山元式新頭鍼療法セミナーレポート10

左腕が2年間上がらない60才くらいの女性患者Jさん。20年前、3回続けてギックリ腰をしたため、腰も痛いそうです。

山元先生は合谷診では、左腕が上がらないにも拘(かかわ)らず、右合谷を診ます。

おでこの生え際、正中線やや右のA点に3本置鍼。

すると、2年間上がらなかった左腕が上がりました。今度は、左耳の後ろに3本置鍼。

耳の周辺にはI ~ソマトトープ(小さな人型)が上肢、下肢、頚椎、胸椎、腰椎を全て逆さまにした状態でバラバラに存在しています。

山元先生が置鍼された耳の後ろには、腰椎があります。Jさんが問診で腰痛を訴えていたからかも知れません。あるいは、合谷診で腰痛と判断されたのか・・・

続いて、10番脳神経(迷走神経)の頭頂部に置鍼2本されました。

「どうですか?」

「痛みはありますが、肩は上がります❣️」

と、退室されるJさんでした。

2年間上がらなかった腕(肩)が3本の置鍼で上がるということは、驚きです。

そこには、一体何があったのでしょう?

今年2月に初めて山元先生のセミナーに参加し、本当のYNSAを体験しました。その時のリーダー格だったG先生が、よく質問をされていました。

その中の一つ、

「先生、この患者さんは腰痛ですよね。腰痛もA点で治すのは、なぜですか?」

「・・・・生き物だからね~~(A点あたりを指して)立体的に渦巻いているから・・・」

ほとんど禅問答。

とにかく、何もかもが初めての私には、ちんぷんかんぷん。

それから2ヶ月経ち、イメージしたのは、おでこのA点にソマトトープ(小さな人型)が存在していて奥深く渦巻いている様子でした。

山元先生が置鍼した3本は、Jさんのカラダがもっと必要としていた鍼だったので、結果、腕が上がったという事でしょうか?そうなると、〇〇痛、□□痛は参考であり、あくまで今の診断に対して治療をすればいいことなのでしょうか?

山元式新頭鍼療法セミナーレポート9

70才くらいの男性患者Iさん。興奮すると口びるが震え、手にも震えがきます。

合谷診で右A点(おでこの生え際、正中線よりやや右)に8本置鍼。

特に口びるの震えが激しいので、右眉毛の口腔治療点に1本置鍼。

それでも、振戦は治りません。

Iさんは、パーキンソン病ではなく、本態性振戦と思われます。

本態性振戦の原因は、不明。精神的に緊張すると症状が悪くなることなどから、興奮したときに働く交感神経が関係していると考えられます。

そこで、山元先生はIさんの右手を取り、手のひらの圧痛点を探します。

「ここ?」

「今、痛いです!」

圧痛点にパイオネックスを貼ります。

「どうですか?」

「あっ・・・震えを感じません!」

と、震える手で答えるIさん。

実際には、震えているのですが(多少震えが小さくなったかも知れません)、Iさん本人が、震えを感じないのですから、治療は終了。

「ハッハハハハハ」

「合谷のうしろで震えは止まる。」

合谷のうしろとは、どうも労宮穴(ろうきゅうけつ)を指すようです。

針灸経穴辞典(東洋学術出版社)によると、作用:清心、安神、涼血、和胃とあります。

鍼狂人・藤本蓮風先生も労宮穴をセンサーとして捉えて労宮穴で触診することを勧めておられます。

暗闇を歩く時は、労宮穴を突き出し気配を感じ取るわけですから、立派なセンサーです。

また、労宮穴は心包経ですから、震えとの関係も何となく納得できます。

実際、労宮穴に灸をしてみると、カラダが身震いするほどの反応があります。直刺だと相当効くでしょう(自分にはちょっと刺せません・・・鍼灸師なのに・・・)

