ふわふわ感には、内耳神経

50才代の女性患者Cさん。2週間ほど前から、朝起きると天井が回る感覚で、ふわふわするそうです。Cさんは股関節が悪く来院されたのですが、今は1週間に1度、健康管理で来院されています。季節の変わり目にふわふわする感覚になることが多いそうです。

慢性の患者さんには、後頭部に置鍼しているため、先週からCさんにもそのようにしています。
まず、合谷診(人差し指と親指の間の触診)から始めます。左手に痛みがあります。そのため、治療は左側から行います。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳を診断します)。
下記のように、頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、に対応する個所に圧痛点がありました。この6等分された中手骨のそれぞれの圧痛点がなくなれば、それに対応する個所が治療出来たことになります。下記の( )内の数字は、圧痛点がなくなった置鍼の数です。(0)は、他の置鍼の影響で圧痛点がなくなったことを示します。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。

左:腰椎(1)、脳幹(1)
右:頸椎(1)、胸椎(0)

続いて、首診で12内臓点を診断します。これは、首にある12の診断点を押圧して、圧痛点を調べ側頭部にある治療点に置鍼し、圧痛点を取っていきます。その結果が、下記の通りです。

左:腎(0)、膀胱(1)、肝(0)、胆(1)、(心包=心臓の周辺)(0)、心(0)、大腸(1)、
三焦(消化器)(1)、胃(1)、脾(1)、小腸(0)
右:大腸(1)、三焦(消化器)(1)
(0)は、他の点に置鍼した影響で圧痛点がなくなったことを示しています。
これで、内臓が整いました。これだけでも、ふわふわする感覚がかなり取れます。

それでも、直接関係があると思われる内耳神経をねらい置鍼します。内耳神経は、8番脳神経(脳から直接、末梢神経が出ています)。イラストのように生え際から頭頂部にかけて、2cmの幅で、正中線に沿って脳神経の治療点が、1番から12番まで並んでいます。

この左側の8番目に置鍼して、後は好きなフォークソングを聴きながら30分ゆっくりして終了です。後日、ふらつきが治ったと報告を受けました。脳神経効きます!

大粒の涙・・・

 

 

中学3年生の女子患者Bちゃん、2年前から来院されていますが、打撲や筋肉痛の治療がほとんどでした。しかも、「鍼治療」がこわいので、筋膜はがしや指を軽く皮膚に触れる治療しかしていません。ところが、今回は意を決して「鍼治療」に挑戦することになりました。

家族の方々が当院で「鍼治療」を受け、特にBちゃんのお兄さんが、良くなったのが大きかったようです。また、松山市作成の「はり・きゅう助成金のご案内」が一役買ってくれました。

多くの方は、鍼灸治療は、肩こり、腰痛だけに効くものだと思われているように思います。

ところが、この「ご案内」では、1:整形外科系の病気 2:脳神経系の病気 3:循環器科系の病気 4:呼吸器科系の病気 5:消化器科系の病気 6:耳鼻咽喉科・口腔器科系の病気 7:泌尿器科系の 8:眼科系の病気 9:産婦人科系の病気 10:小児科系の病気 11:内分泌科系の病気 12:皮膚科系の病気に対応できることを紹介しています。

これを知った家族の方が、Bちゃんの喘息(ぜんそく)を心配しての今回の来院となりました。

Bちゃんは、去年の夏には、過呼吸症候群になり入院。今でも、深呼吸が出来ません。また、右腕と右肩甲骨に痛みがあります。そこで、頭の鍼の説明をBちゃんにしました。

「最初、脳と背骨を刺激するツボに鍼をして、自律神経を整えますね。自律神経というのは内臓の働きを整えるんで、喘息(ぜんそく)にも効くけんね。そして次は、首を診(み)て、12の内臓状態をチェックして、治療します・・・・鍼を打つのは、オデコと頭の横の部分(側頭部)になるけど、大丈夫?」

「はい。」

Bちゃん、すっかり腹を決めています。

「そして、そのあと右の肩甲骨をみましょう。」

「はい。」

まず、合谷診(人差し指と親指の間の触診)から始めます。明らかに左手に痛みがあります。そのため、治療は左側から行います。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳を診断します)。

