自主性が大切

スキー大好きな60才代の男性患者Aさん。先週スキーでお疲れ。そこで朝、温泉に入ってからの来院。

スキーを履(は)く時、前屈(まえかが)みすると、右股関節がつる時があったそうです。しかし、温泉のジェットバブルが功を奏したのか、股関節は大丈夫。ただ右のお尻(坐骨あたり)に、痛みが現れたそうです。

ボ~っとAさんを見ていると、何となく左胸が気になりました。こういう時は、その感覚に従うことも大切です。気になるところを押すと、

「痛っった❣️痛い、先生そこ。」

そこで、軽く中指を痛い部分に触れることにしました。10~15分経ったので、改めて押さえると、痛さが半減しているようです。今度は、お灸をその周辺に3カ所しました。

ベッドを起き上がると、

「先生、左の小指あたりが気になるんじゃけど・・・」

軽く押圧すると、

「先生、左の股関節に響く❣️」

敏感なAさんは、様々な箇所に響きが伝わるようです。

「ところで、Aさんお尻の痛みは?」

「・・・うん?・・・チョット歩いてみます・・・・アレ?痛くない。先生、痛くないです❣️」

「何が効いたのかな~~多分、お灸じゃないのかな~~。Aさん、今日はこのぐらいにしておきましょう。後は、ご自分でメンテナンス。」

「学校教育と同じで、全部教えるんじゃなくて、あとは自主性に任せるってこと、これが大事なんです。」

最後は、Aさんから教訓をいただきました。

紫水晶のマット

家族3人が治療に来られていたのですが、米寿を迎えられたAさんが、4人目で来院。

朝起きた時、右肩が痛くて仕方ないそうです。そこで痛み止めを飲んでいます。

鉄工所を経営されており、毎日8000枚もの鉄板を扱っているため、特に上半身が凝っておられます。

仰向けに寝てもらうと膝が浮いています。そこでクッションを膝下に置きました。

「どうですか?」

「ああ~、楽じゃ。」

足ウラが冷えているので、足ウラに40℃のマットが当たる様にしました。

「足が温(ぬく)いわい❣️」

どうやらこの状態が快適なのか、施術途中からは、Aさん、熟睡です。ベッドには紫水晶を敷き詰めた40℃のマットを敷いています。またこのマットは電磁波をカットしているので、遠赤外線の自然な暖かさです。アメリカや韓国では、このマットを医療機器として認可しています。

天城流では、肩の筋肉(三角筋)痛を母指球の筋膜剥(は)がしと胸にある大胸筋剥(は)がしで治します。私はそれを鍼とお灸に置き換えて治療します。

「はい、起きてみてください。肩どうですか?」

「おお~~、寝てしもた。軽い、肩軽いわい❣️」

冬はこのマット最高です~~

クスノキの積み木揺(ゆ)すり=KTY(仮称)

60才過ぎの働き者の女性患者Eさん。

3ヶ月前に、左脛骨(ケイコツ=膝下の大きな骨)内側、膝頭から3cmくらい下にくさび型の切れ目を入れ、O脚を真っ直ぐに治す手術をしました。

左脚をかばうため、反対の右脚が股関節の外側から外踝(くるぶし)にかけて“気持ち悪い”そうです。

手術というのは、“大怪我”ですから、氷水で冷やす以外、患部に直接治療をする事は出来ません。腹診から始めます。カラダは、正直ですね~~。脾、肝、腎経という足先、足ウラから始まり下肢を上り股関節を経由し、体幹へと流れる経脈にコリがあります。

もう少し、分かりやすく言うと、腹診とは、五臓六腑の五臓(肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓)のコリや状態を触診することです。

五臓の内、肝臓、脾臓、腎臓は、足から体幹への流れ、残りの心臓、肺臓は体幹から手への流れなのです。

今回のEさんの場合、股関節が“気持ち悪い”。そして、その通り股関節を流れる肝臓、脾臓、腎臓に反応がありました。「カラダって正直~~❣️」

クスノキの積み木で揺(ゆ)らす方法のみで施術する事にしました。この方法、とりあえずDAIGO風にKTY(仮称ですが・・・)と呼ぶことにします。

基本は、

①平たく切ったクスノキの瘤(こぶ)を必要と思われるカラダの部位に置き、揺(ゆ)する。

②平たく切ったクスノキの瘤(こぶ)をベッドに置きカラダを乗せカラダを揺(ゆ)する。

これを、Eさんとコミニュケーションを取りながらやると、“気持ち悪い”がなくなりました❣️

個々の瘤(こぶ)で私自身に人体実験することが大切な様です。徐々に瘤(こぶ)が鍼に変わりつつあります。

くつ下が、はけない!