レポートはもう2~3日続けようと思います。お付き合いありがとうございます

山元式新頭鍼療法セミナーレポート8

60才くらいの女性患者Hさん、去年の3月に脊柱管狭窄のため、手術をし入院1カ月。今は膝から下がしびれ、支えがないと立てない状態です。

山元先生は合谷診で、 右の合谷から、おでこの生え際、正中線よりやや右のA点に置鍼2本。

「どこが、しびれる?」

「足のウラ」

すると、先生はパイオネックスを、Hさんの手を取り母指球と合谷(手の甲で、親指と人差し指の間)の圧痛点にパイオネックスを6個貼りました。

「今度は、どう?」

「しびれてはいるけど、少し変わった・・・・先生、猫の肉球があるような感じ!」

「・・・・」

良く意味がわからない先生。

「ちょっと、立ってみて。」

支えがないとまだ立てないHさんです。頚椎に注射をして、

「これで、様子をみていきましょう。」

「・・・・・手術した後は、なかなか難しい・・・」

手術という大怪我の代償は、山元先生でも、とてつもなく大きいようです。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート7

35年間、運送会社に勤務され、2年前から右下肢全体の痺(しび)れに悩んでおられる男性患者Gさん。推測ですが、長距離トラックの運転で、右下肢を使い続けた結果だと思います。

合谷診では、右にコリがあります。

Gさんのおでこ、正中線よりやや右の生え際のA点に置鍼6本。

「どうですか?」

「右脚の筋肉が柔らかくなってきて・・・・でも、膝にしびれが残ります・・・先生、正座が出来ないんです!」

と突然、両膝を床についてお尻がフクラハギに付かないアピールをするGさん。

「・・・・・・・・・・・・・・」

山元先生は、Gさんの右肘下横紋(曲池あたり)に置鍼1本。続いてパイオネックスをその周辺に2個。

「だいぶ、しびれが取れてきました。」

3個目のパイオネックスを、右合谷(親指と人差し指の間)に貼ります。

「今度は?」

「上に移動しました。」

すると山元先生は、GさんのおでこA点の上の方に1本置鍼。

「・・・・上のしびれがなくなって来ました・・・ただ、こわばりは、残っています。それと、膝の内側がマヒしている感はあります。」

「これですか?」

Gさんの右膝やや上の内側(血海あたり)のこわばりをピンポイントで押す山元先生。

「はい!そうです!」

「ちょっと、足出して・・・・」

投げ出されたGさんの内踝(うちくるぶし)を抑えながら、

「ここじゃなくて・・・ここですか?」

「あ~~はい!」

パイオネックスを内踝(うちくるぶし)の際(太渓あたり)に貼る山元先生。

「こわばりが柔らかくなって来ました。マヒの感覚もなくなり・・・・楽になりました。走れそうです❣️」

「ごくろうさんです。」

ニコニコ顔の山元先生でした。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート6

トライアスロンをしているガッチリした体躯の男性患者Fさん。

朝起きた時は大丈夫なのですが、車の運転後、腰痛となり、冷え性も激しく電気ストーブがないと生活が出来ない程です。

山元先生は、Fさんの両手を取り、合谷診を始めます。

「先生、上に行けば行くほど痛いです。」

人差し指の根元から、手首にかけての第2中手骨の際上わずか1.5cmほどにソマトトープ(小さな人型)があり、①下肢②腰部③胸部④頚部⑤頭部(たぶん脳)に区分の合谷診。

「上に行けば行くほど痛い」ということは、④頚部⑤頭部(たぶん脳)あたりが痛いという事になります。

そこで山元先生は、④頚部基本点のA点(Fさんは右合谷に圧痛点があるため、正中線からやや右の生え際)に刺鍼。

この時、A点を見つける左親指の爪の当て方を、丁寧に教えてくださいました。

「間隔は、本当にせまいです。爪を立てた所ここと、下と、もっと下、どれ?」

立てた爪をローラーのように下にほんの少しまわし、Fさんに感覚を効き分けてもらいます。これを繰り返してA点に3本置鍼。

今度は、肘下横紋(肘の内側のスジ)の外側(曲池というツボ)を腕診。

Fさんは痛みを感じませんでした。ここは、腕診では頚部にあたる所です。頚部の痛みが無くなったかどうかの確認だったのでしょう。

再び先生は合谷診をされます。そして、今度は外踝(そとくるぶし)の下、外果治療点(マレリウス)にパイオネックスを2個貼ります。

次に、右耳の後ろのソマトトープ(腰椎に当たります)に置鍼をしていきます。1本刺すごとに腰の状態を確認します。

4本目、

「あっ、効いていますが、まだ痛いです。」

5本目、

「効いた!」

「もう一本、やりますか?」(山元先生)