下記のように、頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳に対応する個所に圧痛点がありました。この6等分された中手骨のそれぞれの圧痛点がなくなれば、それに対応する個所が治療出来たことになります。下記の(  )内の数字は、圧痛点がなくなった置鍼の数です。(0)は、他の置鍼の影響で圧痛点がなくなったことを示します。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。

左:頸椎(1)、胸椎(1)、腰椎(0)、脳幹(1)、大脳(1)

右:なし

初めての鍼治療ですが、じっとガマンして一言もしゃべらないBちゃん。続いて、首診で12内臓点を診断します。これは、首にある12の診断点を押圧して、圧痛点を調べ側頭部にある治療点に置鍼し、圧痛点を取っていきます。その結果が、下記の通りです。

左:腎(0)、心包=心臓の周辺(0)、心(0)、大腸(1)、胃(0)、脾(0)

(0)は、大腸点に置鍼したため、その影響で圧痛点がなくなったことを示しています。

ここまで、Bちゃん頑張っています。1本の置鍼でその他の内蔵点も良くなりました。

「Bちゃん、よう頑張っとるな・・・偉い。」

今度は、右側。

右側頭部のこめかみ付近に置鍼。すると、Bちゃんの目が急に赤くなり、まぶた周辺も赤くなって、大粒の涙があふれて・・・

「ごめんね~、痛かったか・・・・そうか、痛かったら、泣くんじゃ・・・」

思わず子供の素直さを驚いて、言わなくてもいいことをしゃべってしまいました。

右:腎(1)、膀胱(1)、大腸(0)、三焦=消化器(0)、小腸(0)

腎、膀胱の置鍼は、確かに痛い時があります・・・Bちゃんよく頑張りました。右肩の痛みが少し残るくらいになりました。そこで、オデコの中央部で生え際にあるB点に1本置鍼。

「どう?・・・肩」

「・・・・痛くない!」

泣きべそだったBちゃんの顔が一気に笑い顔。そして・・・

「あっっっ、深呼吸出来る‼️」

ますます笑顔のBちゃん・・・・ホントによく頑張りました、めでたしめでたし。

前日からの続き

さて、前日の続きとなります。60才代の男性患者Aさんは、左肘が痛くて来院されましたが、それは、ほぼ大丈夫になりました。それ以外に、左肩痛、左アキレス腱、左右の足の甲も痛いのです。そこで、いつものように、合谷診(人差し指と親指の間の触診)をしますが、左右どちらも痛いそうです。そのため、圧痛点の多い右側から治療点に置鍼をはじめました。Aさんは、痛みが慢性化しているので、後頭部に置鍼することにします。

進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)

左:腰椎(1)

右:頸椎(1)、脳幹(1)、大脳(1)、小脳(1)

(  )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。

次に首診で、内臓治療の置鍼となりますが、左右ともに圧痛点が多くて、下記のよう16本の置鍼をすることになりました。

左:腎(1)、膀胱(1)、肝(1)、胆(1)、心包(0)、心(1)、大腸(1)、三焦(1)、胃(1)

右:膀胱(3)、肝(1)、胆(1)、心包=心臓の周辺(0)、三焦(消化器)、脾(消化器)(2)、小腸(1)

(0)は、他の個所に置鍼した結果、影響を受け圧痛点がなくなったことを意味します。

「先生、今、ポッキっと肺から音がした・・・今のは肺の鍼なん?」

「・・・う~ん・・・違う大腸・・・あっ、大腸は肺と表裏一体じゃけん関係ある・・

ああああ・・・Aさん、素直なカラダしとる、すごいなあ~」

「おっか~(母ちゃん=奥さん)・・・痛い❗️」

痛がりのAさん、感じたことを言語化することが優れています。

「消えた・・・ノドのタンが消えた・・・メガネはいらん、目がよう見える。」

「先生、後ろ(後頭部)の鍼は、効くなあ~ズシンと来る・・・痛いのはいやじゃけど、効くけんな。」

「後ろの方は、鍼がなかなか入らんのよ・・・ゴムみたいなんよ。」

などと、Aさんと会話をしながら治療しているといつの間にか、首がゆるんできました。

首がゆるむとAさんの左肩痛はなくなりました。残りの左アキレス腱、左右の足の甲の痛みは、左側頭部のIソマトトープ(小さな人型)に対応する個所の置鍼でなくなりました。