50才代の女性患者Bさん。左股関節の前面が痛くて左のくつ下をはく事ができません。

背中も左側の肩甲骨から腰にかけてパンパンに張っています。

まずは腹診。脾、肝、腎経にコリがあります。これらは全て足先、足裏から下肢体幹と流れています。股関節が痛いのもうなずけます。足の大切なツボ(要穴と言います)に鍼を刺して、お腹を緩めます。

今度は、左を上にして横向きになってもらいます。左足首を軽くねじると、

「気持ちいいです~~」

しばらく、気持ち良さの状態をキープしてもらい、徐々に親指で圧痛点を探します。

「痛った❣️」

ありました!そこに鍼を刺して、今度はうつ伏せになってもらい、膝ウラの圧痛点に鍼。

「ゆっくりと起き上がってみて下さい。股関節はどうですか?」

「アレ!足が組めます❣️」

「あ~~良かった!今度は仰向けになってもらえますか?」

左内踝(うちくるぶし)に鍼を刺すと、

「うわ~~肩甲骨の下辺りまで来ます❣️」

しばらく、この状態を続けて股関節の状態を聞いてみました。

「痛みの部分が狭まっています❣️」

今度は、膝ウラの圧痛点(陰谷=インコクというツボ)に鍼を刺しました。

「股関節の外側(大転子=ダイテンシという骨の出っ張り)にビビビッと来てます」

同じ様に、一度立ってもらって股関節の様子を聞いてみました。

「あ~~随分痛い範囲が狭まりました❣️」

「今日は、これぐらいで終わりましょうか!」

Bさん、くつ下もはけるようになりました。良かった、良かった!

底冷えの京都で(その5)

ピアニストのCさんからLine が入りました。

「おはようございます

打撲、治療可能ですか?

昨日、左手薬指の第2関節を強打❗️腫れは引いてきていますがピアノを弾くと痛い。明日、伴奏の本番と教会の礼拝オルガンがあります。夕方以降、ちら、っとみていただけますか?」

という内容に、

「おはようございます?それは、大変です。まず、打撲部位を氷水で、気持ちの良い程度(タオルなどを使い)で冷やすことが一番です。

その後は、私がします。16時30分に来れますか?」

と、返信し治療を始めました。

地下鉄の階段を上っている時、前向きに倒れ、瞬間的に左手薬指の第2関節で支えて打撲したそうです。上り階段だった為、体重が全て掛からなかっただけ、不幸中の幸いです。

まず打撲したところを氷水で冷やし、打撲した周辺を軽くつまみ、痛みがある箇所をチェック(撮診)し、赤鉛筆で印します。赤鉛筆で覆われた左薬指から、肘にかけての範囲が負荷のかかった部位となります。

この負荷が対角の右第4趾から膝の外側にかけて同様に現れます。この事をCさんに伝えると、

「あっ、それでだ~~、今朝起きた時、右足のふくらはぎが引きつりそうになった❣️

なんで~~?と思ってたんだけど、納得❣️」

と納得していただき、まず、緊張している右ふくらはぎをストレッチする事から始めます。

十分ほぐれた後、右第4趾の圧痛点にお灸をします。

すると、動けなかった左薬指が徐々に動き始め、小指や中指も動きが柔らかくなってきました。

「これだったら、明日弾ける❣️」

という事で、後は、柔道整復師のむっちゃんにテーピングをしてもらい終了。

演奏の翌日、こんなメールをいただきました。

「おはようございます。

シーネを付けたまま弾く事ができました。終わってから冷湿布で冷やして。

腫れもだいぶん引いてきました。

なぜか今回、怪我の瞬間から冷静な自分がいて「えらいことやっちまったわ❗️」と思いながらも全く慌てませんでした。年の功?

佐伯先生とむっちゃんには感謝感謝❗️

ほんとうにありがとうございました。しばらく調子に乗らずボチボチ練習します。」

底冷えの京都で (その4)

