのことが無い限り、鍼以外はしません・・・』と思いつつも、言葉には決してしません。

合谷診(人差し指と親指の触診)の後、とくに眉毛の上の圧痛点に左右合計6本置鍼。Aさん

は、三叉神経痛の持病を持っていたこともあり、眉毛の上を丁寧に診ると、mm単位で圧痛点があります。この置鍼だけで、腰痛はかなり軽減しました。

「先生、痛みが点になった来た・・・今は、ここじゃわい!」

仙腸関節の出っ張り(上後腸骨棘:じょうごちょうこつきょく)の上にゴリゴリがあります。

肩甲骨⇄腸骨

と考えると、肩甲骨下角(かかく)あたりが、仙腸関節の上に対応します。丁寧に探すと、

「先生、そこじゃ!痛い!」

Aさんの圧痛点は、あちこちに移動するので、それに合わせて

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

の見方を追加しながら、鍼を刺していきます。頭骸骨⇄仙骨の見方から、頚椎1番あたり(天柱:てんちゅう)で、腰の圧痛点が取れていけます。

最近では、天柱に鍼を刺すという意識ではなく、腰に対応する頚椎の圧痛点に、鍼を刺すという感覚で治療しているようです。

「先生、そこじゃ~~、爆弾が破裂した・・・・ハアアハ・・・頭まで電気が走るし、腰に来た~~」

Aさんの実況放送は、生々しいしいので、テープで録音したいくらいです。まあ~よくもこんなに言語化できるものだと、感心してしまいます。

「先生、もうこれで十分じゃ。」

いつものように、治療の終了をAさんが決め、

「また痛なったら、突然電話しますけん、よろしくお願いします。」

ニコニコ顔のAさん、スタスタと帰られました。

操体法とYNSA

鍼治療が嫌いな40才代の女性患者Bさん。最近、休息を十分とっているので、体調が比較的良いそうです。ただ左肩がやや上がりづらい。

鍼治療封印中のCさんは、操体法で治療します。

Cさんに左側を上にして横向き(左側臥位といいます)になってもらいます。左肩が悪いと、左腰に圧痛点があります。

「Cさん、左足をベッドの外に、ゆっくり投げ出していただいてよろしいですか?」

「はい・・・・こんな感じですか?」

Cさんの左足がベッドより低い位置に下り、足の重さで徐々に螺旋を描くような動きが生まれてきます。Cさんの足先を右手で軽く包み込み、踵(かかと)を左手で支えるように軽く触れます。

Cさんは、これだけで気持ちいいのですが、この状態から、元の状態にもどる動きをしてもらいます。

「はい、そうしたら・・・この状態から、ゆっくりと足先を、元の方向に戻していただいて

よろしいでしょうか?・・・実際には、私が足を持っているので、動くことはないのですが、カラダの中がゆっくり動きます・・・・決して無理しないで・・・・カラダの中心・腰を使いながら・・・気持ち良く・・・・・・・・痛かったら、やめてください。」

このような言葉がけをしながら、動きの操法を続けます。

「Cさん、左肩はどうですか?」

「あっ・・・上がりやすくなっています。」

次に、皮膚に触れる操法。Cさんに左肩の圧痛点を聞き、それに対応する左下肢の圧痛点に軽く指先を触れるだけです。約10分くらいで、カラダに変化が現れます。最後は、左肩に対応する頭の部位に指先を置き、Cさんは仰向けでゆっくりしてもらいます。

「あ~~、気持ち良かった・・・頭に触れもらうの、気持ち良かったです。」

これで、Cさんの左肩が、す~と上がりました。

操体法と山元式新頭鍼治療法(YNSA)は、うまく融合出来そうです。次回は、Cさんの言われたように、頭に指先を触れる操体法を多くしてみましょう。

首のコリを腰で治す


体調崩すと来院される60才代の男性患者Aさん。今回は、左の首に硬いコリを感じ体全体が火照(ほて)って仕事もできない状態です。まず合谷診(人差し指と親指の間の触診)をして、A点(おでこ中央部の生え際)に5本置鍼。

以前、下記のような相関関係を述べたことがあります。

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰椎

Cさんの場合、左頚椎1~2番にコリがあります。ということは、左腰椎4~5番にコリ、圧痛点があるはずです。

「Cさん、ここ・・・・どうです?」

「痛った‼️そこじゃ、先生そこじゃ‼️

やはりありました。よくよく見ると、その圧痛点の2cm内側の腰椎に、5~6cmの手術の跡がありました。10年前、脊柱管狭窄のため、チタン合金のプレートを埋め込み、ボルトで止める手術をされたそうです。その周辺の筋膜は、著しく歪み、頚椎を引っ張っているはずです。頚椎はその引っ張りに対して、コリを作っていると考えます。

寸6の3番鍼(長さ50mm直径0.2mm)で、圧痛点に直刺。

「ひやーーー来た‼️背中がのけ反る・・・星がチカチカ出た‼️・・・・カラダが熱い・・・・汗がバーッと出てきた・・・・先生ここじゃ、ツボに入ったんじゃ。今度は、足のウラがジンジンしてきた・・・・こもった熱が出よる❗️先生、足首がよう動く、左ももの痛みも無くなった」