おしまい

後ろに刺す方が効く その1

 

「先生、左肘が痛うて、痛うて・・・病院にいったら、しびれがないんじゃったら、手術せいでええちゅうて、言われたんよ。」

「あらら・・・そうなん。」

「これ見て、腫(は)れとろう?熱もあるんよ。」

「・・・・う〜ん・・あるな。こういう時は、氷水が一番ええんよ。」

日本手ぬぐいを左肘にかけ、氷水を入れたビニール袋で冷やします。

「先生、気持ちええとこと、冷たいとこがあるな。」

「冷たいとこは、やらんでええんよ。気持ちええとこだけ・・・」

「気持ちええとこが、冷たなったわい。」

「そしたら・・・もうせいでええんよ(しなくて良い)・・・簡単じゃろ。これ、毎日自分でやってください。」

「うん、分かった!」

やはり、熱には水が一番です。これは、操体法の師匠、今昭宏先生から習いました。ありがとうございます。元気のある高校生は、これだけで治ったことがあります!

60才代のAさんは、高校生のようにはいきません。左肘を随分気にされているので、左側頭部のIソマトトープ(小さな人型)の肘にあたる個所に1本置鍼。

「どうですか・・・動かすと?」

「あれっ・・・ぷちっちゅうた(ぷちっと音がした)・・・ようなっとる・・・けど、ちょっと残っとる。」

「どこです・・・残っとるのは?」

と、場所を聞きながら、対応する左膝の圧痛点に数カ所を、寸6(長さ50mm)の2番鍼(直径0.18mm)で刺入していきます。

「どうですか?」

「・・・ようなっとる。」

Aさんは、左肘以外に左右の足の甲、左アキレス腱、左肩が痛いそうです。

前々回から、慢性的な疾患のAさんには、後頭部に置鍼をしています。

「頭の後ろ側に刺すのは、どうですか?」

「先生、後ろの方が効く・・・一本一本がズシンと来るんよ。

「そうじゃろ、慢性的な人に聞いてみるんじゃけど、皆んなそう言うんよ。ほじゃけん、今日も後ろに鍼を刺そわい。」

ということで、Aさんと相談の上方針が決まりました・・・・明日に続く。

触れるだけ

階段から落下して、右手首を骨折し、手術を1カ月前にした女性患者Aさん。コロナヴィールス拡大のため、今回の治療でしばらくは、来れないそうです。そこで、痛みのある、右手首、右肘、右上腕のみに対応する治療に徹してみました。

Aさんには、鍼治療が出来ないため、指で軽く触れる治療のみを行いました。

①骨折した右手首に対応する右足首と右膝内側の圧痛点に軽く触れる(7~8分)

②右側頭部(Iソマトトープ=小さな人型)の右肩、右肘、右手首に対応する圧痛点に軽く触れる(7~8分)

③②の途中から右オデコの生え際(B点)を追加

「右腕を動かして、痛いところ教えてください。」

「ここ(右肘内側の真ん中)です。」

「そしたら、ここ痛い?」

「痛っっっっった❗️」

④上記より、右膝内側の圧痛点とついでに、お皿の下の圧痛点に軽く触れる(30分)

⑤後頭部のマスターキーという点を、触れると、

「先生、ここがすごく痛い。」

Aさんの言われる個所に軽く触れる(10分)

これで、終了なのですが、

「もう少し休んでていいですか?」

「どうぞ、いいですよ。」

次の患者さんまで1時間あるので、ゆっくりしてもらいました。結構気持ちが良かったようです。可動域も増え、腕の動きも早くなりました。Aさんに軽く触れている時、自発動(無意識の動き)が出ていたので、かなりゆるんだのは分かりました。