冬の京都は、底冷えがします。

前日の施術が気持ちよかったので、2日続けての施術となった92才の女性患者Aさん。

連日オイルヒーターをフル稼働しているためか、初日に比べると室温が上がっている様です。

まず腹診をします。肝経に圧痛点があるので、太衝(タイショウ)というツボと足臨泣(アシリンキュウ)というツボに3~5壮のお灸。これらは、足の甲にあります。

これで、圧痛点がなくなりお腹が柔らかくなりました。

Aさんは、ベッドで横になり右腕を「腕マクラ」にして、テレビを見ることが多いそうです。そのため肩から腕にかけて痛いそうです。

こんな時は、親指の母指球が痛いはずです。

「痛っい‼️」

「ね~~、ここ痛いですよね。ですから軽く触れるだけにしましょう❣️この治療では、カラダに変化が起こることが、よくあります。何か変化があれば教えてくださいね。」

圧痛点に触れるか触れないかの微妙な指加減。この状態をしばらく続けます。

「足が暖かくなってきました❣️」

「今度は、反対の手のひらが暖かくなってきました❣️」

「首が暖かくなり、全身の血流が良くなった感じです❣️」

今度は、右手薬指の第2関節に、軽く触れます。

「アレ?カラダがふわふわ浮いている感じです。不思議やね~~、昔、海水浴していて、ポカーンと浮いてた感覚を思い出したワ~~。」

「昔、海で浮いた時って、気持ちよかったですか?」

「物凄く気持ちよかったの~~❣️」

「不思議ですね~~カラダって!どうやら、皮膚を通して昔の気持ちのいい感覚が、蘇(よみがえ)って、治っていくことがあるみたいです。」

ゆっくりと起き上がっていただき、右腕を触ってもらいました。

「アレ?痛くない❣️・・・どうしたの?・・・不思議やね~~」

過去の感覚が蘇(よみがえ)って良くなった例です。

底冷えの京都で(その3)

 ピアニストでピアノ指導者でもある60才代の女性患者Cさん。

9ヶ月前から、月1回の治療を受けておられます。ピアニストの指はしなやかなものと、思い込んでいた私ですが、Cさんの指に触れ驚きました。

『固ったー‼️』

そうか、肉体労働指なんだ。考えてみれば、1~2cm指が下がれば鍵盤を弾けるのですから、固かろうが柔らかろうがそれほど関係ありません。やはり、それよりも音楽的な“脳力”が大事なのでしょう。Cさんは、その“脳力”が素晴らしく長けているため、ご自身の感情をすぐさま、言語化しピアノを奏でるように喋ってくれます。

「$ △◉/※£ペラペラ・・・・」

9ヶ月も前のことなので、内容までは覚えていませんが、

『ピアニストだな❣️』

と感じたのであります。さて、それから9ヶ月後の治療。

肩コリ、特に肩甲骨寄りが、固く痛いそうです。いつものように腹診をして、カラダ全体の状態を把握します。消化器系に当たるところに圧痛点があるため、土踏まず辺りにお灸。

これだけで、お腹の圧痛点が緩みます。

お腹が緩むと、ウラにあたる腰も緩んできます。うまくいくと、肩も緩みます。全てつながっているから!

ガラス戸に障子の二重窓でも外気の冷たさには、勝てません。

そのため、お灸治療になります。フカフカの毛布2枚に包(くる)まったまま、右手を出してもらい、親指と人差し指の間(合谷=ゴウコクというツボ)周辺の圧痛点にお灸を7~10壮。

腰痛点(前回で説明しています)にも7~10壮。

ただ、寒さの為か、少々熱めのお灸のようです。

 

「熱っつ?、膝から上、鳥肌たつけど・・・後で、気持ちいいからええけど・・・」

Cさんには、少々我慢してもらいます。

「治療を受けるようになって変わったこと、指が動く様になった。私の師匠から、音が変わってきたと言われたことがある。それと、気がついてみると、当たり前に動けるようになっていた。」

ポツリと話しくださいました。

治療家をしていて一番嬉しいお言葉です。

肩も腰も温かくなってきたので、治療終了となりました。

底冷えの京都で (その2)

冬の京都は、底冷えがします。

もうすっかり温暖な気候の松山人になっています。京都で外を歩くと、シンシンと冷えが腰の芯までしみ込み、しきりに

「サブ~~、サブイの~~」

と、震えている私です。

こんな寒い折、動きたくありません。患者さんも暖かい布団に包(くる)まってくつろぎたいはずです。

70才過ぎても、元気にフラダンスを習っている女性患者Aさん。

脊柱間狭窄症、坐骨神経痛と診断されています。10ヶ月前は、2週間に1回ブロック注射をしていましたが、現在は、3週間に1回となっています。最終的には、ブロック注射を打たなくていいカラダを目指しています。

まずは腹診。消化器系に反応がありました。左右の土踏まずを押して、

「どちらが、痛いですか?」

「右です❣️」

右の親指から足首にかけてのツボ3ヶ所に、お灸をしました。

「痛かったお腹(消化器系の場所)押します・・・どうですか?」

「大丈夫です❣️」

あとは、フカフカの毛布2枚に包(くる)まってもらい仰向けのまま、くつろいでもらいます。Aさんの場合、右から始めましたが、左右どちらも同じような痛みの場合、「女は右、男は左」という原則を私は、使います。