「はい!」

「ハッハハハ・・・・」

「だいぶ、違います!」

最後に仙骨注射をするため、治療室にスタスタと歩くFさんでした❣️

山元式新頭鍼療法(YNSA)セミナーレポート5

60才くらいの男性患者Eさん、足の指先から踵(かかと)にかけて痛くしびれがあります。

山元先生はEさんの合谷を両手の親指で、爪先が皮膚に直角になるよう診ていかれます。

「これではなくて、これですね?」

Eさんの右手の合谷の方が、左手よりコリがあるため、右合谷を丁寧に診ていかれます。

そして、おでこの生え際で正中線よりやや右(A点)に、置鍼5本。

「どうですか?」

「足は楽になっています・・・足先のしびれは取れましたが、踵(かかと)は痛いです。」

「おかしいところが、痛いの・・・」

(先生のこの言葉よく分からなかったのですが・・・合谷診で最も気になるA点を置鍼で良くしたあとは、おかしいところが、痛みを残して教えてくれている・・・とでも、初心者の私は理解するしかないようです)

山元先生は、おかしな踵(かかと)の圧痛点を親指で触れて確かめ、それに対応する箇所の左掌(ひだりてのひら)にパイオネックスを貼っていかれます(イラスト参照)。

「どうですか?」

「楽になりました❣️

山元式新頭鍼療法(YNSA )は、頭以外にも鍼を刺します❗️

山元式新頭鍼療法セミナーレポート4

午後のセミナーは、山元先生の講義です。ところが、途中から患者さんがみえられました。

70才くらいの男性患者Dさん。

「どこが痛い?」

「全身ですが、特に肩です・・・両手バンザイができません・・・・朝起きるとですね~、肩が痛うなって、ションベンちびりそうになるとです・・・でも、先生の顔を見ると痛みが和(やわ)らぎます。」

今回、山元先生は合谷診から右腕診(合谷のコリが強い右腕を選択し、右肘内側の圧痛点を探ります)。その結果、正中線からやや右側のおでこの生え際(A点)に、刺鍼を9本。

すると、合谷のコリはとれました。

次に、正中線沿いに生え際から頭頂部にかけての脳神経点。

私が見た限りでは、10番迷走神経、11番副神経に刺鍼。

「手を上げてよ!上がる?」

Dさん、勢いよく耳に付くくらいに、両手をあげます。

「うお~~~~~~~~」

研修生全員から思わず驚きの声。

「肩は、どう?」

「先生の念力のおかげで、肩も柔らかくなった気がします。両手上げて、背中洗いも・・・・出来ます・・・ほらっ!・・・痛みは9割なくなりました・・・楽になりました。」

とニコニコ顔のDさんでした。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート3

中年男性Cさん、

「去年から右目の視力が落ちはじめ、4ヶ月前に思いっきり落ちて、信号も暗くなって見えなかったんです・・先月の治療で見えるようになったけど・・去年は0.3あった右目が0.05。左目は0.7です。」

山元先生は、合谷診をしながら、

「腰、痛いですか?」

「いいえ・・・ただ、両足がしびれています。」

などと、話をしながらCさんのおでこ中央部からやや右の生え際(A点)に8本。

「どうですか?」

「前より、近くの方は見えています。」

今度は、右耳後ろ(I ソマトトープの腰椎)に7本。

「これは、どうですか?」

「変わったような、変わらんような・・・」

そこで、山元先生は右耳後ろの上に1本刺鍼。

「これで、どうですか?」

「見えかけている様な気がします・・・ちょっと見えてきた・・・だんだん字が見えてきた❣️・・・・木(標識)に字が3つあるのが見える・・・・室(治療室の 3文字)が見える❣️」

山元先生は、Cさんの右足外踝(そとくるぶし)の中央部脳点(外果治療点)を爪で刺激し、パイオネックスを貼ります。

「一瞬見えますが、持続性はないです・・・・まあまあいい感じで見えつつあります。」

「ハッハハハ・・・」

右頚部に注射をし終了。

 

山元式新頭鍼療法セミナーレポート2

山元式新頭鍼療法セミナーレポート 2

遠方から来られた全盲の60才代の男性患者Bさん、奥様が車椅子を押して来院。

3日連続で治療を受けられます。

Bさんは、3~4年前から視野狭窄になり、現在では全く見えなくなりました。また蓄膿症とパーキンソン病も併発しています。

セミナー初日(Bさんの2日目)