ただ、しばらくはお会い出来ないのが、残念。

緊張性頭痛に効く点

本日は、久しぶりに患者さんゼロ。やはり、コロナヴィールス拡大の影響が影を落とし始めています。換気を良くして、少々寒い院内から、雨合羽(あまがっぱ)を着て、1カ月前にあった症例を紹介します。

卓球の練習中に、脱水症状となりふらつき始め、倒れかけた男子高校生C君。帰宅しても頭痛が激しく夜7時に来院。今回が初めての治療となります。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)は、左側に圧痛。左側から治療を始めます。

上腕診(肘内側の横紋周辺の押圧で、頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳、小脳の診断をします)結果、下記の通りです。

左:腰椎(1)

右:小脳(0)

反応があった左腰椎の治療点(左耳前のこめかみ)に1本置鍼。すると、左腰椎の診断点(左肘内側)がゆるみ、ついでに右小脳の診断点(右上腕外側)がゆるみました。これで、自律神経が整いました。

今度は、首診です。

左:心包=心臓の周辺(0)、心(1)、大腸(1)、小腸(1)

右:心(0)

左側頭部の心、大腸、小腸の治療点に1本ずつ置鍼すると、左心包、右心の診断点を含む全ての診断点がゆるみました。

「・・・さあ、これで頭痛は、どうですか?」

「・・・まだ、痛いです。」

そこで、テクチ(トルコ人医師)先生が、提唱していた点を思い出しました。それは、頬骨弓の下で、耳から数cm程前の圧痛点です。丁寧にC君の耳の前の圧痛点を見つけ、左右に1本ずつ置鍼。

「今度は、どう・・・?」

「・・・・???痛くないです❣️」

この点は、緊張性頭痛や痙攣(けいれん)性の痛みを和らげるのに役立つそうですが、その通りでした。C君の驚いた顔を今でもリアルに思い出しますが、治療した本人の方が、C君以上に内心は驚いていたのでした。

その後、ご家族の方に、C君の様子を聞いてみたのですが、すっかり良くなったそうです。

鍼が入らん

あじさいの杜鍼灸院では、換気、消毒を頻回に行い、私自身は雨合羽(あまがっぱ)にフェイスシールドで、防備しています。とにかく、目に見えないコロナヴィールスとの遭遇だけは、避けようと思います。雨合羽(あまがっぱ)とゴム長靴は、脱いだあとは消毒して、通路に干しています。

当院に来られる患者さんで、バスをご利用の方もおられます(当院は、伊予鉄バス10番線の終着駅、津田団地前から徒歩1分と、大変便利です)。その方が、

「バスは、ガラガラの4人。途中からは、私1人になってしまいました。それから、運転手さんの後ろの席は、座れないようにテープで仕切られていました。」

と様子を教えてくれました。こんななか、60才代の肩こりと腰痛の男性患者Bさんが来院されました。最近は、忙しい合間に時間を見つけ、1週間に1回のペースで来られています。大変ありがたいことです。

早速、合谷診(人差し指と親指の間の触診)を始めます。右手の方に痛みがあったので、右側から治療を始めます。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行い、慢性の肩こり、腰痛のBさんには、後頭部に置鍼を行いました。

左:胸椎(1)、小脳(1)

右:腰椎(1)、大脳(1)

(  )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、下記のような結果になりました。

首診

左:腎(0)、膀胱(1)、胆(0)、心(0)、大腸(1)、胃(1)、小腸(0)、肺(0)

右:心(1)、脾(1)

(0)は、大腸点と膀胱点に置鍼した影響で圧痛点が随分なくったことを示しています。

高校時代の同級生のBさんに、

「今、腰どんなん?」

「まだ、ちょっとはっとらい。」

「そしたら、今から鍼さすけん。」

「・・・・痛っっっった!」

「なかなか鍼が入らん・・・何かなあ・・細かい砂が固まってしもて、ゴムみたいになっとらい・・・まあ~、そんな感じ・・・・今、腰・・・どんなん?」

「何か・・・すっ~とゆるんだみたいじゃ。」

「うん、よかった、よかった・・・痛いほどよう効く・・四つんばいになって、お日さんがあたる所が陽で、影のできる所が陰なんよ。後頭部は、日に当たって砂漠状態になっとるんよ・・・じゃけん、鍼抜いても、後頭部は血があんまり出んわい。顔の方は陰じゃけん、血が出る傾向があるなあ。」

「・・・人間になっても、四つんばい状態が続いとるんじゃね・・・・体は・・」

などと話ながら、治療は終わっていきました。

Bさん、来週もお待ちしております。

左肩が痛い!