みぎとは、水際(みずぎわ)=陰

ひだりとは、火照り(ひでり)l=陽

柏手(かしわて)を打つ時、左手が前、右手が後になるのは、左=陽、右=陰のためです。

この陰と陽がぶち当たって鳴る音は、めでたいもので、神様も喜びます。

さて、ゆっくりと毛布に包(くる)まっているAさんの左手を毛布の外へ。

人差し指と中指の間に親指を入れ、手首の方向へユックリ動かし止まったところ=腰痛点

同じ様に、薬指と小指の間=腰痛点

この2ヶ所それぞれに、20壮以上お灸。

「どうですか?」

「アレ?~~、腰が暖かくなってきました❣️」

今度は左の腰痛点をねらいます。右の腰痛点で80%良くなったので、左は少しで十分。

左の腰痛点に5~7壮のお灸。ついでに、左足の太衝(たいしょう)と足臨泣(あしりんきゅう)というツボにお灸を5~7壮(理由は、忘れました)。

「腰どうですか?」

「大丈夫です。痛くないで~~す❣️」

良くできたお話でした(^。^)

底冷えの京都で

冬の京都は、底冷えがします。

北白川にあるロンドクレアントの茶室は、ガラス窓に障子の二重窓にもかかわらず、エアコンだけでは、やはり寒いです。そのため、本日の治療はお灸のみと決めました。しかも、手首、足首から指先までに限定。

50才代の女性音楽家Aさん、肩凝りに悩んでいます。

「私、今日はガチガチ❣️中年のおばちゃん4人で、USJに行ったの。もう、キャーのたんびに、しがみついて、そのたんびにガチガチ。『あんた、20分待たなアカンで~って並んだところが、急流下り。あんた、これ濡れるんちゃうの~~』って乗ったら、最前列。バチャ~と水かぶって、パンツまで濡れて・・・まあ~~夕方には、乾いたけど・・・」

嬉しそうに語ってくれます。 足先が冷えてしまっているので、右足の指と指の間(左右合わせて8つあるので、八邪=ハチジャと言います)4カ所と、第一趾(親ゆび)の第二趾(人差しゆび)側にある圧痛点にお灸。室内が寒いこともあって、やや強めの火加減で、5~10壮ほど施術。

次に、右手中指の第一関節の圧痛点2カ所にお灸を5~7壮ほど。

右側だけ限定して施術すると、左側も勝手に緩(ゆる)んできます。そのため、左側は要所の施術をすれば十分です。

「どうですか?」

「首が回る❣️背中がゆるんだ❣️」

やはり、寒い時はお灸が一番です。

勝手に・・・!

足ウラに痛みがある介護職50才代の女性Dさん。

朝起きて立ち上がる時、左右の踵(かかと)に、激痛が走るそうです。

ベッドに仰向けになってもらい、お腹から診ることにします。消化器系と肺の流れにコリがあります。

右足の母趾球(太白=タイハクというツボ)と右手首(太淵=タイエンというツボ)に鍼を刺します。すると、お腹のコリがやんわりと無くなっていました。

足ウラには、長趾屈筋、短趾屈筋というスルメの様な筋肉があり、ふくらはぎの内側につながっています。特に長趾屈筋は脛骨(ケイコツ)という大きな骨にしっかりとくっついています。ここをゆるめる事にします。

鍼で右足をゆるめていくうちに、アキレス腱付近でツボに触れると、Dさんの右足がピクピク動くことに気がつきました。面白いので、何度も触れてみますが、その度にピクピク。

面白くなって来たので、Dさんの最も痛いところを刺激してみようと考えました。

踵(カカト)の中央部に失眠(シツミン)という不眠に効くツボがあります。そこにお灸。

すると、足首がクネクネと平泳ぎ。

「ハハッ・・・チョット、恥ずかしいんですけど・・・」

Dさんの意志とは関係なくカラダは勝手に動きます。これを自発動あるいは無意識の動きと呼びます。特に操体法では 、この動きの誘導を手技にすることが多いのです。

つまり、カラダは無意識の動きをする事で、勝手にカラダの歪みを正すメカニズムを持っているのです。

今度は、左足の失眠(シツミン)にお灸。

すると、大胆なバタバタ・・・クロールです。

「イヤッ~~~~」

右足は平泳ぎ、左足はクロールとDさんの意に反して、泳ぎまわる両足。

永遠に続きそうなので、程よいところで終了。

「は~い、そしたらベッドから降りて、歩いてみてください。」

「アレッ、痛くない!」

スタスタと歩くDさん。

さてさて、いつまで持つのかな・・・