「先生、ずいぶん変わりまして、顔がうつ向かなくなりました。楽になりました。足のこわばりも取れました。」

奥様がBさんに代わって話してくれました。確かに、普通にしておられます。どうやら以前は、顔が地面と並行になるくらい頭を垂らしておられたようです。奥様の仕草で分かります。

山元先生は、昨日のレポートで書いたように、左右の親指と人差し指の間の合谷(ごうこく)というツボの診断を丁寧にされます。

人差し指の根元から、手首にかけての第2中手骨の際上わずか1.5cmほどにソマトトープ(小さな人型)があります。

どの様な人型かというと、第2中手骨と第1中手骨の交わるところを頭(あたま)とした身長1.5cmのソマトトープ。

これを、①下肢②腰部③胸部④頚部⑤頭部と分けます(5つに分けることは確かですが、分類は定かではありません・・・(*^ω^*)そして、この合谷診のポイントは、中手骨の際を軽く押圧すること。

山元先生はBさんに対して、合谷診とおでこへの刺鍼を繰り返し、8本の鍼を打ち、首への注射で治療終了。

Bさんに限らず、多くの患者さんに対して山元先生は、合谷診をした後、おでこのA点に鍼を刺されます。これは、合谷診の④頚部=A点に当たるところの反応があるからなのかもしれません。

セミナー2日(Bさん最終日)

「先生、真夜中に起きることなく、朝まで良く眠れました。」

治療の効果があり顔はうつ向いていません。山元先生は合谷診をしながら、おでこのA点1ヶ所に微妙な間隔を開け5本刺鍼。

「おお~~右が無くなると、左が出てきた・・・左は、陽性じゃないから、出てきた・・・右は、取れましたね、左はちょっとありますね。」

と、左(だったと思います)に1本。

「目は全然見えないんですね?僕の顔も見えない?」

うなずくBさんでした。

左首に注射で終了。

奥歯が痛い

山元式新頭鍼療法(YNSA)の初日、セミナー参加者で体調が良くない人の治療レポート。

40才代の女性Aさん、下の奥歯が痛いそうです。

山元先生は、Aさんの左右の親指と人差し指の間を、親指で同時に診ます。

これを合谷診(ごうこくしん)といい、現在、山元先生が最も良く使っておられる診断法です。理由は、簡単で手っ取り早いからだそうです。

その合谷診、私には思いのほか難しいのです。

どうも強く押圧する癖が付いているようです。セミナーなどで多くの先生方と一緒に学ぶと、自分のことが良く分かります。自分では、かなり繊細な方だと思い込んでいたのですが、かなり無神経のノー天気・・・!

ま~~ボチボチ直していきます。

さて、Aさんの合谷診、左の合谷にコリがあるため、左眉の上に鍼を刺し置き。

山元先生は、前回のセミナー時より短い15mmの5番鍼(直径0.25mm)を使っておられます。

「これと、これとは、こっち?」

「ハイ!」

山元先生は、左手親指の爪をおでこに対して直角に立てて、その接点をローラーのように転がし、数mmの差異を聞き分けてもらいます。

Aさんが痛みを感じた箇所に到達するように、やや手前数mmに30度くらいの角度で刺し、押し込んでいきます。2本程刺しますが、奥歯は痛いままです。

刺す鍼の位置は、眉の上に変わりはないのですが、段々と外側に移動していきます。

「今度は、どうですか?」

「場所が、変わった感じがします、後ろの方に。」

山元先生は、おでこに鍼を刺すたびに、合谷診をして、カラダ全体のバランスを確認します。この合谷診で次どこに鍼を刺すのか、決定するのだと思います。このあたりが一番難しいさじ加減。私には、まだ理解が出来ていません。

「今度は、どうですか?」

「ボワッ~~とした感じに変わりました❣️」

「これで、様子をみてください。」

ということで、終了となりました。

私は、杉本練堂先生が創設された天城流も学んでいます。それには、虫歯の痛みを眉毛を刺激することで取る手技があります。

結果として、よく似た手技となることに驚きました。Aさんに今回の手技のことを、伺ってみました。

「私は、感覚点の口(くち)の部位が眉毛の上だから、その延長で外側に伸びていったのだと思います。」

という名回答をいただきました。

Aさん素晴らしい❣️