Cさんは、カラダに起こっている変化を的確な言葉で実況放送してくれます。

「先生、今日はこの1本だけでええ。もう十分じゃ。」

「目がよう見える、首のこりも無いなった。」

Cさんが、治療の終了も決めてくれます。ありがとうございます。

惚れる&惚ける

「これからの人生を楽しく笑って行きましょう」と書かれた紙には、

いたわりも、耳が遠くて、怒鳴り声

忘れ得ぬ、人はいるけど、名を忘れ

医者と妻、急にやさしく、なる不安

驚いた、「惚(ほ)れると、「惚(ぼ)ける」は同じ文字

これを下さったのは、80才代の女性患者Aさん。

いつもニコニコ冗談を言って治療を受けられます。今日は、人工関節の右膝が痛み、腰(胸椎12番~腰椎2番くらい)が痛いそうです。

まず右膝は、右肘で診ます。右肘の圧痛点に3本置鍼。

「どうですか?歩いてみてください。」

「あら?いいみたい・・・」

今度は合谷診(人差し指と親指の間の触診)で右の胸椎、腰椎のコリを確認。右耳の上にある胸椎12番に対応する圧痛点に置鍼2本。耳ウラの腰椎2番に対応する圧痛点に置鍼1本。

「どうですか?」

「いいみたいです~~」

「それでは、ベッドでゆっくり横になって、フォークソングを楽しんでください。」

Cさんは、フォークソングを聴きながら、当時の事を思い出すのが大好きです。

ゆっくりと時間が経って行きます。

「先生、1週間前から口内炎が舌にできて、痛いんですけど・・・・」

「じゃあ~、鍼刺しますよ。」

「口内炎にも、効くんですか・・・・やっぱり言ってみるもんだわ。」

という事で、オデコのツボに置鍼2本。

Cさんには、30分ゆっくりと横になってもらい終了。

「先生、舌はまだ痛いです。」

「そうですか・・・そしたら、パイオネックス(皮内鍼)を貼っておきましょう。」

置鍼したオデコに2個貼って様子をみることにしました。来週の報告がたのしみです。

ガニ股を治そう

「やっぱり運転しよったら、どうしても、ケンビキ(肩甲骨内側)が、痛なるんよ。」と運送業を営む50才代の男性患者Cさんが、来院するなり、おっしゃいます。

「そしたら、また石の上を歩いてもらいましょか。」

今回は、石の数を1~3に途中で変えたり、クスノキの瘤(こぶ)にしたり(写真参照)して、なるべく長く歩いてもらいました。約10分、頑張ってもらいました。

「今、ケンビキは、どうですか?」

「足ウラが痛いけん、ケンビキは忘れとらい・・・・もう、痛ないな、ひどいもんじゃな~。ピリピリしよったんが、治っとらい。」

どうやら、8~9割の治療はこれで終了。この状態で、合谷診(親指と人差し指の間の触診)をしてみると、右腰椎点にコリがあるだけで、調子はいいようです。オデコの左上(C点) に2本置鍼。左耳ウラに1本の置鍼。

もう一度、ケンビキ(肩甲骨内側)を丁寧に診ると、少しコリが残っています。そこで、左腸骨と腰椎の間の圧痛点に鍼を刺し抜いて、

「Cさん、ケンビキどうですか?」

「ん・・・大丈夫じゃ。」

「ここで治っても、運転しよったら、左足がだんだんガニ股になって、気がついたら、クラッチを小指側で踏みよるんじゃけど・・・・」

「少し左足を引いてみたら?・・・・剣道の構えみたいに・・・」

「そうじゃね~、それがええかもしれん。」

Cさんは、ご自身のガニ股が、お尻の筋肉を縮めそれが、ケンビキ(肩甲骨内側)の痛みに影響している事を理解していますが、なかなか、ガニ股歩きを治すことが難しいようです。

仕事の姿勢で歪みを作っている患者さんが、非常に多いのでこまめに指摘し続けるしかないようです。

下顎骨と腸骨

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週は、調子が良かったんです・・・けど、昨日、好きな歌手のミニコンサートに福山(広島県)まで行って・・・ショッピングモールで立ち上がったら、床、天井がゆらゆら・・・・調子が悪くなりました。後頭部が重いし、こめかみ、アゴが痛いです。それから、目が疲れて、見えない時があるんです。」

「・・・・そしたら、バランス感覚に関係ある、内耳神経や、目のツボにまず、鍼をしまし、ょう。」

と、いきなり内耳神経、目、耳のポイントに置鍼。その後、合谷診をしながら、頭に置鍼します。

「どうですか?・・・まだ、痛いですか?」

「アゴが痛いです!」

そこで、治療室の骸骨のモデル(トンスケと言います)を、まじまじと見て、Cさんのアゴ(下顎骨)と、ダブらせます。ダブらせたトンスケののアゴに対応するのは・・・・腸骨。

「Cさん、お尻に痛いところがあるか、チェックしますね・・・・どうですか?」

「痛い!」

圧痛点に2寸の長い鍼を3本刺し置き。それでも、まだアゴの痛みが少し残っています。Cさんにその個所を教えてもらい、それが、腸骨のどこに当たるか見当をつけ押圧。

「痛い、先生、そこ痛い!」

Cさんの痛がる個所に2寸の鍼。すると、

「来た!・・・・アゴ・・・痛ない、大丈夫です。」

やはり、腰の腸骨と、アゴ の下顎骨はしっかり対応しているのです。