60才代の男性患者Aさんは、左肩と左肩甲骨周辺、そして二の腕(上腕三頭筋)が痛くて仕方がありません。仕事を終えて車を1時間30分走らせて、奥様と共に来院されました。10日ほど前のことです。そして、今回で4回目の治療となります。

「どうですか・・・肩・・」

「だいぶ良くなったんですけど、肩甲骨の内側にピンポイントで痛みがあるのと、二の腕(上腕三頭筋)にシビレがあります。」

「・・・・うん~そうですか・・・ちょっと、これを見ていただけますか?」

と取り出したのは、経絡人形(写真参照)です。

「この黄色のラインがあるでしょう?これが丁度、肩甲骨辺りを走っているんです。これは小腸経という流れなんです。」

「あっっ、ここ、シビレているのは、この黄色のラインです、ピッタリ!」

「そうしたら、ここ(第7頸椎と第1胸椎の間で、左よりの圧痛点)痛くないですか?」

「痛っった!」

「今日は、ここにも鍼を刺してみますね。」

先日の山元敏勝先生のブラジル人女性患者の治療ビデオに、すっかり影響を受けていたため、瞬間的にこんな言葉が出たように思います。前回から、Aさんの置鍼は後頭部にしています。後頭部は、四つんばいになった時、日が当たる側。陰陽では、陽にあたります。陽は慢性的な疾患に効くので、最近は後頭部への置鍼が多くなっています。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)では、明らかに左手に痛みがあります。そのため、治療は左側から行います。

首診で左右の前面で鎖骨付近の圧痛点を押圧。

「どちらが、痛いですか?」

「左が痛い!」

「そしたら、今度は・・・ここ、どうですか?」

「痛っっっった」

「ふ~~ん、やっぱり・・・ここ小腸の治療点なんです。」

と、左後頭部の小腸点を確認しました。

さて、これから治療開始。

進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)

左:頸椎(2)、胸椎(1)、腰椎(1)

右:なし

(  )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、左側に圧痛点が多いので、左側のみとします。

首診

左:腎(0)、膀胱(0)、胆(0)、三焦=消化器(0)、胃(0)、小腸(1)

(0)は、小腸点に置鍼したため、その影響で圧痛点がなくなったことを示しています。

やはり、小腸経の流れを押さえたのが効いたようです。次に、頭頂部にある小腸点と第7頸痛と第1胸椎の間の圧痛点に置鍼して終了。

「肩甲骨の痛みどうですか?」

「全くありません・・・シビレもありません。」

後は、マスクをした状態のお二人と、防御服(あまがっぱ)とフェイスシールドの完全防備状態で、静かな楽しい会話をしてすごしました。

へそ曲がり


左と右で体温が1度以上も違う!

70才代の女性患者Aさん、呼吸困難で来院されました。やせ型で肩が前に丸まって出ています。

2年前から息を吸う時に、ヒイヒイといってうまく吸えないそうです。

合谷診(人差し指と親指の間の触診)をすると、必ず左に反応があります。

Aさんの場合は、極端に左が反応するので、進化形合谷診(第2中手骨=人差し指と親指の間にある手の甲の骨を6つに区分し、頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳、小脳の診断ができます)では、ほぼ左手が反応し、首診(腎、膀胱、肝、胆、心包=心臓部周辺、心、大腸、三焦(消化器)、胃、脾、小腸、肺の診断ができます)でもほぼ左手に圧痛点があります。

初診、2回目の診察で、9番脳神経(舌咽神経)、10番脳神経(迷走神経=多くは副交感神経)、12番舌下神経(舌の運動)ねらいで置鍼したのが効いたのか、呼吸がしやすくなり、今回5回目の治療となります。4回目の治療時、Aさんが突然おっしゃったのです。

「先生、天ぷら油が右腕にかかり入院したことがあるんですよ。その時、点滴を左腕からやっていると、途中から液が入らなくなるので、右腕ばかりで点滴するようになったんです・・・・おかしいな~っと思って、左右の体温を測ったんです。そしたら、左の方が、1度以上も低いことが分かったんです。」

「すごいですね!左右の体温を測る発想が素晴らしいです❣️」

柔軟な発想のAさん、今日はこんなことを話してくれました。

「先生、左の体温が36℃になっているんで、びっくり!ひどいときは34度代の時があったくらいじゃったのに・・・汗もかけるようになった。それと、おへそが左に曲がっとったんが、真ん中に戻ってきたんよ!」

「はっはっは!へそ曲がりじゃったのが、治ったん?それは、ええこっちゃ❗️」

「そうよ、強烈なへそ曲がりじゃったけん・・・タンはまだちょっとあるけど、両肩が楽になった。」

随分良くなっているようです。今回は、後頭部にある治療点をねらい置鍼していきました。これは、慢性的な患者さんに適しています。

左:頸椎(1)、胸椎(3)、腰椎(1)、脳幹(1)、大脳(1)、小脳(1)

右:小脳(1)

(  )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。

左:腎(1)、膀胱(0)、肝(1)、胆(1)、心包(1)、心(1)、大腸(1)、三焦(1)、胃(1)、脾(1)、肺(1)

右:小腸(1)

( )内が0の場合は、他の鍼の影響を受け圧痛点がなくなったことを表しています。上記の置鍼以外に9番脳神経(舌咽神経)に置鍼して30分、山元敏勝先生の治療ビデオを見てもらい終了しました。

次回の報告が楽しみです。

正直なカラダ

「先生、なんぎなんよ・・・左の首と、肘、膝とここ(左右の母指球)。」

60才代の男性患者Cさん、月に2〜3回当日電話で来院されます。Cさんは、感覚が鋭く素直なので、1本の置鍼がどのようにどこへ効くか、分かることが多いのです。ですから、治療はCさんのカラダの声に従うだけでいいのです。便利で楽しく、にぎやかな治療になります。

合谷診(人差し指と親指の間の触診):左(左側から治療していきます)
進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)
左:頸椎(1)、脳幹(1)、大脳(1)
右:胸椎(1)、腰椎(1)、小脳(1)
( )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。

首診(内臓)
左:腎(1)、膀胱(2)、肝(1)、胆嚢(2)、心包(0)、心(1)、大腸(1)、三焦(1)、胃(1)、脾(1)、
小腸(1)
右:小腸(1)、肺(1)
Cさんの合谷診では、左側に明らかな圧痛点があったためか、首診では、左側に多く反応がありました。治療中、

「先生、お腹の方で空気が動きよらい。」

と言われて直ぐに、ゲップゲップっと、空気が出てきました。

「今の鍼で、ノドが抜けた・・・キレイに!楽になった・・・今日は、水飲んだら溺(おぼ)れよるんじゃろかと思うくらいじゃったんよ・・・もうこれで、普通に水を飲めらい。」

「素直なカラダじゃね〜、今のが三焦(さんしょう)という消化器系統のツボなんよ。」

「そうじゃろー、正直じゃろう。」

今度は、母指球をねらってアキレス腱近くのヒラメ筋の圧痛点を押圧します。

「痛っっっっった!どしたん、これ足ウラより痛い‼️」

「えっっ、そんなに痛いん?そしたら、効くな・・・・これ!」

と3本置鍼すると、

「今、足の親指がジンジンしよらい・・・先生、膝の痛いところが、グジュグジュ動きよる・・・・これで、膝が治りよるなあ〜・・・・ここ(右母指球)が熱かったろ?先生、あれが冷めて来よらい、ここも治りよる・・・ひどいもんじゃなあ、これで、今日はゆっくり眠れると思わい。」

Cさんの言う通り、膝と母指球は良くなっていました・・・後は、Cさんと色々楽しい話をして終了となりました。Cさんありがとございました!